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センスの光る脚本と演出!あと、おバカな邦題は嫌いじゃないです「ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(548日目)
「ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私」(2018)
パドレイグ・レイノルズ監督
◆あらすじ
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メアリーは24時間営業の【ガス・スタンド】に勤務することに。実は彼女の元恋人は、世間を震撼させたシリアル・キラー【雨の切り裂き魔】だった。いくつもの殺害現場を目撃したメアリーは、事件以降、幻覚に悩まされ妄想症を患う。勤務初日の夜。ガス・スタンドに電話が鳴った。「殺人を見るのは好きか?」。恐怖に怯えるメアリー。果たして、これは現実かそれとも妄想か…。彼女の長い夜がはじまる…。(amazonより引用)
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カナダ発のスリラー映画です。
『トラウマを抱える女性が深夜のガソリンスタンドに勤め始めるも、つぎから次へと不可解なことが起きる』
というシンプルなストーリーながら
“どこまでが現実でどこまでが妄想なのか”という中盤までの恐怖から一転、それ以降はがっつり物理で怖がらせてくれるため飽きがこず、非常に楽しめました。
監督を務めたパドレイグ・レイノルズ氏はホラージャンルの作品を得意としており、詳しくは後述しますが随所に光る脚本や演出の妙、カメラワークやカット割りの上手さで作品自体の面白さが何割増しかになっている印象です。
現在、アマゾンプライムとU-NEXTで配信中です。
ちなみに原題は「Open 24 Hours」で、直訳するとそのまま「24時間営業」でしょうか。主人公•メアリーの務めるガソリンスタンドが24時間営業というところからこのシンプルなタイトルになったのでしょう。
しかしです。
邦題にする際にそのまま「24時間営業」とつけるのはあまりにも味気無いですし、配給会社としてもキャッチーかつ作品の内容が伝わるようなインパクトのある邦題を模索してあのタイトルにしたんだと思います。
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そうです。
「ザ・スタンド 連続殺人犯の元カレと妄想症に悩む私」です。
いやぁ、バカですね(笑)
“ザ•スタンド”は舞台がガソリンスタンドだからまだ分かりますけど、ジャケ写を見る限り完全に「ジョジョの奇妙な冒険」の3部から登場した能力“スタンド”に寄せてますね。
確かに登場人物が襲われる際は、犯人が音もなく後ろに立っていることが多いのでスタンドっぽく見えないこともありませんが、「ゴゴゴゴゴ」は流石にやり過ぎなようにも感じます。というかジャケ写のタイトル自体も少々ジョジョに寄せているようにも見えます。
タイトル後半の「連続殺人犯の〜」は作品の内容を一瞬で分からせるためにもはやラノベのタイトルのようになってますし、そもそも長いですね。
正直なところ、私はこういうおバカな邦題が大好きなのでアマゾンプライムでこの作品を見つけた瞬間にあらすじも読まずにまずは再生しました。
そういうモノ好きな方々は手に取るでしょうが、逆に敬遠する方も一定数いると思います。
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(amazonより引用)
内容自体はかなりシンプルで意外性はありませんが、先述したようにあるゆる部分にレイノルズ監督センスが光ります。
まず脚本に関しては
◇交際相手ジェイムズが連続殺人犯だったことを知ったメアリーは、「バラせばオマエもオマエの家族も殺す」と脅され、逃げることも止めることもできず、殺害現場を何度も目撃することとなる。しかし、良心の呵責に苛まれたメアリーは彼に火を放ち、犯行を食い止める。全身に火傷を負い、刑務所に収容されるジェイムズ。そしてメアリーもまた一時的ではあるが刑務所に入れられてしまう。
という、これだけで映画一本撮れてしまいそうなこの上記の内容が起こった後から物語が始まります。本来であれば続編部分にあたる部分から描くというこの発想は非常に斬新に感じました。
「主人公VS連続殺人犯の彼氏」という内容の一作目がヒットして、「トラウマを抱えたままの主人公VS脱走して復讐しに来た元彼」という内容の続編が作られるというのが普通の流れですし、そう考えるとやはり今作はかなり面白いアプローチですよね。
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『出所してガソリンスタンドで働き始めたメアリーだったが、心の傷は治っておらず、妄想や幻覚に苦しみ続ける』という中盤までの流れから、後半は『脱走した元彼がメアリーに復讐しに来る』という王道のスリラーになる展開も非常に自然でした。
個人的には映画冒頭のメアリーとガソリンスタンドのオーナー•エドがアルバイトの面接をしている中で、彼氏に火をつけて刑務所に入っていたことを正直に話したメアリーに対してのエドの第一声が「ひどい男なのか?」だったのが非常に印象的でした。
本来ならばそんなヤバいことをしているのだから「なんでそんなことしたんだ?」とか「それで?死んだのか?」と聞きたいところでしょう。ですが、メアリーをただの犯罪者と決め付けずにまずは相手に問題があったんだろうと考えるエドの懐の深さが分かるワンシーンでした。
私はここでまず心を掴まれましたし、レイノルズ監督のセンスを感じました。
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メアリーを心から心配している親友のデビーやガソリンスタンドの従業員ボビー、メアリーの保護観察官のトムなど、どの登場人物も魅力的で非常に良かったです。
ホラー的な演出としては定番のジャンプスケアなども抑えつつ、「そうはならんだろ!」と思わずツッコミたくなるようなトリッキーなものもあり、更にはカメラワークやカット割りが巧みなのでかなり怖いです。後半の元彼登場からは常に緊張感があり、一切先が読めないので最後の最後まで楽しめました。オススメです!
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