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そして、組織は何がしたいんだ。

せっかくなので、わたしの異動か退職かわからないけれど、一つの転機に違いないこのたびの騒動を書き留めておこうと思う。

時計が次々と壊れる日々は落ち着き、
そして朝の蜘蛛を見た土曜日が開けて。






わたしは、週末のうちにドンへ手紙を書いた。

上司を介してドンへ意向を述べるより、直接言葉で語った方が明確だから。


『 わたし、その仕事はできませんと
以前から言ってるよね?
それなら仕事やめるよ、
って言ってるよね?
その仕事をやりなさいとは、
一体どういうことかな?
わたし、やめていいんだね?
それ以上そのお仕事をすすめてきたら、
言うとくけど
″  ぱわーはらすめんと  ″  だよ?

じゃあ、ばいばい 』


直接こうは書かないけれど、
こういう意味のことを書いた。

それを、優しい上司を介して提出した。


実は、土曜日の午後から右目の不調を感じたていた。
急に見え方がおかしくなり気にかかるという、明らかにまずは眼科へ行くべき症状が出た。


月曜日にお手紙を組織に渡した後で、眼科へ行った。
ネットで症状を調べたけれど、最悪の場合は、網膜剥離かもしれない。

でも、長年不摂生不健康極まりない生活だったからそれもやむなしだよな、そもそもそんな暮らししかできないなら、組織なんてきっぱりやめちまえ、……… とはいっても、お金が突然入らなくなるのもな……… 、とはいっても健康第一だよな ………、と、眼科の診察が終わるまで、思いは堂々巡りだった。


正直、退職する方がデカい事実で、目の方は仮に手術となっても仕方ない、ちゃんとするべき処置をするしかない、と比較的淡々を受け入れる心境だった。


診断結果は。


─────── 簡単にいえば
『 老化現象 』だった。

…………… 確かにわたしは若くない。
しかし、面と向かって老化、という言葉を突きつけられると、その言葉の悲哀がじわじわと心に来た。

通常に過ごしても、多少ガタが出る歳であるのは否めない。

しかし、別の機会に書こうと思うが、眼のこと以外にもあれやこれやと身体に異変が生じていた。
そこまで老いを嘆く歳ではないのに、こんなにどこもかしこもガタガタというのは、不摂生で身体は確実に老けている証拠なのだとしみじみと悟った。


眼科が終わったら、
優しい上司から連絡が来た。
内容は、
『 辞められては困るので、
何かどこかやれそうな仕事はないか、
ドンが言っている 』というもの。


……………… なんか、
もう、いやだ。

組織やめたい。
休みたい。
少しでも、元気なわたしになりたい。

心底疲れたし、
お金のためとはいえこんなにも悲哀に満ちた気分では、働く気がもう起こらない。

『 だいたい、2月の時点で、これはできる、これはできません、できるものがないなら組織をやめるとわたしは熟慮して答えているのだ。

それで、できる仕事はやらせてくれず、
できない仕事をやれって言うてきたわけでしょ?

そして、今更もう一回、何か他にありますか???って聞くって、なに?

1か月以上時間をかけて、
君たち(←上司ではなくドンのこと)
一体何を検討していたの?

他に、と急に言われも、無いよ? 』

…………… という意味の事を優しい上司に告げて、電話を切った。


そして、その翌日。

とある仕事の情報を
優しい上司から提示された。

実は、他に何か、という前日の電話の際に候補に挙がった仕事として、AとBの二つがあった。

Aは、自分なりに人を介して調べた。
それについては、人により言う事が違った。
わたしがやれるかやれないか、判断が真っ二つに分かれた。

もう一つのBは、調べようがないので放置していたら、優しい上司が手を尽くして情報を仕入れてきてくれた。
そのことには大変感謝した。
ただし、
やめたい人間を引き留めるための情報なのだ。
悪い話は予想より少なかったが、
話半分に聞いた方がいい。

『 じゃあ、一応Bならとやってみるという回答をしますが、聞いていた話と違ったら、もう本気で止めますし、そもそもBがいいと言ったからといって、わたしがBの仕事を必ずできるわけじゃないのでしょう? 』
と優しい上司に伝えた。

そうなんだよね、
俺も約束できるわけじゃない、
と優しい上司は正直に答えた。

一番気の毒なのはこの上司だ。

この上司、実はわたしが組織に入った時から知っている、先輩にあたる人。

たまに同じ仕事をしたことがある。
当時、仕事ができる・できないは、若いわたしには全くわからなかった。
でも、その後によく耳にした『 彼はとてもいい人で仕事も大変よくできる 』という評判は、直接部下になってからも一度も揺るいだことはない。
私史上で最も人格も仕事もデキている人だ。


上司はわたしの意向を組んでくれて、
ドン達の今回の人組みについても、どちらかといえばわたし達下っ端寄りでいてくれる。
つまり、ドン達のやっていることに疑問を持って呆れている。
けれど、まだ彼には人組みに口を出す権限がない立場なのだ。


わたしの最後の上司になるかもしれない人。それが、彼で本当によかったと思った。


『 阿呆な組織の一員として働くのは、何だかもううんざりだ。
けれど、あなたのことは信用できるので、
あなたの部下としてなら働きたかった 』

そう彼に告げて、この日は終わった。


さて、また、あらたな一日がやってくる。

何かに向かうカウントダウン。

どっちにしろ、今の椅子からは立ち去る。

Bの仕事が通ったなら、とりあえずあと半年くらい働こうと思う。

働いて、お金を少しでも貯めよう。
エンドがはっきりしていれば、どうにかがんばれるというものだ。

だめなら、もう仕事はやめた方がいい、こんなに心身を壊しているじゃないかという神様のお告げだ。

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