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新型コロナウイルス関連の記事をまとめました
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#小児科

小児におけるLong-COVIDについてLong-COVID in children and adolescents: a systematic review and meta-analyses

小児におけるLong-COVIDについてLong-COVID in children and adolescents: a systematic review and meta-analyses

小児における新型コロナウイルス感染症の長期的な影響(Long-COVID)について懸念しておりましたが、NatureのScientific Reportsにシステマティックレビューの論文が掲載されたのでご紹介します。

Long-COVIDはまだ定義も確定していない概念ですが、今回ご紹介する論文では、National Institute for Health and Care Excellence

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東京都の新型コロナウイルス感染症の動向アップデート 新型コロナウイルス感染症はインフルエンザなみになったのか?

東京都の新型コロナウイルス感染症の動向アップデート 新型コロナウイルス感染症はインフルエンザなみになったのか?

2022年1月以降の東京都の新規陽性者数の動向(4/9 アップデート)

 2022年1月以降の東京都の新規陽性者数の動向です。今日はその他に、新型コロナウイルス感染症はインフルエンザ並みになったかについても少し書きます。

 新規陽性者の7日移動平均のグラフです。新規陽性者数が横ばい(あるいはわずかに増加傾向)であることがわかります。年代別にみると、どうでしょうか。10歳未満は減ったのでしょうか

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東京都の新規陽性者数の動向 第7波? 今後注視すべきこと

東京都の新規陽性者数の動向 第7波? 今後注視すべきこと

 1/1~3/31の東京都の新規陽性者数の動向です。図の左は1/1~3/31の東京都の新規陽性者数の7日移動平均、右が年代別新規陽性者の移動平均(年代別人口で標準化)のグラフです。年初の増加よりはゆっくりですが、増加傾向が始まっています。

 次のグラフで、ここ10日ほどの詳細を見てみましょう。グラフはここ11日間の年代別新規陽性者の変化です。高齢者の陽性者がまだ少ないので、右に0~50代のグラフ

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3回目のワクチンは遅かったのか? 東京都の新規陽性者数の動向 2022/1~

3回目のワクチンは遅かったのか? 東京都の新規陽性者数の動向 2022/1~

 今日は、東京都の新規陽性者数の動向をお示しするとともに、オミクロン株の流行による第6波対策の問題点について考えてみたいと思います。

2022年1月以降の新規陽背者数の動向

 まず、図をお示しします。図1の左のグラフを見てください。低下傾向にありますが、他国と同様に低下速度はゆっくりです。子ども→成人の感染が増えたこと、不顕性感染者や軽症者が増えたこと、ワクチンの感染予防効果が低下していること

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東京都の新規陽性者数の動向 年代別移動平均の変化 〜2/25

東京都の新規陽性者数の動向 年代別移動平均の変化 〜2/25

 東京都の新規陽性者数の7日移動平均データです(2022/1/4~2/25)。ピークを越え低下してきています。ただ、前の記事でも書きましたが、検査の飽和や検査・受診の控えによりかなり過小評価されている可能性はあります。流行曲線は前記事の予想通り山のてっぺんがつぶれて、いびつになっています。検査陽性率はまだ37.4%と高いです。

 下の左上の図をみてください。年代別の移動平均の変化です。年代別人口

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子どもの新型コロナウイルスワクチン

子どもの新型コロナウイルスワクチン

5~11歳の新型コロナウイルスワクチンについては、判断に迷うところです。現時点では、私は原則として接種した方がよい(特に年長であるほど)と考えていますが、「絶対にやりなさい」というよりは「接種した方がいいし、おすすめするけど、しっかり考えてみてね」というスタンスです。最終的には家族の判断だと思いますが、そのためには判断材料が必要です。今日は、そこのあたりをまとめてみました。

実際接種されるワクチ

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オミクロン株はなぜ病原性が低下したか

オミクロン株はなぜ病原性が低下したか

オミクロン株の病原性の低下の理由が少しずつ解明されつつあります。この論文ではウイルスの変異によってTMPRSS2という酵素のはたらきが低下することが原因ではないかと推測しています。

