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スタバで恋話をする女の子たち

ミーハー心に従うように、私はスターバックスコーヒーが好きだ。新作には当然手を出すしむしろそれが楽しみにもなっている。仕事後に時間に余裕があればふらりと立ち寄ってしまうため、最寄駅のスターバックスに相当貢献しているだろう。


何がそんなに好きなのかと考えてみると、一番最初に頭に浮かんだ理由は一定のスペースを一定の時間、好き勝手に過ごしてもいいという点だった。それは他のチェーン店も同じのように感じるけれど違う部分は確実にある。それはどこよりも、周囲に対して無関心の人が多いところなのだ。気がつくと隣の人がいなくなり、知らぬ間に違う人が座っている。その干渉しなくて良いと分かりきっている楽な空間が私にとって心地よいのだ。

確かに価格は安くはない。でもそれ以上の空間に対しての居場所に対しての価値観が絶対的に存在すると思っていて、店を出る時に悔いた日はない。


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まだアルバイトが出来ない年齢の時。緑の女神マークを憧れの目で見ていた。田舎の実家周辺には女神のマークはなく、お洒落をして都内にお母さんと緊張しながら赴く時だけに現れる彼女は、その姿通り神々しく美しかった。働くようになり自分の意思で入店することに慣れてしまっても、特別な場所であることに変わりはなく、いつもほんの少しだけ背筋がピンと伸びてしまう。正直にいうと少しだけ格好つけている。

思い返せば試験前や面接前、そして心の変化が大きく生じる機会、例外になく恋人と別れた日には必ずコーヒーを注文してしまうのだ。


久しぶりに行き慣れた場所へ訪れ、冷房で冷えた体にホットコーヒーを猫舌な私はちびちびと流し込む。隣の席では多分、学生の女の子2人が恋話をしているようだ。横から聞こえるその会話は恥ずかしくなってしまうほど赤裸々だ。なんでも打ち明けあっているような、そこに勝手に私も打ち明けられているような不思議な感覚を覚えるほど内容が丸聞こえだ。

女の子たちはお互いの彼氏の話に夢中で、饒舌になりながら彼氏をディスりつつも結局は大好きなのがダダ漏れな惚気話で可愛い。そう思うのだけれども私には良く分からない感情論を披露していて羨ましくなり、私は今そっとイヤホンをつけてシャットアウトした。


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自分の好きな場所で、自分の時間を過ごそうと思う。それで幸せなのだ。


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