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in 士別

前回のあらすじ

 短いシカは仕事の都合で北海道、旭川に来ていた。そんな短いシカに上司は意外な言葉を放つ。「シカちゃん、一丁どうだい?一緒にゴルフでも……?」内向型ぼっち属性の短いシカは、よく知らない上司に初めてのゴルフに誘われ悲嘆に暮れたのであった……。

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短いシカ in 士別

 北海道の第二の発展都市、旭川から車を走らせて約30分、そこは『羊の街』と呼ばれる自然豊かな土地「士別」。嘗て村上春樹が『羊をめぐる冒険』の執筆のため取材に訪れた土地でもあります。そんな活字好きにはたまらない聖地で短いシカは……

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  黄昏ておりました。人見知りで運動音痴な短いシカにとって、現地の上司とゴルフをするなんてハードルが高すぎたのです。そもそもゴルフのルールすらよく分かっていません。上司が打ったら「ナイッショ——!!(ナイスショット)」と叫ぶ位しか知らないのです。上司の二人は移動の車中、専門用語満載のピロートークを繰り広げます。何を言ってるのか微塵もわかりません。私は適当に相槌をこなしながら、これからやるスポーツに恐れ慄いていました。しかしビクビクしていても時は止まってくれません。ついにその時がやってきたのです。

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 もう腹を括るしかありません。入場料200円を払い(安い!)ゴルフクラブとボールを持って、濃緑たる芝生の上にやって参りました。しかしその時になって私は奇妙な違和感に気づきます。用意されたゴルフクラブは木製で、ボールは何だかカラフルな色合いです。初球を打つスタート地点からフラッグが立つゴールまでの距離も、かなり短いように感じます。テレビで見た事があるゴルフと、私たちが今やろうとしてるゴルフ、何かが違う気がしたのです。
「何か……狭くないですか?このゴルフ場」さりげなく上司に聞いてみました。すると上司は答えたのです。「いや、結構広い方だよ?パークゴルフにしては」

……。



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 つまり、私みたいな素人でも気軽に遊べることを前提としたスポーツなのです!本格的に優劣を競う競技ではなく、エチケットとコミュニケーションに重きを置いたスポーツだと。少しほっとした私に、上司は語りかけます。「シカちゃん、周り見てみてよ」どういうことでしょう?私は上司に促されるままに雄大な芝生を見回してみます。そして上司の言わんとする事に気付いたのです。

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 全くの無人のパーク、貸切状態でした。上司は続けます。「周りに迷惑も何もないから、ゆっくり楽しもう。僕たちもいっつもダラダラやってるし。ここなら好きなだけ大声出しても大丈夫だしね。コロナストレス、発散しちゃおう」……上司の言葉に呼応し、走馬灯のようによぎる北海道の想い出の数々……。

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優しさが、沁みる!!


 そして何だかんだ、とても楽しい経験になりました!全く初体験の私でしたが、下手ながらも十分に楽しめました。感覚としては広い芝生の上で興じるゲートボール、という感じでしょうか?気づけば今までの緊張は忘れ、上司と共にパークゴルフに夢中になっている私がいました。雄大な山に囲まれ、歓声を上げ、全身を使って一喜一憂を表現する……随分久しぶりの感覚に思えます。出不精な私を誘ってくれた優しい上司に、心からの感謝です。

 さて、意外な展開からアウトドアなエンジョイを体験できた短いシカ。そんな短いシカに、上司からまたも意外な一言が……!

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果たして短いシカは北海道の銭湯をエンジョイ出来るのか?
出来る!!!!!
次回、短いシカ in 北海道
『北の大地で整うシカ』に続く!





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