コロナウイルスは大きく分けて二つの方法で細胞に侵入します。

ひとつはACE2と膜貫通型セリンプロテアーゼ2(TMPRSS2)を介する方法(画像のa)。スパイクタンパクはS1とS2という二つの部分からなります。まず細

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コロナウイルスと免疫の話

コロナウイルスと免疫の話

免疫の話 

新型コロナウイルスの抗体は3か月しかもたない、抗体ができにくいなどというニュースで不安になっている方々は多いと思いますが、いやいや免疫ってもっとすごいんだよって話をします。

免疫は常に侵入してくる病原体から人体を守っています。もし免疫のはたらきがなかったら、抗生物質や抗ウイルス薬があっても生命を維持することはできません。

病原体が侵入すると、まず自然免疫がはたらきます。自然免疫系

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東京都のコロナウイルス新規陽性者の動向(~7/11)

東京都のコロナウイルス新規陽性者の動向(~7/11)

3/17~7/11までの東京都の新規陽性者数のデータ解析です。新規陽性者の7日移動平均、移動平均変化率、FBにもアップした年代別陽性者数(7日移動平均)のグラフを示します。年代別データでは10代以下、70代以上のデータは省略しておりますが、保育所などで集団感染が発生しているとの情報がありましたのでそれは後日加えます。乳幼児でのクラスターの発生は注視していく必要があります。タイトルの画像はいらすとや

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東京都のコロナウイルス新規陽性者の動向(~7/28) 年代別解析

東京都のコロナウイルス新規陽性者の動向(~7/28) 年代別解析

ここ16日間の東京の新型コロナウイルス感染症の動向です。2日前にFBにアップしたものに2日分のデータを加えました。移動平均を使う理由、文章中にでてくる(選択)バイアスなどの用語については別の機会に解説します。

①はここ16日間の新規陽性者数と7日移動平均(赤線)です。ゆるやかな増加傾向にあります。しかしながら、PCRの検査数増加だけではなく、検査施行条件のバイアスが大きいので、移動平均だけでは正

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コロナ禍の中の子どもたち

コロナ禍の中の子どもたち

新型コロナウイルス感染症がなかなかおさまりませんね。そんな中で小児科医として懸念していることがあります。一部は小児関連の各学会だけでなく、個々の小児科医がすでに対応を始めていますが、行政による支援を要望します。まだ他にもあるでしょうね。何かありましたらご教示ください。イラストはいらすとやさんのイラストです https://www.irasutoya.com/

1 子どもに新型コロナ感染症に対する

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東京都のコロナウイルス新規陽性者の動向(~8/15)

東京都のコロナウイルス新規陽性者の動向(~8/15)

東京の新型コロナ感染の解析です。東京は少しいい兆候が出て来ました。再生産数も1を切っているようです。

①のグラフは2月14以降の新規陽性者数です。緑の線は7日移動平均です。検査基準、検査数が大きく変わったため今起こっている波と4~5月の波を単純に比較することはできませんが、移動平均を見る限りは新規陽性者は減少傾向にあるように見えます。一部若年者などで重点的に行っていた検査がひとまず落ち着いたから

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東京の新型コロナウイルス新規陽性者の動向(~12/4)

東京の新型コロナウイルス新規陽性者の動向(~12/4)

まずはいつもの東京の検査陽性者数の推移です。

なんとなく、ピークを迎えそうというのは私のひいき目でしょうか。連休から10日ほど過ぎたところですから、まあ急増は免れたのかなと楽観したいところです。再生産数もそこまで高くないようだし、来週の動向を注視したいですね。これを見ると10月24日前後から急増しているようにみえます。そこまでは横ばいで、人の活動・接触と感染の広がる速度が均衡していたようにみえま

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東京都のコロナウイルス新規陽性者の動向(~2021/1/1)

東京都のコロナウイルス新規陽性者の動向(~2021/1/1)

みなさん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

新型コロナ、東京都の新規陽性者数の解析です。今回は陽性者の絶対数を都の年代別の人口で補正して、標準化しています。

上のグラフは東京都の年代別の7日移動平均のグラフです。20代が突出して増加しているように見えます。20代の陽性者数が多いことは確かなんですが、増加率もそうなんでしょうか。下のグラフはY軸を対数目盛にしたもの

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