白永歩美

アングラ俳優から劇作家へ。月蝕歌劇団二代目代表。女子美術大学卒。さわれるまぼろし、純白の毒気。

白永歩美

アングラ俳優から劇作家へ。月蝕歌劇団二代目代表。女子美術大学卒。さわれるまぼろし、純白の毒気。

マガジン

  • 創作物ーどこまで真実かは貴方が決めていいー

    小説、詩、短歌……精神の解離と統合、少女性とリアリズム、その境界線に走らせた筆の跡。

  • 白永歩美の想いごと。

    アングラ俳優白永歩美のつれづれコラムもどき。

最近の記事

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◎自己紹介と出演歴◎

演者としての簡単な経歴のご紹介です。 (サムネイル写真撮影:石井飛鳥氏) 白永歩美(しらなが・あゆみ) 東京生まれ。 演劇屋。 女子美術大学卒。 身長160センチメートル。 特技は火吹き、人形振り、占い。 趣味は短歌や自由律俳句を詠むこと。 ゴシックロリータとフェティッシュファッションを愛する。 2003年10月より暗黒の宝塚の異名を持つ月蝕歌劇団に子役として入団。 以後月蝕歌劇団での舞台を中心に、ラジオ、映像等に出演。 2010年から2015年まで都立つばさ総合高

    • 七つの大罪自由律俳句「傲慢」※朗読向け

      (掛け合い調に朗読出来るようにしました) A いいねその顔 もっと妬めよもっとなじれよ 引き立て役に成り下がってよ B 罵声なんてたやすい いつも自分へ渦巻いていること他人(ひと)にぶつけるだけ A 「お前の代わりはいるんだよ」と言う人の代わりもいくらでもいる秘めた嘲笑 B お望み通り悪役かってあげましょう だって私は優しいのだから A 傷つけたのに 殺してはくれないつまらない刃 B 傷つけたって 跳ね返って来るくだらない刃 AとB わかるものか 舐めてもらえない

      • 詩「今日も世界に泥が降る」

        泥水が降ってきた また夜に覆われる 白い水仙が一輪だけ咲いていたが もう世界は沼になってしまって 泳いで探そうにもどこへ進んでいるのかわからない 夜を潜り続ける もしかしたら水仙なんて見間違いだったかもしれないし 重たい泥に手折られてしまっているかもしれない もったりとした夜を手で掻きながらそう思う いつの間にか地球は夜に黒く塗られてしまった 裏側は朝なのだろうか、白いのだろうか 地球儀のように回せないから 今見えているものだけが僕の地球 見えない世

        • 七つの大罪自由律俳句(短歌)「色欲」

          洞窟の中でのたうっても貴方は知らない この暗さを湿っぽさを出口のない入り口を 誰のものでもないその笑顔だから愛しく自分だけのものに出来るはずがなく あんたなんかじゃ吊り合わないよと言ってしまったわたしなんかじゃ、もっと 全部ぶちまけて壊れてしまえ 思えども思えども引き金は固く押せない「送信」 死んで傷になるしか心に残る術がなく 死に損なって忘れられてゆく せめて綺麗な想い出にと 足を止めたらまた洞窟 ーー珍しくあとがきのようなものーー 長いことどう書くか迷っていた

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        ◎自己紹介と出演歴◎

        マガジン

        • 創作物ーどこまで真実かは貴方が決めていいー
          17本
        • 白永歩美の想いごと。
          10本

        記事

          受胎告知あるいは自我の訃報

          ある日私は、私自身の訃報を聴いた。しかしそれは、同時に私自身の産声でもあった。 私は私を受精し私自身を妊娠する。私は私の胎児、私は私の母親、私は私を産み落とし生まれ直す。 天使のお告げはいらない。 アダムもいらない。 私は私の創造主、私は私の聖典、私による私の堕天、私は私を磔にして三日後に私の復活祭をする。 私は私を信仰し、懺悔し、私を密告する。 そして世界は、私ひとりぽっちになった。

          受胎告知あるいは自我の訃報

          「幸子の最期の走り書き」

          ぬるいおべんちゃら浴びせられるくらいなら 冷や水ぶっかけられる方がマシだ 綺麗事のオブラートで適当に包んだ その奥の真っ黒い臓物を見せてくれよ お前となら死ねると思ってた お前となら死ねると思ってた 死ぬ気で差し違えてもいい覚悟だったのに

          「幸子の最期の走り書き」

          七つの大罪自由律俳句「怠惰」

          神は自分に似せて人を創ったのにどうしてあんなに醜いの よじ登って踏みにじって辿り着いたてっぺん行き止まり 俗世間はいやよいやよと言う俗世間 私の羽根になってくれ知らないうちにもがれていたから 「この世で一番美しい」といつもいつも言ってくれる鏡

