生田美和

ゲームデザイナー&ゲームシナリオライター|📧お仕事はこちら:office_sh…

生田美和

ゲームデザイナー&ゲームシナリオライター|📧お仕事はこちら:office_shodamiwa@yahoo.co.jp

マガジン

  • 紅茶に溶ける砂糖みたいに

    「こころに溶けてるもの」を、読み解くエッセイです。苦いものも、ほんのり甘くできたらな。

  • ゲームシナリオカフェ

    RPGのゲームシナリオについて、考え方をまとめています。

最近の記事

ざまあみろ論は、ただのキャンセル

04:ざまあみろ論は、ただのキャンセル  幼いころのわたしは、「好き嫌いが顔に出てしまう子」「女の子なのに愛想がない子」ということを問題視されていました。その際よく言われたのが、「人を殴る子、物を盗る子にも笑顔を向け、和を保て」です。  おかしなことをされているのに、その相手を笑顔でもてなすべきだ――という教えですね。いまだったら(当時もかな?)、怒っていいところだったと思います。  それで、ちいさいなりに納得せずにいると、この台詞が返ってきたものです。   「そんな意

    • ⚽ボールが迷子だから/紅茶に角砂糖

      03:⚽ボールが迷子だから  「ありがとう」とか、「助かってるよ」とか。  特別な相手だからこそ言ってほしい言葉って、ありますよね。  でも、ぜんぜん言ってくれなくて。「自分がダメなのかな?」なんて不安になったり、「もっと頑張ろう!」って無理してしまったり。そういうことを繰り返すうち、相手に期待しなくなって、関係が悪くなって……  そんな経験ありませんか?  言葉が返ってこないことで、追い込んだり、追い込まれたりしないように。「言葉を待つスタイル」ではなく、「言葉をも

      • ➡矢印を自分に刺す/紅茶に角砂糖

        02:➡やじるしをじぶんにさす  以前つぶやいたこのツイートを、よくわからないという方がいらっしゃったので、ゆっくり噛み砕いていきますね。➡矢印を自分に刺すお話です。 1、「攻撃された!」と感じるとき 誰かのつぶやきを見て、「これは自分への攻撃にちがいない!」って思ってしまうとき、ありませんか? ここでは、その相手が、「自分を含めたどこかの誰かを、攻撃するためにツイートしたかどうか?」は、置いといて。「攻撃された!」と感じてしまう心の方について考えていきます。  人の言

        • 自覚して引っ込め論/紅茶に角砂糖

          01:自覚して引っ込め論  わたしはよくtwitterで、お料理の写真を載せています。ご覧の通り、たいした腕ではありません。ふつうのものをやっと、安定して作れるようになったかな?というレベルです。  ほとんどの方は、「美味しそうですね」とか、「楽しそうですね」と言ってくださいます。ですが、たまに「その程度の料理を、自慢気に載せるな」というお叱りもあるんですよね。今日は、そんなお話。 1、世界は優秀な人たちであふれてる お料理が上手な人って、ほんとうに大勢いらっしゃるんで

        ざまあみろ論は、ただのキャンセル

        マガジン

        • 紅茶に溶ける砂糖みたいに
          4本
        • ゲームシナリオカフェ
          10本

        記事

          なんのために書くのか?/ゲームシナリオカフェ

          10杯目:なんのために書くのか?  わたしがゲーム業界を目指したときの話をしようと思います。  小学校、低学年の頃。ある先生に、「私なんかに懐いて、どういうつもり?」と、言われたのを覚えています。  学校の先生に、気に入ってもらおうと思っていました。気に入ってもらえたからといって、その人のおうちの子になれるとか、違う場所に暮らせるわけがないというのを、たぶんわかっていなかったのでしょう。先生が迷惑してるのだとなんとなくわかって、距離を置くようになりました。  高学年に

          なんのために書くのか?/ゲームシナリオカフェ

          はじめまして

           ゲームデザイナー&ゲームシナリオライターの、生田美和(しょうだみわ)です。  1995年に、イベント寄りプランナーとしてゲーム業界へ飛び込みました。現在は、フリーランスのシナリオライターとして、開発現場を旅するように渡っています。  任天堂サテラビュー、PlayStation1〜4、Wii、Xbox、GBA、PSP、PSVita、ソーシャルゲーム、パチスロなど。ジャンルも、RPGを中心に、ADV、格闘ゲーム、乙女ゲームなど。これまで参加した作品は、40作品以上になります

          はじめまして

          だんどりとフリキリ/ゲームシナリオカフェ

          9杯目:だんどりとフリキリ  ゲームシナリオは、「はじめての説明」が多い娯楽です。物語が進めば、新しいマップ、新しい人々、新しい装備、新しい事件、新しい現象などなど……「新しいもの」が次々と現れます。  ユーザーさんは、それら「新しい要素」を、自分で見て、判断して、自分でプレイしていかねばなりません。なのでゲームシナリオは、新しい要素が、どんなものなのか?を、ユーザーさんにテンポよく、わかりやすく紹介する必要があるのです。  「新しい要素をテンポよく見せる」というのは、

