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【短編小説】そらいろの絵の具【所要時間三十分くらい?】

「そらいろと申します、よろしくお願いします」
「はい、そらいろくんね……。君、どうしてウチに応募したの?」
「はい、私が御絵の具セットを志望したのは……」
「あー違う違う、そうじゃなくて。どうして、既に青がいるウチに応募してきたのって訊いてるの。正直、白ならまだしも青二本もいらないんだよね」
「いえ、私はあおいろではなく……」
「青でしょ、どう見ても。……あのねえ、青色なんて場所によってはいくらでも需要あるんだから、わざわざ青が足りてるウチに来る必要ないと思うんだよね」
「……私は」
「まあいいや、結果は一週間以内に連絡するから」
「……」

―――

「そらいろと申します。よろしくお願いします」
「そらいろ……? 青色じゃなくて?」
「いえ、私は……」
「ウチは青色が不足してるから、君がそうだと助かるんだけど……違うのかな」
「私はそらいろなので……すみません」
「謝ることじゃないよ。……ただ、ウチはそんなに大手じゃないから、そらいろなんてよくわからない色を雇う余裕は……」

―――

「そらいろと申します。よろしくお願いします」
「んー、そらいろチャン、ね。キミさ、ウチ入る?」
「……! いいんですか?」
「うん。ちょうどほしかったんだよね、ターコイズブルー」
「へ? すみません、私はそらいろなんですけど……」
「うん、でもおんなじ青でしょ?」
「いや、さすがにそらいろとターコイズブルーでは用途が全然……」
「細かいこと気にするねえそらいろチャン。あ、今からターコイズブルーチャンって呼んだ方がいい?」
「……」

―――
――

「……どうぞ」
「失礼します」
「どうぞおかけください。……それではまず、簡単に自己紹介をお願いします」
「はい、私は

あおいろと申します。よろしくお願いします」


 正直全然就活エアプだけど、絵の具が就活をするとかいう狂った世界観の小説でリアリティを気にしても仕方ないと判断した。

 リアリティは所詮調味料の一種なので、なくてもおいしい料理は作れる。と、信じている。

 宣伝、一週間で作ったカスのネタ曲。


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