shii

日々の祈り

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最近の記事

耳をかさない

祖先の声に耳をかさない 祖先の声に耳をかさない 祖先の声に耳をかしていない 祖先の声に抗えなくとも 祖先の声に耳をかさない 祖先の声に耳をかさない 祖先の声に後ろをひかれ 引きずられてさえ 祖先の声が何であろうと 祖先の声に従わない それはできない 祖先の声を 求めていない 祖先の声に耳をかさない 祖先の声に耳をかさない 祖先の声に恨まれようと 懇願されようと 祖先の声には耳をかせない 例え 殺されようとも 人を殺す光 人を癒す闇

    • 流転

      エディンバラ カサブランカ アテネ デトロイト レイキャビク ニューデリー 武漢 レユニオン ケベック モンテビデオ 汝 外れぬ足枷 弛まぬ歩み 右に君 悲しき熱帯 悪魔祓い 死の島 善悪の彼岸 解ける靴紐 マー アラスカ アラスカ アラスカ 起点 流転 野生の呼び声 アイヌ アイヌ アイヌ イビサ ランサローテ パタゴニア 右には居ない

      • 小さな祈り 大きな願い

         グラスの取手をずっと握っていて 破片がキッチンにあって ずっと眺めている  示唆的な光景にして 何かしら予兆を求め  10円足りない 紙で切った指 肩がぶつかる  そんなことで次第に涙がやってくる    恐ろしいほど彼とは合っていない  好きな食事 音も 匂いも  何かを買ったところで満たされない やりきれない  ベッドの前に立って 何も感じなかった  人に見られ 「良くない」と一人責めた  でも心は動かない  純白の前で一生と誓った人だから  小さな写真を現像して 記

        • 人が見つめなかった足元

          誰しもが幼いことをしている。 幼いこと自体が世界の生き甲斐になっている。 それは感情に起因する、およそ功利的なものを排除して残ったもの。 私たちは感情を波打たせてしか、生を体現できない。 そこに孤独や承認は介在しない。 身体は感情中毒であり、いつでも感情に飢えている。 演出することで、その感情を消費する。 そのとき、人は退行する。 人間の上位存在へと先行する努力を重ねた分、その反動として成功した後に大きく退行する。 元々、高みに存在する人など存在しない。 人は与えられただけの

        耳をかさない

          どんなに飲んでも減らないカルピス

          “いい大人になって、ワインとビールとコーヒーをやめたらどうなるのだろう”思う時が遂に来た。 この9日間、飲み物は水と牛乳だけを摂取してきたけど、時には甘いものを飲む日があったって良い。ダイエットをしているわけじゃないのだから。寧ろ筋トレが捗っている。 そんな私はいま、“どんなに飲んでも減らないカルピス“と向き合っている。ここはミスタードーナツカフェの真ん中の席で、ドーナツは全て食べ切って、それでもカルピスは減らない。 紙のストローで液体を大きく吸い込む。ある程度液面が下がって

          どんなに飲んでも減らないカルピス

          寒色

          言葉を尽くして生きた上に、雨が降って全て流れていく。街の光が反射されるたび、光が現れて小さく目を細める。色とりどりの窓の灯りが全て暖色。冷たい色は足元にしかない。 よく出来た心、抑制された視線、優秀な存在、遠くの灯り。 小雨のうちは水の流れに規則は無く、やがて本降りになる。みんな同じ所に流れるようになる。そこに立っている。 言葉が上手く使えていないことに一瞬たじろいで。ふらついて1歩下がる。靴裏で水が跳ねる。 深呼吸もできないほど浅い息の中で、それでも深呼吸をする。できるだけ

          踏み外さない脚

          私は私が思うほど、死を求めていないのかもしれない。 痛いくらいに頬に打ち付ける嵐の中。 3メートル先が見えない霧の中。 少しでも踏み間違えれば、滑り落ちて帰ってこれないような足場の中。 そのような環境を自分に与えた時、 寧ろ私の心中は高揚感に支配されていた。 生の悦びが溢れる事など特に無い世界の中で、 困難な状況に置かれていく程に不可逆的に生を感じる場面を経験していくと、 「何故、仕事でそうならない?」 と自問し続けている。 報酬系を刺激できない自己回路が見ている先は

          踏み外さない脚

          【archive】danse macabre

          ・ 私は夜の淵に立ち、雨上がりのまだ冷ややかに濡れた道路の交差点に立ち、悲しみに暮れていた。その悲しみは友人と分かち合った、ある時を永遠に失った悲嘆によるものに在り、そこにはある女性(それは複数だったかもしれない)が介在しており、私たちはその他者の大きな元凶の元で捉えどころの最初から全く無かったものを失い、そして泣いていた。 {私たちに身にかかる「重力」というものは月のそれと同じく、言い得て表現するのならばあの1940年代、うたかたの世界に輝いた「ビグルモア」のそれにとても近