          だんどりとフリキリ/ゲームシナリオカフェ

          瞬間湯沸かし器と感情ラリー/ゲームシナリオカフェ

          8杯目:瞬間湯沸かし器と感情ラリー  「ぎゃあああ、毛虫いいい!」とか、「限定キャラだ!うおおおお!」とか。そういう、好きなものやキライなもので、感情のままに暴走して。他の登場人物たちが振り回されていくドタバタ劇をみて、「なんか変だな……?」と、感じることはありませんか?  今日は、そんな「変だな?」を紐解くお話です。 1、暴走スイッチ 以下は、よくあるキャラクター設定の一文です。 ・虫/高所/宿題や仕事が、苦手 ・甘いもの/可愛いもの/推しグッズに、目がない  こ

          瞬間湯沸かし器と感情ラリー/ゲームシナリオカフェ

          続編モノのワナ、部分原作/ゲームシナリオカフェ

          7杯目:続編モノのワナ、部分原作  続編モノが難しくなる原因のひとつに。「部分原作/部分原作者」というものがあります。  例えば、前作で。「主人公の敵が、実は親だった!」みたいなのがあると。「次の主人公も、親と戦いましょう!」と、誰かが言い出してしまう。そんな風に、「前作をなぞってやってください!」が、四方八方から、山のように寄せられてしまうのです。  でも、物語って、流れで味わわせるものですよね。ピンポイントの、「前作と同じように親と戦う!」「前作と同じように修行する

          続編モノのワナ、部分原作/ゲームシナリオカフェ

          宝石泥棒編の作り方/ゲームシナリオカフェ

          6杯目:宝石泥棒編の作り方  わたしのゲームシナリオライターとしての特徴のひとつが、「世界が主役のゲームづくり」です。「ユーザーさんがプレイすることで変わっていく世界」、これを中心に考えています。  今回は、「主役は、ユーザーさんの活動と、それによって変わりゆく世界である」という視点から、ゲームシナリオの作り方についてお話していきます。 1、「どんな気持ちで挑むのか?」という状況デザイン ゲームシナリオを新しく考えるとき。わたしは「キャラ」より先に、「状況」を考えていき

          宝石泥棒編の作り方/ゲームシナリオカフェ

          キャラの描き方について/ゲームシナリオカフェ

          5杯目:キャラの描き方について  あるゲームでキャラシナリオの設計をしていたとき。ほかの開発者さんたちと、わたしと、意見があわなかったことがありました。ピンポイントなのですが、天才変人キャラの描き方についてです。  今回は、そんなお話。「キャラの描き方について」。 1、天才変人キャラは、書物をどう扱うか? 天才変人キャラを、新たに生み出すとして。みなさんだったら、どちらの描き方にしますか?  天才変人キャラは書物を……  ・大切に扱う  ・無造作に扱う  こちらは

          キャラの描き方について/ゲームシナリオカフェ

          設定の伝え方/ゲームシナリオカフェ

          4杯目:設定の伝え方  ゲームには、たくさんの情報があります。「この世界は、こういう状況だ(設定系情報)」とか、「次は、どこそこへ行け!(指示系情報)」など。これらの情報を適切なタイミングで、ユーザーさんに伝えて、気持ちよく遊んでもらうのも、ゲームシナリオライターの役目のひとつです。  今回はたくさんある情報の中でも、シナリオと関わりの深い「設定」について。前半はコンシューマゲーム(家庭用ゲーム)の、後半はソーシャルゲーム(スマホゲーム)のことを、お話していきます。 1

          設定の伝え方/ゲームシナリオカフェ

          ゲームシナリオの指導で気をつけてること/ゲームシナリオカフェ

          3杯目:ゲームシナリオの指導で気をつけてること  ゲームシナリオの指導で、わたしが気をつけていることは、大きく3つあります。 1、盛る以外方向を知らない 2、酷い話をつけるのが動機づけと思ってる 3、感動を説教で作ろうとする これらのことが、なぜ駄目なのか? ひとつずつ詳細を書いていきますね。 1、盛る以外方向を知らない 例えば、「ケーキが好き」という設定がある普通の子が。いつの間にか、「四六時中ケーキしか食べない」「甘み以外の味覚が全滅」「なんにでもシロップをかけて

          ゲームシナリオの指導で気をつけてること/ゲームシナリオカフェ

          女の子はこう笑うというbot化/ゲームシナリオカフェ

          2杯目:女の子はこう笑うというbot化  ゲームシナリオで。「女の子はこう笑う」とか「こういうことを言う」だけで台詞を組むと、キャラってbot化してしまうんですよね。  今回は、bot化しないキャラの描き方について。 1)強烈エピソードの作った感 そのキャラを生き生きと描くために。まず気をつけるのが、強烈エピソードです。  「凄まじく嫌なこと」と、「度を越して好きなこと」。  このふたつを設定すれば、一見して、キャラの出来あがりにみえますよね。嫌なことと、好きなことを、

          女の子はこう笑うというbot化/ゲームシナリオカフェ

          描きたいものは欠損させる/ゲームシナリオカフェ

          1杯目:描きたいものは欠損させる ゲームシナリオで描きたいものは、あえて欠損させる。  描きたいからこそ、損なわせていく――そういうシナリオの書き方があります。例えば、「友情」がテーマの場合。友を奪い、裏切らせ、友を失わせます。そうすることで、「友がいた時間」「友を求める心」「友だからこそ許せない気持ち」などなど、様々な角度で、友人との関係を描けるのです。  物語はいつも、大切なものを失ってからはじまる。あるいは、加速するのですね。  「テーマ=描きたいものを、あえて

          描きたいものは欠損させる/ゲームシナリオカフェ