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どんなに飲んでも減らないカルピス

“いい大人になって、ワインとビールとコーヒーをやめたらどうなるのだろう”思う時が遂に来た。
この9日間、飲み物は水と牛乳だけを摂取してきたけど、時には甘いものを飲む日があったって良い。ダイエットをしているわけじゃないのだから。寧ろ筋トレが捗っている。
そんな私はいま、“どんなに飲んでも減らないカルピス“と向き合っている。ここはミスタードーナツカフェの真ん中の席で、ドーナツは全て食べ切って、それでもカルピスは減らない。
紙のストローで液体を大きく吸い込む。ある程度液面が下がっていくのを視覚で確認している。ふと目を窓から見える街頭に向けて、ひと呼吸、ほっとする。テーブルに目を戻す。カルピスは減っていない。
この時が終わらない。確かに味は薄くなっていく気がしている。するすると、少し飲みやすくなった気がする。この時がいつまでも、終わらない。
それは微かな希望の前触れのようで、なにかの終わりの始まりのようでもある。答えはどこにも無い。
きっと誰かは、これをいつか飲み干すだろう。
このカルピスに終わりを与えることができるだろう。
そして、誰かが新しいカルピスをまた見つけるのだろう。
私はまだ、この目の前の”どんなに飲んでも減らないカルピス“の終わりを待っている。

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