明るい空色のシャープペンがくすんでいくと、受験に勝てる気がした話。
かれこれ30年くらいだったと思う。田舎である地元のスーパーの文房具コーナーや文房具専門店に、細身のシャープペンが売られていた。
100円(税別)と安価な割に、持ち手の部分が上から下までゴムよりは固いけれどプラスチックよりはやわらかい不思議な素材でできていた。
当時、売られていた他のシャーペンは、持ち手がガッチガチに固かったから、そのシャーペンはわたしのペンダコの痛みを和らげてくれた。
すごく軽かったから、長時間の勉強でも、手が疲れにくいのも気に入った。
正六角形で角は丸みを帯びていたが、丸形のシャープペンよりは、転がって机から落ちるのを防いでいてくれた。
色は、晴れた日の空や、暖かい日の海の色に似た綺麗な水色だった。
でも、その綺麗な水色も、勉強すればするほど、手汗によりくすんでいった。
汗で持ち手がどんどん滑りやすくなっていくし、多感な年頃だったから、汚れが目立つのが恥ずかしすぎて、くすむと買い換えていた。
夏なら半月から1ヶ月に1本、冬なら2ヶ月に1本くらいだったと思う。
そのシャープペンはもう使わないのに、貧乏性だったので捨てられず、ペン立てに入れていた。
少しずつ増えるくすんだ色のシャープペンは、よく読み込んだボロボロの教科書や参考書に似ていると思った。
ボロボロが増えれば増えるほど、高校受験への励みになったのだ。
「こんなに勉強したのだから、大丈夫。きっと、受かる」
ペンダコに優しくて、手に軽くて、目で見て励まされて、100円のシャープペンの束は高校合格の原動力の一つになった。
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上記の記事を書き上げた後、『水色シャープペン 30年前』で画像検索したところ、『ゼブラ KNOCK PENCIL RUBBER-100』と判明しました。
RUBBER(ラバー)はゴムなので、あのやわらかさはプラスチックではありませんでした。
当時、ペンダコの痛みが酷く、絆創膏や包帯を巻きながら勉強していたわたしには、まさに救世主の登場でした。
現在は、生産されていないとのことですが、ネットオークションに在庫が出品されることがあるそうです。
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