三宅康雄

1956年東京生まれ。立正大学文学部史学科卒業。以来アルバイトを転々とし、就職する事は…

三宅康雄

1956年東京生まれ。立正大学文学部史学科卒業。以来アルバイトを転々とし、就職する事はできませんでした。11年前からピアサポーターを務める。

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一統合失調症者の自分史 反省と後悔⑦

 三宅康雄  学習塾を首になった後、倉庫係のアルバイトをしました。日給4200円です。豪徳寺に遊びに行くと、寿一郎叔父が就職しないとありつけないよと ニコニコしなが…

三宅康雄
9か月前
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一統合失調症者の自分史 反省と後悔⑥ 

 自分史⑤の末尾に書いたように、大学院入試に落ちた私の気持ちは真っ暗でした。後から考えると、この辺で諦めて方向転換していればどんなに良かったかと思うのですが、私…

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三宅康雄
10か月前
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一統合失調症者の自分史 反省と後悔➄

 これはとてもラッキーなことだったと思うのですが、その頃偶然、森田療法の事を知り、薬物療法が怖くなった私は、中野の鈴木診療所に入院することにしました。鈴木診療所…

三宅康雄
10か月前
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一統合失調症者の自分史 反省と後悔④

三宅康雄  精神の病が全然治っていない状態で大学生になった私のキャンパスライフは不毛で苦しみに満ちたものでした。特に友人関係ではさんざん苦しみました。一学年で43…

三宅康雄
10か月前
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一統合失調症者の自分史 反省と後悔➂

三宅康雄  寿一郎叔父はまたおぞましいものを見るような顔つきで「女を喜ばせる男なんて最低だゲロゲロ(ゲロゲロの部分は言葉ではなく声色)!」と叫ぶのです。廃人状態…

三宅康雄
10か月前
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一統合失調症者の自分史 反省と後悔②

三宅康雄  地獄そのものの高校1年が終わって、2年生に進級しました。クラス替えが ありこれで苦しみから解放されるかと思いました。甘かったです。私は理系志望だったの…

三宅康雄
10か月前
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一統合失調症者の自分史 反省と後悔①

三宅康雄 序文  私は中学2年生の時、統合失調症を発症して以来、66歳の今日まで悲惨で滅茶苦茶な人生を生きて来ました。統合失調症だから惨憺たる人生になったと言って…

三宅康雄
10か月前
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一統合失調症者の自分史 反省と後悔⑦

一統合失調症者の自分史 反省と後悔⑦

 三宅康雄

 学習塾を首になった後、倉庫係のアルバイトをしました。日給4200円です。豪徳寺に遊びに行くと、寿一郎叔父が就職しないとありつけないよと
ニコニコしながら言います。確かに30手前にもなった男が日給4200円のアルバイトをしていても女の人からまともに相手にされるはずがありません。ですけど同じ倉庫係をしていて、それでいて彼女とやりまくっている連中がいました。それは10代後半の定時制高校生

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一統合失調症者の自分史 反省と後悔⑥ 

一統合失調症者の自分史 反省と後悔⑥ 

 自分史⑤の末尾に書いたように、大学院入試に落ちた私の気持ちは真っ暗でした。後から考えると、この辺で諦めて方向転換していればどんなに良かったかと思うのですが、私はネヴァーギヴアップと自分で自分に言い聞かせ
ました。そして鶏鳴学園というヘーゲルを原書で読む私塾に通い始めました。先生は牧野さんという方で、生徒はOさんという東洋大学哲学科のオーバードクターでした。

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一統合失調症者の自分史 反省と後悔➄

 これはとてもラッキーなことだったと思うのですが、その頃偶然、森田療法の事を知り、薬物療法が怖くなった私は、中野の鈴木診療所に入院することにしました。鈴木診療所の治療内容は簡単に言うと、掃除、洗濯(洗濯板でする。)、炊事、薪割(風呂を薪で沸かす)、封筒貼り、鶏の世話、バラ
園の手入れ、一日にどんな事をしたかを書く日誌記入等で後、夜の8時から9時迄は遊びの時間という事になっていて、毎晩百人一首のカル

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一統合失調症者の自分史 反省と後悔④

一統合失調症者の自分史 反省と後悔④

三宅康雄

 精神の病が全然治っていない状態で大学生になった私のキャンパスライフは不毛で苦しみに満ちたものでした。特に友人関係ではさんざん苦しみました。一学年で43単位迄しか履修できないという制限単位と呼ばれる制度があります。東大病院のデイケアにSさんという立正大生がいました。彼が言うには1年生の時、病気で大学に通えず1単位も取得できなかったので、学校当局に事情を話し2年生の時、制限単位の枠を拡大

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一統合失調症者の自分史 反省と後悔➂

一統合失調症者の自分史 反省と後悔➂

三宅康雄

 寿一郎叔父はまたおぞましいものを見るような顔つきで「女を喜ばせる男なんて最低だゲロゲロ(ゲロゲロの部分は言葉ではなく声色)!」と叫ぶのです。廃人状態の私の頭でも、それが若い男が妬ましいから言っているという事は分かりました。この言葉は病人の私の頭に深くめり込み、私を支配し、呪縛するようになりました。妹の雅子にこの事を話すと、「普通の人だったら撥ね返しちゃうんじゃない。」と言っていました

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一統合失調症者の自分史 反省と後悔②

一統合失調症者の自分史 反省と後悔②

三宅康雄

 地獄そのものの高校1年が終わって、2年生に進級しました。クラス替えが
ありこれで苦しみから解放されるかと思いました。甘かったです。私は理系志望だったのですが、左斜め後ろのKという男が特に理系の授業中、授業そっちのけで漫画を描くことに熱中していたのです。私はそれが気になってどうしても、授業に集中できず苦しみました。もうこの頃には多年にわたる苦しみで私の精神はボロボロになっていました。

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一統合失調症者の自分史 反省と後悔①

一統合失調症者の自分史 反省と後悔①

三宅康雄

序文
 私は中学2年生の時、統合失調症を発症して以来、66歳の今日まで悲惨で滅茶苦茶な人生を生きて来ました。統合失調症だから惨憺たる人生になったと言って、精神医学的には決して間違いではないと思います。ですけど、それだと宿命論になってしまいます。現在から過去を振り返って、あの時、ああしていれば、あの時、あんな事をしなければ、こんな悲惨で非人間的な人生にならなかった。もっと幸せで人間的な人

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