会計基準は法律ではない__10_

「消費税」の計算方法②『課税売上高5億円』『課税売上割合95%』について

消費税の計算方法についてです。

“「消費税」の計算方法①『簡易課税制度』について”というノートの続きになります。

事業者の規模によって消費税の計算方法は変わってくるという事をお伝えし、

例外を除いて、基準期間の課税売上高が1,000万円以下では消費税免除となり、
基準期間の課税売上高が5,000万円以下だと簡易課税制度を選択適用し消費税を計算できるという事をお伝えしました。

今回は、上記のように基準期間の課税売上高が1,000万円以下だとか5,000万円以下だとかそれ以外の規模の事業者の規模の消費税計算方法はどうなるか確認したいと思います。

今回は、以下の③と④にスポットを当てて計算方法の内容を見たいと思います。

①その課税期間の※基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は納税の義務が免除される。
(ただし、※特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合は、当課税期間から課税事業者となる。)
(法人の場合、基準期間のない事業年度であっても、その事業年度開始日における資本金の額又は出資の金額が、1000万円以上である場合は、納税義務は免除されない。)

※基準期間=前々事業年度のこと。つまり2年前の事業年度のこと。
※特定期間=1年前の前半6ヶ月。

②その課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者で、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を事前に提出している事業者は簡易課税制度の適用を受けることができる。

③当課税期間課税売上高5億円以下かつ課税売上割合95%以上の事業者は仕入税額控除について全額控除

④当課税期間課税売上高5億円超え又は課税売上割合95%未満の事業者は仕入税額控除の計算方法について一括比例配分方式又は個別対応方式を有利選択

基準期間の課税売上高が5,000万円超えたら、どのような計算方法になるか?
(5,000万円以下の場合で簡易課税制度適用しない場合も含む。)

これなんですが、これを確認する上で、
上記の③か④どちらに該当するかをまずはチェックします。

ここで、③と④について用語の説明を加えます。

まず、“課税売上割合”とはなんでしょうか?
課税売上割合とは、以下の算式で算出します。


課税売上割合

= 課税売上 / 課税売上+非課税売上


さらに、何をもって課税としているか?
消費税の課税の対象となる取引は以下の4要件全て満たすものを言います。


(1)国内において行うものであること

(2)事業者が事業として行うものであること

(3)対価を得て(有償で)行うものであること

(4)資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供であること


これら4要件全て満たす取引を課税の対象としています。

例えば、国外で買い物をしたとして、
それに関して日本国内の消費税は課税されません。

ボランティア団体にお金を寄付したとして
それに関して消費税は課税されません。

こういった上記4要件を満たさず消費税課税の対象とされないものを
対象外と呼んでいます。

消費税区分対象外となった取引は、
消費税の計算上不要なものとなります。

上記課税の要件である4要件を満たした上で、非課税となる取引として限定列挙されていつ以下の13項目のいずれかに該当すれば
消費税区分は非課税となります。


(1)土地(借地権などを含む。)の譲渡・貸付け(貸付期間が1月未満の場合及び駐車場などの施設としての貸付けを除く。)

(2)有価証券(ゴルフ場利用株式などを除く。)その他これに類するもの及び支払手段
(収集品及び販売用のものを除く。)その他これに類するものの譲渡

(3)利子を対価とする金銭の貸付け及び保険料を対価とする役務の提供その他これらに類するもの

(4)一定の者が行う郵便切手類、印紙及び証紙の譲渡並びに物品切手等の譲渡

(5)行政手数料、外国為替業務などに係る手数料を対価とする役務の提供

(6)健康保険法などの規定に基づく療養、医療などの資産の譲渡等

(7)介護保険法などの規定に基づく居宅サービスなどの資産の譲渡等、社会福祉法の規定に基づく社会福祉事業などとして行われる資産の譲渡等(生産活動に係るものを除く。)

(8)身体障害者用物品の譲渡等

(9)助産に係る資産の譲渡等

(10)埋葬料、火葬料を対価とする役務の提供

(11)学校教育法などの規定に基づく教育として行う役務の提供

(12)学校教育法の規定に基づく教育用図書の譲渡

(13)契約により居住用とされる住宅の貸付け(貸付期間が1月未満の場合及び旅館などの施設としての貸付けを除く。)


以上をまとめると以下のようなフローになります。


消費税課税対象の4要件を満たすか
↓             ↓
満たす           満たさない
↓             ↓
非課税13項目該当か    対象外
↓     ↓
該当    該当しない
↓     ↓
非課税   課税


このフローに基づき、
消費税が課税なのか非課税なのか
それとも対象外なのか判定をします。

課税売上割合に関していうと、
売上げに係る消費税に着目します。

課税となる売上げに係る消費税(課税売上)と非課税となる売上げに係る消費税(非課税売上)を集計し、課税売上割合を算出します。

この課税売上割合が95パーセント以上か未満か、さらに、当課税期間の課税売上高が5億円以下か超えているか確認して③か④のいずれに該当するか認識することになります。

長くなってしまいましたので
また③と④の具体的な計算方法については次のノートに記載します。
(用語の説明だけになってしまった。。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?