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白永歩美の想いごと。

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アングラ俳優白永歩美のつれづれコラムもどき。
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#エッセイ

作品無くしてもの言えず

 作品でしか喋れず、作品でしか動けず。
 という人は一定層いる。かくいう私もそのタイプだと自負している。最近は立場と場数でいわゆる世間話というものが多少出来るようになったが、もともとはかなり無口な方だ。というよりも、「私の話なんて聞いて面白いのか?」という雑念が常に邪魔をして上手く話せない。かといって相手の話に相槌を打つのも顔色を伺い過ぎて出来ない。
 しかし台詞ではどうだろう。他人が思いついた言

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大島弓子と精神世界「夏の夜の漠」

 今から十数年も前のこと。子役としていきなり年上の人々ばかりの世界に飛び込んだ私は、「小さいのにしっかりしているね」とよく言われた。しかしそれと同じくらい、「子どもらしくない、可愛げがない」とも言われてきた。これらは表裏一体だ。褒めるんだかけなすんだか、どちらかにしていただきたいものである。
 学校でも生意気だと毛嫌いされることもあれば、PTAのおばさまの井戸端会議に紛れて可愛がられたり、小児性愛

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「正しい政治」って無いのかもしれない

 表題のように思ったきっかけの一つは、最近政治に対する意見をSNSでかなり多く目にすることだろう。
 私は基本的に演劇人、広くは表現者が政治について物申すのは作品をもってしてやるのが最善だと思っているので、これはどの政治が良いとか悪いとか支持するとかしないという話ではない。

 けれど、正しい政治というものは実在しないのではないかとかなり前から思っている。

 というのも、発端は漫画『ベルサイユの

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