今後ビッグフットに遭遇した場合に備えて見ておこう「イグジスツ 遭遇」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(562日目)
「イグジスツ 遭遇」(2014)
エドゥアルド•サンチェス監督
◆あらすじ
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テキサスのビッグ・シキット国立保護区へバカンスにやって来た5人の若者たち。夜道を運転中に何かをひいた彼らは慌てて正体を確かめようとするが、血まみれの動物の毛が車に貼り付いていただけで何も見当たらない。そのまま運転を続けて叔父のコテージにたどり着き、大自然を満喫しようとする彼らの前に、突如として毛むくじゃらの巨大な怪物が出現。凶暴な怪物は驚くべき身体能力を駆使して若者たちに襲いかかり、1人また1人と命を奪っていく。(映画.comより引用)
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「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(’99)の監督を務めた一人であるエドゥアルド•サンチェス氏が監督を務めたモキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)作品で、バカンスのために訪れた先でビッグフットに遭遇してしまう若者たちを描いています。
モキュメンタリーの中で、さらに細かく言えばファウンド・フッテージというジャンルに分類されると思います。
ちなみに由来としては、発見された(found)+未編集の映像(footage)でそのままファウンド•フッテージと呼ばれ、主にPOVやモキュメンタリーのホラー作品に用いられます。撮影者が命を落としたり行方不明になり、その後その事故現場からビデオカメラなどの映像だけが発見され、それを手に入れた第三者によって公開されたという体の作品です。
中盤以降は基本的にマットの兄であるブライアンがカメラを回したり、ビッグフットに遭遇したあとにマットが頭にヘッドカメラを装着して逃走したりと誰かがカメラを回しています。
ですが、若者5人が車中で他愛のないやり取りをしていたり、夜の山道で何かを撥ねてしまったりと冒頭からマットたちの叔父のコテージに辿り着くまでの10分弱は5人のうちの誰かがカメラを回すわけでもなく、通常の映画と同じく普通にカメラマンが撮影しています。せっかくモキュメンタリー作品を撮るのであれば最初から最後まで誰かがカメラを回す体で進めれば良かったのでは?と気になってしまい、途中からモキュメンタリーに切り替える意図が私には分かりませんでした。
しかし!
詳しくは後述しますがビッグフットのクオリティは圧巻の一言です。「これ本当にホンモノなんじゃないの?」と勘違いしてしまいそうなほどで、人間のように堂々と歩いている様子がこれまた妙に生々しくて面白いです。
そんなハイクオリティなビッグフットを拝めるだけでもこの映画を見た甲斐があると言っても過言ではないです。
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まず本作の目玉でもあるビッグフットについて軽くまとめておくと
ビッグフットはアメリカ合衆国で目撃されるUMAの一種。目撃された記録として一番古いものは1924年まで遡り、1967年以降だけで見ても目撃情報は国内のみで3000件を超えています。カナダ西海岸部の原住民は同様のUMAのことをサスクワッチ、サスカッチと呼び、神聖な生き物としているそうです。
諸説ありますが、身長は2m程で体重は200~350kg。二足歩行で歩幅は1~1.5m。足跡は発見一番大きいもので47cm程。筋骨隆々で、全身に褐色または灰色の毛が生えている。 顔には毛が生えておらず、鼻が低く、目が落ち窪んでおり、体臭が非常にキツいと言われています。
「猿人やギガントピテクスの生き残り説」、「ハイイログマ等の大型動物の誤認説」、「単なる狂言説」など色々と言われていますが、未だに答えは出ていません。
『挑発されたときに限り、凶暴化する』というのが専門家の見解らしく、この要素は本作においてもかなり重要となってきます。
このビッグフットがまぁリアルです。
もちろん怖いのは怖いんですけど、それよりもあまりに強いのでだんだん面白くなってきます。片手で人間の首をへし折るわ、車をペシャンコにしてしまったり、どこまでも追いかけ続けたりと喋れなくともその魅力は十分過ぎるくらいに伝わってきますし、なぜ若者たちを襲うのかも理由がしっかりしているので納得できます。
終盤までは遠くから見えるだけとか、真っ暗な中で襲ってきたりとその姿はよく見えませんが、最後の最後にびっくりするくらいちゃんと全身が映ります。もしかしたら最後まで見せない方が面白いんじゃないかと言う人もいるかもしれませんが、個人的にはクオリティが高かったのでその姿をしっかり拝めて良かったです。
今作を見ることで、もし実際にビッグフットに遭遇したとしても多少耐性がついているので初見の人よりかは冷静でいられそうです。
若者5人はお世辞にもキャラが濃いとは言えず、ストーリー自体は薄味です。最初はバカンスでその土地を訪れたものの、ビッグフットを目撃して以降はその姿を動画に収めてバズろうみたいな切り替え方があまりハマっておらず、『最初からビッグフット目的でやって来たおバカな若者たち』とかで始めても良かったかもしれないなと思いました。ですがラストのブライアンの行動はかなり意外というか、すごく良かったです。
作品全体のテイストは同監督の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(’99)に寄せているというか、おそらくそういう風に作ってくれと言われたんだと思います。
「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」は完全なるPOV方式で、誰が何の目的でそこに置いたのかも不明なオブジェや儀式の跡的な何か、さらには得体の知れない恐怖が非常に恐ろしかったです。
しかし今作に関してはシンプルに『ビッグフットの脅威』を描いているので、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」のように想像する余白がある作品ではありません。
なのでもちろん面白いんですけど、そういうテイストにはあまり合っていないというか普通のB級映画みたくなってしまったあたりは勿体無いと思いました。
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