ゾンビの可能性は無限大!残虐性の裏にあるテーマとは「ランド・オブ・ザ・デッド」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(508日目)
「ランド・オブ・ザ・デッド」(2005)
ジョージ•A・ロメロ監督
◆あらすじ
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近未来。甦った死者が人間を襲い始め、僅かに生き残った人々は周囲を川に囲まれた要塞都市に集結、豪奢な功高層タワーと貧民街に分かれて暮らしていた。物資調達隊を率いる傭兵ライリーは、街を統治する権力者カウフマンから仲間の傭兵チョロが謀反を起こし、タワーの爆破を先刻したことを知らされる。タワーの爆破が迫る中、知能が芽生え始めたゾンビの集団が川を渡り居住区を急襲。街は一瞬にして阿鼻叫喚の地獄と化す!(ユニバーサル100周年より引用)
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ゾンビ映画界の巨匠•ジョージ•A•ロメロ監督の代表作とも言える“ゾンビ三部作”
「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(1968)
「ゾンビ」(1978)
「死霊のえじき」(1985)
そして!
今作はロメロ監督が前作からおよそ20年ぶりに自らメガホンを取ったゾンビ映画であり、シリーズ四作目として位置づけられています。
現在U-NEXTで配信中のほか、アマゾンプライムでは407円からレンタルも可能です。
ロメロ監督曰く
残虐性の裏にあるテーマは、過去の作品で提唱してきた「世界事情(戦争・紛争など)の他方向からのアプローチ」(ランド・オブ・ザ・デッドWikipediaより抜粋)
であり、強者が弱者を力によって押さえ込む覇権主義の姿を作品に取り入れているそうです。
作中では主人公のチョロやライリーは傭兵として、町の支配者であるカウフマンに雇われています。
チョロは富裕層が暮らす安全な町•フィドラーズグリーンに住むことを夢見て、カウフマンから依頼される汚れ仕事を積極的に引き受けます。
しかしカウフマンから冷たくあしらわれ、用済みとされたことで報復を決意。武装車を強奪し、カウフマンと敵対します。
一方、ライリーも傭兵として働きつつ、ゾンビのいない地域に移ることを決意していました。しかしチョロの武装車強奪事件により、カウフマンからチョロの殺害と武装車の奪還を命じられてしまいます。
仲間である彼らが戦わなければいけない状況を作ったのも、そもそもはカウフマンの支配のせいです。
富裕層はフェンス内の安全な地域に住まわせ、貧困層は劣悪な環境のスラムに追いやるという町の支配者として君臨。ビッグ・ダディ率いるゾンビの大軍が町に押し寄せた際は住人たちを見捨て、いの一番に逃げ出すクズっぷりを見せつけます。
この強者と弱者の対立構造が非常にパンチが効いており、作品に深みが増していました。
そして、今作はゾンビの設定が非常に斬新で興味深かったです。
ほとんどのゾンビはいわゆるいつも通りのゾンビです。しかしゾンビ側の主人公とも言えるビッグ・ダディは生前の記憶に沿った行動(車にガソリンを入れようとしたりする)を取ったり、会話(のようなもの)によるコミュニケーションも可能です。
仲間が殺られた時は嘆き悲しんだり、叫んだりと明らかに感情があるように見て取れます。また銃の扱いも理解しており、それを他のゾンビに教えたりとかなりイレギュラーな存在となっています。
これが突然変異的に誕生したゾンビなのか、それともたまたまゾンビウィルスの進行が遅いがためにギリギリ人としての理性や知能が残っているのか、そのあたりは明かされていませんが色々と想像が膨らむ魅力的なゾンビでした。
ゾンビが人を襲うシーンもロメロ監督の並々ならぬこだわりを感じます。個人的には、へそピアスを食いちぎる際の肉の裂け具合や想像できる痛みのようなものが非常にリアルで印象的でした。
また、銃撃シーンや武装車による爆撃シーンなどは非常に迫力があり、エンタメ映画として見てもかなりクオリティが高かったです。
ちなみにロメロ作品常連のトム・サヴィーニは「ゾンビ」にも登場した暴走族•ブレイズとしてゾンビ化した状態で登場しています。
そしてなんと!
ゾンビの中には「ショーン・オブ・ザ・デッド」のエドガー・ライト監督と主演のサイモン・ペッグが紛れています。
これはロメロ監督が「ショーン・オブ・ザ・デッド」のファンであったことから実現したことで、当初はセリフのある役を検討していましたが、二人からの「ゾンビ役がやりたい」という要望を受けたことでゾンビ役として出演してもらったそうです。
こういう遊び心がある作品大好きです!
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