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人が見つめなかった足元

誰しもが幼いことをしている。
幼いこと自体が世界の生き甲斐になっている。
それは感情に起因する、およそ功利的なものを排除して残ったもの。
私たちは感情を波打たせてしか、生を体現できない。
そこに孤独や承認は介在しない。
身体は感情中毒であり、いつでも感情に飢えている。
演出することで、その感情を消費する。
そのとき、人は退行する。
人間の上位存在へと先行する努力を重ねた分、その反動として成功した後に大きく退行する。
元々、高みに存在する人など存在しない。
人は与えられただけの感情と感情抑制の振り分けを行い、上手くいったように見えるものだけが成功しているように見える。
意味を求める割に、意味の最後に行き着く先を答えられない。
到達点は自らで作らなくてはならない。
無限に続く過程の中の、どこかで限りをつけなくてはならない。
人は諦める生物。
諦める事によって幸せになれる唯一の生物。
再現の無い可能性の中で、無限の欲望は不相応であり身を滅ぼす。
だから、諦めなくてはならない。
そして、諦める事で幼くなれる。
感情を表に出す事が許される。
諦めない以上は感情は出せず、人生から許されもしない。
そして、諦める事ができない人は諦めた人から軽蔑される。
諦める幸せを選べなかった者として。
自分を許せない人として。

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