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ダメダメ兄貴がヴァンパイアになっちゃった!?笑って泣けるヒューマンコメディホラー「ぼくのデコ 23歳のヴァンパイア兄貴」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(532日目)

「ぼくのデコ 23歳のヴァンパイア兄貴」(2021)
コナー•マクマーン監督

◆あらすじ
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スーパーマーケットで働くティーンエイジャーのマットに驚天動地の事実が発覚。なんと兄のデコがヴァンパイアになってしまったのだ! マットは兄を生かすべきか、それとも杭を打ち込んで滅ぼすべきかの二択に引き裂かれるハメに。原題は『ぼくのエリ 200歳の少女』の英語タイトルをもじったパロディ。(Filmarksより引用)
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◇悪ガキたちのイタズラによって命を落としたポンコツ出張ピエロが6年の月日を経て、怨念により墓場から復活。高校生になったあの悪ガキたちに復讐を果たす…

という王道のホラーながら、そのテンポの良さとグロ描写のクオリティの高さで面白さを2〜3段階引き上げており、個人的にはかなりお気に入りの一作である「道化死てるぜ!」。
(現在配信はしてなさそうです…)

そんな「道化死てるぜ!」で監督デビューを果たしたコナー•マクマーン氏が監督、脚本を務めたのが今作「ぼくのデコ 23歳のヴァンパイア兄貴」です。

バカ兄貴•デコ(右)と真面目な弟•マット(左)
(映画.comより引用)

ある日いきなりヴァンパイアになってしまったダメダメな兄貴•デコとしっかり者ゆえにそんな兄を生かすべきかどうか悩む弟•マット。ただでさえ家族のお荷物だったデコがヴァンパイアになったことで母親との確執は深まるばかり。そんな彼らや彼らを取り巻く人々、ヴァンパイアを描いたヒューマンコメディホラーです。

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映画.comより引用

『無職のどうしようもない兄貴がある日、いきなりヴァンパイアになってしまう』

という導入から心を掴まれました。

ヴァンパイアになった経緯も
『彼女にナイショでこっそり訪れたクラブでおばちゃんヴァンパイアのシーラにトイレに連れ込まれて襲われる』

というなんとも情けないもので、デコ自体がかなりのダメ人間なのも相まって、かわいそうな感じがまったくしないのが良いです。

一方、弟のマットはデコとは対象的なしっかり者で、一緒に暮らす母親の面倒も見ています。

兄にも母親にも悩まされる苦労人のマット(右)
(映画.comより引用)

父親似のぐうたらダメ人間になってしまったデコを毛嫌いする母親はデコと顔を合わせる度に“役立たず”、“顔も見たくない”など罵声を浴びせ、マットばかりを贔屓します。
マットの優しさに甘えきって、家事や料理をすることもなくなり、毎日のようにスクラッチくじに没頭するなど母親は母親であまりよろしくないところも多々見受けられます。

デコの恋人•ナタリー
デコの母親がヴァンパイアに誘拐された際は「いなくなればこの家を相続できる」というド畜生発言も飛び出します。
(映画.comより引用)

その他、おばちゃんヴァンパイアのシーラ、シーラの夫でタクシードライバーをしながらヴァンパイアを討伐しているヘンリー、なんだかんだでデコを見捨てない優しい彼女のナタリー等など登場人物も非常に魅力的でした。

重要キャラのヘンリー(左)があっけなく殺されてしまうのも面白かったです。(映画.comより引用)

そして、今作最大の見所となるのは“家族の絆”ではないでしょうか。

アクションシーンなどは少々もったりしていて、チープさを感じてしまう部分もありますし、コメディ部分もつまらなくはないんですけど薄いというか「今の笑うところだった?」と後から気づくレベルのものが多いです。

なので“アクションを楽しもう”とか“コメディホラーとして見よう”というスタンスだと物足りなくなると思います。

ちょっぴり笑えるヒューマンホラーとして見るのが正解だと思います。

無意識にマットの首すじを狙うデコ
(映画.comより引用)

今作では、身内がヴァンパイアになってしまった平凡な男•マットが主人公で、ヴァンパイアになったデコは狂言回しのような役割りなんだと思います。

時間の経過とともに凶暴性を増し、血を欲するデコを見て、マットは“そんな兄貴を生かしておくべきかどうか”葛藤します。

昔は大好きだった兄貴が母親からは罵声を浴びせられ、家にも寄りつかず、自分が働くスーパーでは万引きを繰り返す。

尊敬できる兄貴じゃない。肉親同士が揉めているところをもう見たくない。生かしておけばヴァンパイアを増やすことになるかもしれない。

でも殺せない。

という優しくて繊細なマットの心理描写がとても良かったです。

終盤ではヴァンパイアに変装して母親を助けに行きます。
(映画.comより引用)

だからこそ終盤で、またもや揉めるデコと母親に対して積もりに積もった自分の気持ちをぶつけ、強引に仲直りさせてスッキリしたのか、コウモリに変身したデコに掴まってヴァンパイアのアジトを後にする爽快なクライマックスでは久々に兄弟の絆を確かめ合い、本当に楽しそうに腹の底から笑っていました。

このシーンは非常に印象深くて胸に来るものがありました。

◇母親の血液型がヴァンパイアたちにとってご馳走のAB型RHマイナスであったことから、セーラたちが開くパーティの景品にするため母親が誘拐されるという後半の流れから、それを助けに行くマットとデコ

という展開も自然でとても良かったです。

ラストはデコと母親も少しずつではあるけど歩み寄り、エンディングではニトリで買った棺桶が組み立てられないデコがマットにテレビ電話をしながら作り方を聞いたり、近況を報告し合ったりと楽しい気持ちになれる終わり方でとても良かったです。

デコの眉毛が見事に“への字”になってるのも個人的には面白かったです。(映画.comより引用)

あと、ヴァンパイアの設定がかなりしっかりしており、陽射しで燃えてしまう、ニンニクが苦手、心臓に木の杭を打たなければ死なない、それ以外の傷や怪我はすぐに治る、鏡に映らない、コウモリに変身して空を飛べる等など基礎を抑えています。

陽射しを浴びると皮膚が焼けてしまいます。
(映画.comより引用)

100分の割には少々長いような気もしましたが、それなりに楽しめる一作だと思います。以外と今作もがっつりグロ描写があるので苦手な方はちょっとあれかもしれません。

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