          【archive】danse macabre

          驟雨

          打ち込もうとして打ち込めなかった文章をまだ引きずらないでいる。 朝は確かにあった邂逅や霹靂を持ち帰らずにいる。 綿を持てずに金具を持ち重さに堪えて夜は深く眠ろうとする。 頭に抱えた重さを同じ重さで揺り起こし、夜にはその頭が和らいでいる。 何故の疑問さえ生まれる前に疲れを癒すことばかり考えている。 「汝、生きるための歯車を用い、違える為に生まれてくる。いずれは死せる物なり。如何に息をする」  この命があった時から、道を外そうとしている。  この道があった時から、目的

          ”薄旨”の概念とワイン

          ”薄旨”という感覚が味わいの中で一番好きで、それを追求しているところがある。でも、これは一つの味わいのバロメーターであるわけでもなく、複合的な構成から”薄くて、旨味がある。”という感動に行き着くもの。例えば見た目ではとても透明感があるものが、舌に含んだ途端に強烈な味を示して来たらそれは”薄旨”かと問われると、勿論否なわけで一概に何か一つの個性だけで”薄旨”とは判断されない。ウオッカやジンは決して薄旨では無いし、見た目が麻辣湯のように真っ赤なボルシチでも味は薄いもの。決して一つ

          ”薄旨”の概念とワイン

          新水平

           無限に与えられた可能性というものに、あなたは辟易している。どうしたら良いかわからず頭を煮えたぎらせ、その熱さに少しずつ溶け出している瞳がとても、とても青い。とても熱いことがわかる青だけど、そこに冷たさがある。雨の中でも水に溶け込むことのない熱い水銀のように、あなたの瞳は静か溶けていくけど、またそれとは違った形で冷たくもあって。  そのことを考えても、あなたの頭は特に困惑していない。一番暗くなる時間には家の布団に当たりまえに沈んでいくように、それは驚くことではなくて、どこか当

          新水平

          【archive】私と私の為の素敵な省察

          桜に雨の降る、夕陽の屋根の上で水が斑点を描く、斜陽に焼かれた屋根の持つ静かな熱にふつふつ、雨水は瞬時に熱を施られては小さく小さく蒸発する蒸気に還元され。 コーヒーを口元へ運ぶ間その三秒も経たぬうち、雨水の戯れはフロイト的な転移を圧倒的に凝縮したようなスピードを持ち、熱鉄板的屋根を冷やし、結婚式場で振る舞われるフランス料理の前菜のあらかじめ冷蔵庫で一日冷え冷えと過ごしたプレートの様相を呈していく。 眼前に拡がる百以上の住宅に可愛く乗せられた屋根屋根。それは色もサイズも笑って

          【archive】私と私の為の素敵な省察

          【archive】白のフレーズ、灰の赤

          >目を開いたかどうかも判別の難しいほどに、私は横たわっていた。五感はおよそ考え/思考という行為を巡らせる事も出来ず、甘く蕩けていた。アスファルトは縦軸だけに織られた絹糸に濡れ、私の右半身は湯で作った氷の様に音も無く、形があるのに溶けていた。<  彼女は吹き抜けのテラスで倒れ込んでいた。それは不可思議な事である。周囲は雨に篠突き曇天、16:53にはそこも夜の気配に包まれ全てが灰色に在り、テラスに並べられているテーブルとチェアーの新緑色だけが周囲の光とは不釣り合いなほどに強い。

          【archive】白のフレーズ、灰の赤

          少し大人な主人公がいなくなった日

          時代は”退行し続ける空気の歯車”であって、その歯車は一生噛み合うことはない。なぜならそれらは透明であり絶対的な感触が無く、明らかに、圧倒的に空気だからだ。 私の席の周囲を眺めてみる。 ①遠くでワインを片手に静かに会話を連ねている秘密めいたあの2人の恋人 ②ビールを傾けることで持て余した時間を隠そうとしているtシャツの男性 ③生命保険の上乗せ額を狙って電話の先の商談相手と大袈裟な会話するスーツ姿の女性 この三組の席の事象をもってしても、全ては”退行し続ける空気の歯車”

          少し大人な主人公がいなくなった日

          等身大に浮かぶ

          向い風がふいてから、すぐに追い風が背中を押すと、海に揺蕩うような感覚を持って、そして海に沈む。夏の生暖かい水の中、瞬きをした。 瞳に纏う塩水は眼の奥の小さな傷にちりちりと染みる。7月が近い。 彼は“海が見たい”と言いながら、川を見つめていた。ついに彼が海を見る事は無かった。彼は“川の人”だったような気がする。いつまでも海に流れ着く事のない、細い川。それが一つの答えで彼の全てだった。 声を殺してみる。嫌な言葉が脳裏に幾つも流れ込んでくるのを留める薄い川。解ける光が壁を削り、

          等身大に浮かぶ

          白の村名

          細い声でその村名を名乗った。 それだけで舌には甘い蜜のような充足した感覚が与えられるのであった。その声の主は薄く眼を半分開き、長い睫毛を揺らした。 兎のいる朝に彼らは出会った。兎はタオルケットのような朝の陽射し浴びて、ところどころ輪郭が溶けだしていて優しい。少し水分を含んだ瞳でベンチに座っている私。彼はもう一度、その村名を名乗った。 私達は渇いていた。それが雨でもいいから潤いを渇望した。膝下には干からびたサンドイッチが眠っており、足元では草木が初夏に萌えている。彼は一つの青

          白の村名