          七つの大罪自由律俳句「怠惰」

          朗読詩「自胎動」

          どくん。 今、動いた。 どくん。 今、蹴った。 私のナカの私。 新しい、私。 新しい、命。 どくん。どくん。 うずくまって、私は私の胎動を聴く。 もうすぐ、生まれる。 どくん。どくん。どくん。 血の呪縛は血をもってして解こう。 私は私と結合し、私は私を受精する。 これから私は、私の子宮から生まれ直すのだ。

          朗読詩「自胎動」

          鏡の国の少女とエロス

          鏡の中のケティ・モーリス。 夢から醒めないアリス。 家に帰らないドロシー。 私は貴方のドロレス・ヘイズ。  少女性とエロスは表裏一体で、だからこそお互いを睨み合い毛嫌いし、どこまでも付き纏うのだと思います。     「私はこの二つを併せ持ち、融合させたい。」  これまでよりいっそうこう思うのは、次回出演の一人芝居【ROLE】のお稽古が始まったからでしょう。八名の多様な日替わり出演者が同じ演目を行う中、初めての本読みで演出の本山由乃さんから、「白永ちゃんは“少女”と“エロ

          鏡の国の少女とエロス

          丑三つ刻のラヴレタア・私と貴方が心中する方法

           世の中まだまだ騒がしい昨今、こんなこと言うと誤解を招きそうですが、「安全な舞台など無い」です。誤解しないでくださる貴方、そう、そこの貴方は是が非でも最後まで読んでくださいましね。  サテ何故かと言うと、私ははっきり言うのはお恥ずかしいですが死ぬ気でやっていますので、外界にどんなウイルスがあろうとなかろうと私が死ぬ可能性は変な話、いつも常に有るからです。  なんならお客様と刺し違えてでも(賢明な貴方はお解りでしょうがこれはものの例えですよ)面白いものを観せたくてやっています

          丑三つ刻のラヴレタア・私と貴方が心中する方法

          七つの大罪自由律俳句「嫉妬」

          「そういう子だから」と許されて来たからそういう子以上に成れないんだね同情するよ うらやましいと口に出したら死んでしまうから苦し紛れの憎まれ口 嫉妬の色は緑色癒しの色も緑色あの子のワンピースも緑色 「可愛いだけ」と言われる側に生まれたかった 大きな宝石も貴重な書物も祖母の形見も全部あげるからその人の隣をゆずってよ

          七つの大罪自由律俳句「嫉妬」

          七つの大罪自由律俳句「暴食」

          箸を運ぶ指と吐かせる指はどうして同じ指なのか 肥大する胃と比例して膨らむ虚無感 高級品も希少部位も満足させることのない飢餓感 吐いたらゼロ吐いたらリセット喉元で通り過ぎる呪文 栄養が欲しい熱量が欲しいそれでも心は満腹にならない

          七つの大罪自由律俳句「暴食」

          七つの大罪自由律俳句「憤怒」

          世界中の薔薇を全部むしってもおさまらぬ怒り 傷つくし傷つけるからと飲み込む怒鳴り声 石を投げて当たった鏡の破片で顔を切った やけ酒したこの身に火をつけたら巴里よりも燃えるだろう 右脳は罵声を叫び続け左脳がそれをなだめている

          七つの大罪自由律俳句「憤怒」

          詩「変身」

          夜中になると私は 脚は八本 眼は三つの 巨大な毒蜘蛛になる もう毎晩のことなので慣れてはいるし 早寝をしてしまえば関係がない うっかりと酒がすすんで すっかり夜更けになっていて 「しまった」 と気づく頃にはもう遅い 一度毒蜘蛛になってしまったら 夜が明けるまでそのままなのだ 六畳ワンルームの部屋にぎりぎり収まる体 ギチギチと音を立てる八本の脚 らんらんと光る三つの目 恐ろしくはない だって 私はこの毒蜘蛛の名前を知っている 真夜中に私の体を乗っ取るそれは 「虚栄心

          詩「変身」

          のたうち回ってものを書く

           執筆中です。珍しく趣味ではなく、色々ありまして商品になるようなものを執筆中です。 「君の書くものは純文学に入ります。純文学は今売れないから、娯楽を書けるようにもなったらいい。」  と以前小説を読んだ父に言われたので、今回はそれを意識しています。と言っても私はあまり自分の書くものを純文学だ、あるいは純文学的にしようとは思っていないのですが、言いたいことを言うとどうしてもメッセージ性が強くなるので、そこへいかにエンターテイメントの要素を詰め込むかかなあ、などと考えつつ、ですね

          のたうち回ってものを書く

          詩「夜鳥」

          夜空を飛んでいる鳥は 誰にも見られることはない ひとは飛ぶ鳥に自由を見出すけれど それは青空のお話 誰にも見られず 誰にも想像されず 想いを託されず 撃ち殺されることもなく ただ暗闇を羽ばたいている自分こそが 心の底から自由なのだ

          詩「夜鳥」