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自信に満ちた態度と洗練された感情から生まれる影響力は人々を魅了する

感情知能の四つの領域の最後の領域である人脈管理は、影響力 (Influence)コーチとメンター (Coach and mentor)対立管理 (Conflict management)チームワーク (Teamwork)リーダーシップ (Inspirational leadership) の五つの特性から成り立ちます。その中から今回は影響力に関して TED の動画などを参照しながら理解を深めたいと思います。動画を見る際には日本語の字幕を活用してください。

影響力とは、自分のアイデアに賛同してもらうための能力であり、影響を受ける皆の利益がより大きくなると共感を得る能力のことです。この中には、組織感覚力を生かした人と人との繋がりを活用する能力や、言葉だけでなく非言語的コミュニケーション力による感情の伝達や共感力が含まれます。

感情知能の四つの領域と14の特性

自分のアイデアに賛同してもらおうと考えた場合、自分の主張は論理的であるのか、データの裏付けがあるのか、などにばかりに気を取られてしまう人もいると思います。例えば、フェイクニュースなどの広がり方を見ても、伝えている内容の正しさと、その影響力には、あまり関係がないかもしれないことに気が付くと思います。もちろん、あなたの主張に裏付けがあることは大切ですが、自分のアイデアに賛同してもらうという行為は、それとはまったく別次元の話であり、感情知能のようなソフトスキルが必要となるのです。


言葉によらないコミュニケーションの力

この動画では、25年間 FBIでスパイ、犯罪者、テロリストを捕まえ、インタビューするために鍛え上げてきた言葉によらないコミュニケーションの力について語っています。

FBIが相手にする犯罪者ですので、相手の言葉から真実を得ることが困難であることは容易に想像できます。しかしながら、相手の表情や姿勢、声のトーンなど言葉が伝える意味とは別のチャネルから発せられる意味をキャッチすることで、緊迫したコミュニケーションをコントロールできるテクニックを披露しています。

我々の目的は、このような緊迫した状態ではありませんが、このような過酷な環境での知見は大いに役に立ちます。つまり、自分の表情や姿勢、声のトーンなどは、言葉以上に多くのことを語り、影響力に影響するということです。また、相手の表情などを観察することで、自分の意図が伝わっているのか、相手の感情はどうなのか、その後の展開を考える上で多くの情報を伝えており、それを正しく認識できない限り、影響力は限定的にならざるを得ないでしょう。

自信を伝える

この動画では、先ほどの TED の動画と同じ方が、ボディランゲージにより自信を示すための様々なテクニックやそれを習得する方法を教えてくれています。誰かにアイデアを伝える際に、その自信を伝えることはとても大切です。やる気や自分の主張の正しさを熱く語る人も稀にいますが、あまり効果的な方法とは言えないかもしれません。特に影響を受ける人々の規模が大きい価値の高い提案であればあるほど、勢いを伝えるのではなく、自信を伝えることがより大切になってきます。

自信がある人は、例えばミーティングの場でもその空気をコントロールできる力を持っています。しかし、それは、抑圧的なものではなく、とても静かで穏やかで柔和なものです。良くある勘違いは、肉体的な力強さや大げさな振る舞い、ある意味、相手を威嚇したりするような行動が自信の表れであるというものです。動物の行動からも明らかなとおり、威嚇(いかく)する行動は、むしろ、おびえている、もしくはその恐怖を覆い隠そうとしている行為です。このような行動は簡単に見透かされ、影響力を行使する妨げになります。

また、自信のある人は自分の時間をコントロールします。自分の主張を伝える際や、質問を受けそれに答える際には、自分の心地よいペースを保ち、相手の要点をよく聞き、自分の言葉を選びます。時間を制する行動は、その空間にも影響を及ぼし、自信が周りに伝わります。

自信のある立ち居振る舞いは、他人から学ぶのが効率的です。自分の理想的な振る舞いをする人を見つけてください。YouTube はとても役に立つでしょう。そして、よく研究して、初めは物まねで良いのでやってみるのです。歴史のある特定の場所では、特定の振る舞いが良いとされている場合もあります。そのような振る舞いには、大切にしている価値観が背後にあるものです。そのような背景を理解することで、あなたの姿は違ったように理解され、それが影響力として人々を魅了するのです。

威厳を保ちつつ、敬意を払う

最後の動画は、スタンフォード経営大学院から影響力に関する講義を取り上げます。

この動画でもボディランゲージの大切さを語っていますが、それと合わせて、組織で影響力を用いる際に、二つの異なるアプローチを使い分ける必要性を説明しています。

一つは、自分自身の威厳 (Be authoritative) を示すことです。これは、自分には専門的な知識や経験があり適切な決定を下すことができるという自信を態度で示すことです。

もう一つは、相手への敬意 (Be approachable) を示すことです。これは、相手の知識や経験も考慮に入れ、自分に非があればそれを認め、共感を示す方法です。相手に自分のアイデアを伝えるということは、逆にあなたも相手のフィードバックに真摯に耳を傾ける必要があります。自分の話を聞いてくれない相手の話を聞いてくれる人はまれです。つまり、何かを伝えるということは、あなたがどれだけ相手の意見と感情の両方を聞き取れる能力があるのかも問われることになります。

また、動画の中では、影響力を用いる際に相手の暗黙のバイアスを考慮する必要性について、女性を例に挙げて説明しています。男性と女性では同じ行動でも受け止められ方が異なる場合があるという実験結果について説明していますが、権威と敬意という相反する二つの態度を同時に示した場合、受け手の暗黙のバイアスによって、意図せず一方の態度が強調されて認識されてしまうことがあります。権威ばかりが強調されて認識されてしまっては、あまり良い印象を与えられない場合があります。性別や年齢、大学の違いなどを上下関係に結びつけるようなバイアスには注意が必要です。

言葉を選び、自分のアイデアと相手の価値観を結び付ける

対人関係のよくある教訓に自分のコントロールできることに集中しなさいというものがあります。相手の行動は自分ではコントロールできないということを暗に語っているものですが、影響力はそれに挑戦することになります。そのための重要な戦略は、言葉を選び、感情を選ぶことです。言葉を選ぶのは、相手の価値観と上手く結びつく表現を選ぶことで影響力を増やすことができます。感情を選ぶのは、感情は伝搬し、あなたの意図をもって相手に影響を与えられる強力なツールだからです。適切な表現と共に、前向き(ポジティブ)に響く表現を用いることは、影響力に欠かせません。

あなたには、データもあり、アイデアもあるとは思いますが、あなたがあなたの視点で正しさを訴え、一人で興奮したところで、理解を得るのは困難になるばかりです。逆に、相手は自分の不作為を指摘されていると勘違いしてしまうこともあるかもしれません。そのように認知されてしまったら、あなたは敵とみなされかねません。

さらに、組織内ではその力関係や繋がりも考慮する必要があります。自分のアイデアに最も共感を得られそうな相手は誰なのか、サポートしてくれそうな人は誰なのか、その人たちは社内でどのようなつながりを持っているのか、十分に調査する必要があります。これは、自分のアイデアの価値が大きければ大きいほど、最終的には多くの人に影響を及ぼすことになるため、アイデアの正当性を検証するうえでも大切な作業です。そのような影響を受けるすべての人の成長思考を刺激できるように十分に準備してください。


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