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相手の幸福を手助けすることで、自分も成長するコーチとメンター

感情知能の四つの領域の最後の領域である人脈管理は、影響力 (Influence)コーチとメンター (Coach and mentor)対立管理 (Conflict management)チームワーク (Teamwork)リーダーシップ (Inspirational leadership) の五つの特性から成り立ちます。その中から今回はコーチとメンターに関して TED の動画などを参照しながら理解を深めたいと思います。動画を見る際には日本語の字幕を活用してください。

コーチとメンターとは、他人を助けることで強い絆を作ることです。また、感情知能を通して学ぶ自己認知共感力などについて、より深く学ぶための実践的な場でもあります。

感情知能の四つの領域と14の特性

人生の師匠

皆さんの中にも、指導者や上司、先輩に助けてもらった経験をお持ちの方がいらっしゃると思います。2023 WBCで活躍した大谷翔平選手が時折他の選手にアドバイスをしている光景を見て、自分の過去を思い出したり、自分も彼のように他人を助けられる人間になりたいと思った人もいるかもしれません。

自分の知識や経験をもとに助け合う行為は、信頼関係を生み、コミュニティーの結束力を強くします。これは組織や家族のように、他人同士の集まりを維持するためには必要な力です。同じ目的を持った人が集まったとしても、助け合いのない集団では、その集団を維持することは困難になるでしょう。

プロにコーチは必要なのか?

この動画は、コーチによってプロとして活躍するヴァイオリニストや外科医、産婦人科のチームが能力を向上させるストーリーですが、二つの重要な気づきが得られます。一つ目は自身の能力を向上させるプロセスとはどういうものであるのかということです。感情知能の四つの領域の最初の領域は自己認知ですが、これは自己反省的な気づきによって自己管理の能力を鍛える基礎となるものです。コーチとメンターは自己認知のプロセスを他人の力を借りて行うことができるため、効果が高いだけでなく、短期間で効果が期待できます。これは、コーチをする側とされる側の両方に言えることです。

そして二つ目は自身による自己認知の限界です。自身による自己認知は自分自身を内側から観察する行為であるため、周りの人から認識されているあなたとは異なるものを観察している可能性があります。あなたの本当の存在は、周りの人から認識されているあなたのことなのです。

現在は多くの会社で360度評価が利用され、上司や同僚、部下といった様々な人からフィードバックをもらう機会があると思います。このフィードバックを真摯に受け止め、自己認知に活用することは、感情知能を向上させる手段としてとても有効です。

相手の幸福を喜ぶ

コーチとメンターには影響力がとても重要です。なぜなら、相手や組織の行動を促す行為だからです。したがって、あなたの感想を一方的に押し付けることを避けるべきなのは言うまでもありませんが、相手や組織の状況に応じた対応を怠れば、効果は限定的なものになってしまいます。単に科学的というだけでは不十分でしょう。病院で処方される薬を例にとっても、薬はみな科学的な根拠があるものですが、あなたの症状に合う薬は他の人とは異なることもあります。

相手の感情を理解し、相手の話を注意深く聞くことは、コーチやメンターになるための第一歩です。それは単に言葉や意味を理解するだけでなく、非言語のコミュニケーションにも注意を払う必要があります。そして、相手の幸福について思いを巡らせることもとても大切になります。相手の長所や目標は何なのか、それを実現するためにどのような手助けができるのか。

慈悲の盲点

それは共感力を超えた慈悲による行動力といえると思います。私は、この力は誰もが生まれながらに持っている能力であると信じています。

他人への慈悲(Compassion for others)は、単なる同情や親切とはまったく異なり、自分自身への慈悲(Self-compassion)を土台として培われるものです。困難な状況に陥った時に、自分がどれだけ自分を助けることができるか、想像したことがありますでしょうか?例えば、突然の災害で住むところを奪われたり、突然の解雇で職を奪われたりするような状況に陥った時、精神的なダメージから自分を救うことを想像してみてください。とても複雑な感情に襲われ、自分一人では気持ちを整理することが難しく、明日にすら希望を持てず、眠れず、様々な混乱に直面しなければならない状況です。

自分自身への慈悲を育むには、しっかりとした自己認知自己管理が必要です。そのような状況で起こる有害な脳のおしゃべりは、強いストレスになります。自分自身の現状を冷静に見つめ、明日に向かって前向きに行動する力を養うことは、あなたの人生においてとても力強く温かい力となり、真に人を助ける力となるのです。

あなたもいつかはコーチやメンターになる

誰かの上司になる、後輩ができる、自分に子供が生まれる、自分が姑になるなど、コーチやメンターをする側になるタイミングは人生で何度か訪れます。その時に改めて自身の慈悲の力の弱さに気が付くことになるかもしれません。それも決して悪いことではありません。我々は成長思考を大切にし、失敗から学ぶことができます。それでも、自分の人生をいつか振り返ったときに誇れるものにするために、感情知能を鍛え、効果的に活用してください。


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