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幾多のトラウマ乗り越えて悪霊に立ち向かえ!方向性が少々ブレ気味の意欲作「エンドレス・エクソシズム」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(557日目)

「エンドレス・エクソシズム」(2018)
ディエデリック•ファン•ローイェ監督

◆あらすじ
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メーガン・リードはアルコール依存症の治療を受ける傍ら、病院の霊安室の警備員として働いていた。未だに酒を飲みたいという欲求をコントロールできないリードだったが、霊安室にいるときだけは酒のことを忘れることができた。そんなある日、ハンナ・グレイスという名前の少女の遺体が霊安室に運び込まれてきた。彼女は悪魔祓いの儀式の最中に亡くなったのだが、遺体は顔の判別ができないほどに損傷が激しかった。
ほどなくして、霊安室の周辺で怪現象が起こるようになった。やがてリードは「グレイスに悪魔が取り憑いていたという話は本当なのではないか」と思うようになったが、彼女には悪魔に対抗する術がなかった。(エンドレス・エクソシズムWikipediaより引用)
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「悪霊に取り憑かれた少女の遺体が病院で大暴れ」という、ありそうでなかった斬新な設定が中々に面白かったです。

怖いシーンも中々にクオリティが高く、グロ描写なども相当良かったです。ですが、ジャンプスケアの音が大きすぎて、霊にびっくりするというよりかは単純に音が大きすぎてびっくりしてしまうのでその辺りは少々ストレスでした。あと、暗いシーンも見辛かったです。

悪霊に取り憑かれた少女ハンナ
(sonypictures.jpより引用)

悪霊に取り憑かれた少女•ハンナはかなり存在感があり、基本的には四足歩行で壁をペタペタ伝ったりと動きも面白く、非常に印象に残りました。あと、誰かを殺すたびにハンナ自身の外傷が回復していくという設定も面白かったです。

現在Netflixで配信中の他、AmazonプライムやLeminoにてレンタルが可能です。

sonypictures.jpより引用

原題は「The Possession of Hannah Grace」なので直訳すると「ハンナ•グレイスの悪霊」とか「ハンナに取り憑いた悪魔」とかそんな感じでしょうか。
※【possess(所有する、持つ)+ion】=【不可算名詞】悪魔[悪霊,感情(など)]が取りつくこと

ちなみにエンドレス要素もあまり感じませんでした。

◇ある事件がトラウマとなり警察を辞めたメーガンは、夜勤で霊安室の遺体引き取り係としてボストンのメトロ病院で働き始める。そんなある日、損傷が激しく、体の半分に大火傷を負っている少女の遺体が運び込まれた。それ以降頻発する不可解な現象に加え、その少女が死んだのは三ヶ月前で、しかも悪魔祓いの最中に死亡したことが明らかとなる。

といった感じで、タイトルにあるようなエクソシズム(悪魔祓い)の要素はほぼありません。

sonypictures.jpより引用

一応冒頭に悪魔祓いのシーンがあり、悪霊に取り憑かれたハンナが暴走して次々と神父を殺害。ついに見かねたハンナの父親がハンナを窒息させて殺してしまいます。

これ以降悪魔祓いのシーンはなく、あることがきっかけで警察を辞職したメーガンが新しく勤めるようになった霊安室に舞台を移します。

主人公•メーガン(sonypictures.jpより引用)

メーガンは警察時代、凶悪犯を前にして発砲することが出来ず、同僚が撃たれて死亡してしまうという最悪な結果を招いてしまいました。
それがトラウマとなり、アルコールや薬物に依存するようになり、警察を辞職。同じく警察だった恋人のアンドリューとは別れ、グループセラピーやカウンセリングを受けながら、霊安室での夜勤として働き始めました。

そんな彼女の下へ、損傷が激しく思わず目を背けたくなるような少女の遺体が運び込まれます。

それがハンナ•グレイスの遺体でした。

sonypictures.jpより引用

彼女の記録写真の撮影時には何度もエラーが起きるし、パソコンは消えるし、落ちたものを拾おうとして手を深く切ってしまったりと遺体が来て早々に不安なことが立て続けに起こります。

更には侵入した不審な男が勝手に彼女の遺体を持ち出し、焼却炉で燃やそうとする始末。同僚•デイブと協力し、取り押さえて警察に引き渡すも「遺体を燃やせ!彼女はまだ死んでいない!」とその不審な男は叫び続けます。

sonypictures.jpより引用

彼女の遺体が呼吸をするところを目撃してしまったメーガン。更には四足歩行で移動する彼女を監視カメラで発見。しかし看護師のリサにいくらその事を訴えても薬物の影響を疑われ、心配されるだけで信じてもらえません。

調べたところ、ハンナは三ヶ月前に既に死んでいるらしく、更には悪魔祓いの最中に死亡したことが明らかとなります。

sonypictures.jpより引用

自分の目の前で、悪霊に取り憑かれたハンナに殺されかけている元恋人のアンドリュー。

メーガンは今度こそ、銃を撃つことができるのか!
手に汗握るクライマックスは皆様の目でお確かめください!

sonypictures.jpより引用

と行きたいところですが、もうおおかた予想がつくと思います。ネタバレになってしまい大変恐縮ですが、今作は意外性が皆無なので“そうだろうな”ということしか起きません。

クライマックスでメーガンは銃を撃てます。

めっちゃ撃てます。これは流石に誰でも予想できると思います。でもここが一番の見せ場っぽいです。

ですが相手は悪霊なのでほとんど効いているようには見えません。一時的に動きを封じて、その間に焼却炉に放り込むのですが、クライマックスでメーガンに銃を撃たせたいがために用意したシーンとしか思えずまったくハマりませんでした。

sonypictures.jpより引用

途中で出てくる不審な男はもちろんハンナの父親です。全てを知っている彼は病院に侵入してでもハンナを燃やそうとします。なのでおそらくハンナの外傷は彼女の死後に彼によって付けられたものだと思われます。

作品を通して見ると、この作品が悪霊の脅威やトラウマを乗り越えたメーガンの成長に軸を置いていることが分かります。

ですがタイトルをみる限り、悪霊に取り憑かれた少女•ハンナや悪魔祓い、エクソシストの部分を押しているようにも思えます。なもんで視聴者側からすると最後までこの作品をどう見ればいいのかが分からず、ブレてしまったようにも思います。

ハンナはなぜ悪霊に取り憑かれたのか、どんな少女だったのか、父親との関係性なども掘り下げて欲しかったです。

エクソシスト要素をあまり上手く活かせておらず、トラウマを克服する女性の物語にエクソシズムはあまり相性が良いようには見えませんでした。

ですが、これらの苦難を乗り越えてアルコールや薬物も手放したメーガンは最後に「でも私の戦いは続く」と呟きます。心の傷が完全に塞がることはなく、これからも自身のトラウマや悩みに立ち向かい続けるという彼女の覚悟が表れており、とても良い終わり方でした。

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