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neutral011 大谷翔平バイリンガルへ

 
 前回の身代わりの話が琴線に触れた人は日本人の利他行のニュートラルが身についているのだろう。
 けれど、利他がバカバカしいと感じた人は欧米人の個人主義寄りに多く足を突っ込んでしまっているのだろう。
 二者択一で決めようとしている訳ではないから剥きになっても仕方がない。
 ただ両天秤で生きてゆくのは倍のエネルギーが必要かもしれないが(ニュートラルで英気を養い)、日本人は難なくすり抜けてゆく、頑張って欲しい。

 Youtube でインタビューを受けている欧米人で注目すべきは治安のいい「日本に住みたい」が多く、稀に「日本人に生まれたかった」はあれど、これから「日本人に成る」成ろうというのは皆無。服装その他で日本人に近づこうとする若者はコスプレを見ても結構いる。一旦欧米の祖国(民族)に生まれ育った人間が大人になってから別の民族になることは不可能であるという命運を理解しているのだと思う。畳や家で靴を脱ぐといった風習を取り入れはすれどもそれで日本人になれるとは思っていない。日本人の一部の英語習得によってアメリカ人並みに近付けたり、願わくば成ったりと云う淡い幻想を持っていない。それもヨーロッパ、四方を別の国に囲まれている歴史から民族が違えば理屈なしに敵対関係に陥り戦わなければならないとか、ヨーロッパにおいては民族の出自は決定的な出来事であることを身をもって知っているからだろう。

 アメリカの人種差別から来る敵対も同様であろう。身体能力は抜群であっても黒人に成ろうという白人はスポーツ選手以外居ないのであろうが、マイケル・ジャクソンのように肌を脱色する(病気だったとも)、白人に成りたい黒人はいるだろう。ただ外見だけで白人の文化風習もすべてか、といったらその辺は分からない。恐らくは身に付いた風習までは捨てない気がするのだが、憶測でしか無い。

 日本人もその類いに分類されてしまうのか、ここでまたバイリンガル水原一平が再登場する。外見は日本人、喋ると完璧なアメリカ語を話すアメリカ人。果たしてその性格は……。

 「見た目は子供、頭脳は大人 その名は、名探偵コナン」
 この見事な両義性こそ日本人の人間像の伝統なのだ。バイリンガルも然りだろう。両義性が兎に角好きなのである。越後の縮緬問屋の隠居、や桜吹雪が……目に入らねえのか。がヒーローには似合うのである。

 最近のYoutubeでのアメリカ人は、中国語でしか話しかけない中国での中国人の偏屈に対し、日本人は英語で話してくれる。有り難さと同時にアメリカ人は他国語(日本では日本語)を話さなくて申し訳ないとさえ言うようになった。日本人の謙虚さが伝わったのか、謙虚なアメリカ人が登場して来て驚く。異文化交流はこのような成果も生み出してくれるのか。

 大谷翔平の影に隠れるように生きていた通訳水原一平はアメリカ人になりたがっている日本人の憧れをいくらかであったとしても象徴していたのだと思う。
 日本人の潔さを発揮し全ての悪行を一人で幕引きしてもらいたいものだが。

 ニュートラルはバイリンガルの二国の間に、コナンの大人と子供の隙間に、隠居と副将軍の隔たりに、遠山桜と左衛門尉の飛躍にも当然媒体として関わっている。

 大谷翔平は通訳を外され、直に英語(スペイン語)でコミュニケーションを取っており、監督はその現象をチームメイトとしてより親密な人間関係が築かれるだろうと目を細めている。可愛い子には旅をさせろ、なんという親心。日米の混血(母親が沖縄在住の日本人)であるロバーツ監督にも日本人の発想が垣間見られ大谷翔平とのコンビ、英語でのコミュニケーションも期待できそうだ。
 大谷翔平は失脚した通訳水原一平以上の、正真正銘のバイリンガルとなり、両義的日本人の憧れの対象に飛翔してゆく、という未来がアクシデントにより開かれた。
 人間万事、塞翁が馬。
 
 なかなかホームランが出ない大谷翔平。ホームランっていうのはメジャーでも決定的な意味と魅力を持っており解説してみよう。
 
 サッカーでもラグビーでもバスケでもバレーボールでもホッケーでも、その他、そして野球においても、ゴールや得点が目的で競技が行われているように思えて、俯瞰して見渡せば平滑空間を作り上げることが得点に結びついていることが分かる。ディフェンスをかわすとは敵が居るのだが、居ないと同じ状況をその一瞬に作り出す。つまり隙間から隙間に見えてゴールまでの平滑空間を作った事にもなるのだ。例え瞬間的にであっても。ホームランは特にデフェンスの上空を飛び、手も足も出ない。完璧な平滑空間だ。この大空に羽ばたく快感は野球が独占しているかのようである。ディフェンスの野手の間を抜けるヒットも平滑空間であるが規模が小さい。カタルシスの感じ方も。

 斯様に大谷翔平にとっても伝家の宝刀であるホームランは禊の力さえ秘めているのだと思う。

 日本には「桜前線」と同じ時期に「球春」という独特の言葉がある。
 打てば打つほど大谷翔平の身も心も綺麗に浄化してゆく。今はまだヒットの打球速度で(no1)発揮されているが、ホームランが待たれる。(続く)
 2024/04/02

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