Shoko MURAKAMI

広島出身。1990年代後半に、ヒロシマ・ナガサキの被爆者のひとたちと米国に平和巡礼の旅…

Shoko MURAKAMI

広島出身。1990年代後半に、ヒロシマ・ナガサキの被爆者のひとたちと米国に平和巡礼の旅をしたのをきっかけに市民活動の道を歩む。環境NGOを経て、現在、高木仁三郎市民科学基金スタッフ。2011年の福島第一原発事故以降、原子力市民委員会の事務局スタッフ兼任。核の問題がライフテーマ。

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サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ⑤(最終回)

資源開発における「相互依存(共存)」とは 人類の相互依存というのは、グローバル社会でまさに実践されてきたことなのだろうが、あまりにも「経済」や「競争」の原理がは…

サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ④

さて、このnoteを書くにいたった趣旨をふりかえると、 1)2月24日のウクライナ侵攻を受け、経済制裁の一環として、ロシアの主要な収入源であるエネルギー資源からの脱却が…

サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ③

ロシアのウクライナ侵攻後、国連総会で3回目に行われた対ロシア決議では、140カ国が賛成していた前回・前々回と異なり、「賛成」が93カ国となり、約20カ国ずつが「反対」と…

サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ②

ウクライナに侵攻し、国際法違反をおかした核大国ロシアへの経済制裁をどうすべきか。いろいろな問題が折り重なっていて、すぐに答えが出るわけではなかった。 サハリン2…

サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ①

2.24のロシアによるウクライナ侵攻から3カ月。事態は混沌としてゆくばかり。 目下、気になっているのはフィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請。ひたすら暗澹たる気持…

サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ⑤(最終回)

サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ⑤(最終回)

資源開発における「相互依存(共存)」とは

人類の相互依存というのは、グローバル社会でまさに実践されてきたことなのだろうが、あまりにも「経済」や「競争」の原理がはびこり、本来の意味での相互依存、つまりは「共存」の原理がすっかり見えなくなっている。

エネルギー資源をめぐるビジネスはその最たるものだろう。開発に巨大な資金が流れ、地域の環境や人々の暮らしは二の次とされ、多大な犠牲の上に生み出された利益

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サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ④

サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ④

さて、このnoteを書くにいたった趣旨をふりかえると、
1)2月24日のウクライナ侵攻を受け、経済制裁の一環として、ロシアの主要な収入源であるエネルギー資源からの脱却が求められている。

2)日本では、ロシアのサハリンにある石油・天然ガス事業に権益を有しているが、日本政府は「エネルギー安全保障上、極めて重要なプロジェクト」として「撤退しない」と表明している(先行きは不透明)。

3)天然ガスの約6

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サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ③

サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ③

ロシアのウクライナ侵攻後、国連総会で3回目に行われた対ロシア決議では、140カ国が賛成していた前回・前々回と異なり、「賛成」が93カ国となり、約20カ国ずつが「反対」と「棄権」に回り、半数近くが「賛成しない」結果となった。

広範な国際社会の連帯をつくれているか?でも、私はこの数字よりも、その「国連人権理事会でのロシアの資格停止を決める」という決議内容におどろいた。今回のロシアの行動は明らかに異常

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サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ②

サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ②

ウクライナに侵攻し、国際法違反をおかした核大国ロシアへの経済制裁をどうすべきか。いろいろな問題が折り重なっていて、すぐに答えが出るわけではなかった。

サハリン2からシェル(2月28日)、サハリン1からエクソン(3月1日)が撤退することを聞いたとき、私の頭に浮かんだのは次のようなことだった。

(1)大規模開発で現地に甚大な環境被害や社会影響をもたらし、大きな利益を得てきたメジャー企業が「立つ鳥跡

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サハリン2開発に反対した私が、今サハリン2からの撤退に反対するわけ①

2.24のロシアによるウクライナ侵攻から3カ月。事態は混沌としてゆくばかり。

目下、気になっているのはフィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請。ひたすら暗澹たる気持ちになっている。

「緩衝国」や「中立国」であることは、過去の争いから見出してきた「人類の知恵」だったのではないのか。軍事同盟に入るということは、争うことを選択するということではないのか。

この「緩衝国」や「中立国」であることの

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