【ソムリエへの道】地図でワインを学ぶと、歴史が見えてきた
不肖ニシムラ、ほんの数ヶ月前まではタダの飲んべえでした。
「お給料で、ちょっといいお酒を買う」ことを覚えたばかりの、家電メーカーの新入社員でございました。
そんな私の目の前に、ある日届いた教材の山。
ワインソムリエの資格試験に向けた勉強が始まるのです!!
「机に向かってコツコツ」が苦手な私。
じっとしていられず(というか逃げ道を探しに…)、プロのワインソムリエのもとへ教えを受けに行きました。
ニシムラがワインソムリエを目指すことになった理由は、シャープのECサイトでお酒も販売しているからなのですが…
ソムリエを目指すことになった経緯はこちら!
合格への近道を探しに、ホテル「ロテルド比叡」総支配人・髙橋幸一さんのもとへ伺いました。
髙橋さんは、シニアワインソムリエの資格をお持ちです。
もう勝手に「師匠」と呼ばせていただきます!
長時間レクチャーしていただいた中から、前回noteでは「テイスティング」の流れとコツをシェアしました。
髙橋さんの美技に惚れてしまった記事はこちら!
そして今回は、いよいよソムリエ試験の核心に迫ります!!
◆ソムリエ試験はこんな内容
ガッツリ4次試験まである!
フランスやイタリアでは国家資格として、ステイタスが確立されているワインソムリエ。
日本でソムリエ試験を実施している組織としては、
この2つがあります。
髙橋さんは、JSA認定のシニアワインソムリエ。
JSAの試験はプロ向けで、ワインなどのアルコール飲料を取り扱う職業の実務経験が必要になります。
家電メーカー社員のニシムラは(プロじゃないし…と)ANSAのほうを受験することにしました。
こちらは20歳以上であれば、実務経験や職業を問われることなく、誰でも試験を受けることができます。
その試験内容はというと…
…はい、ガッツリ4次試験まであります。
大学入試でも2次試験までやないかーい。
「僕はANSAの試験については詳しくないですが、問われる内容はJSAと大差ないと思いますよ」
と髙橋さん。
確かに、JSA用のワイン、ANSA用のワインがあるわけじゃないですものね。
「やっぱり筆記試験対策でいちばん大切なのは、教科書や過去問をひたすら見て、広く浅く知識をつけることです。実施年によって出題傾向も変わるので、この国だけに絞ろう!というような“山を張る”勉強法は適していません」
泣!
ヨーロッパだけは完璧にしておこうとか、チリのワインは出ないだろうとか、そういう甘い考えは通用しないってことですね。
山を張る気満々だったので、今の段階で知れて良かったです…。
コレハヤバイゾ。
ニシムラの学習スタイル
ANSAは「ソムリエを育成する」というスタンスをとっているので、合格をサポートする学習コースも多彩に開講しています。
ニシムラは働きながら学ぶため、自宅で学習する在宅コースを選びました。本番の試験は、指定された試験会場に行って受験します。
すでに教材は届いており、さっそく勉強を始めました。
毎日コツコツ、机に向かって勉強…は苦手なので、土日に時間を取って図書館で勉強しています。
大学受験以来だ…。
また、インプットするばかりでは定着しないタチなので、友人とディナーに行ったときに知識を披露するなど、誰かに話すことでアウトプットに努めています。
友人よ、ニシムラの弾丸トークに加えてワインのウンチクまで受け入れてくれていつもありがとう!
テイスティングの実技対策としては、髙橋さんにお会いしてからの後日談になりますが、「自分の中に基準を持つ」というアドバイスをいただいた通り、白ワインはシャルドネ種を基準にするつもりで飲んでいます。
苦手だった赤ワインは、軽めのピノ・ノワール種を毎晩飲み、舌に覚えさせています。
現時点でのニシムラのイメージはこんな感じです。
(他の種類を知ると変わってくるかも?!)
もともとお酒好きのため、目的を見失わないように自戒しつつ…。
このような学習スタイル?で、9月の試験本番まで力をつけていきます!!
◆髙橋さん流・学習のアドバイス
地図を描いて覚える
テイスティングを実演していただいたとき、「代表的なブドウ品種の味を押さえる」と髙橋さんがおっしゃいました。
筆記試験対策でも、知識の入り口としては、まずブドウ品種と産地を覚えることかと思っています。
でも、世界中で作られているワイン。
何から始めればいいのか…。
「まずはフランス。自分なりに地図を描いてみて、白、赤のブドウ品種と産地を書き込んでいく。そこからスタートするといいですよ」
かろうじて知っている、パリとボジョレーとボルドーだけでも!と、何とか前回描いてみました。
↓ ↓ ↓
そこから勉強した結果がこちら…!
前々回の記事でお話しした通り、ニシムラの趣味はお酒を飲むこと、そして絵を描くこと!
好きなワインをテーマに好きな絵を描くのは、ちっとも苦ではありません。
が、カタカナが多すぎて覚えるのには苦労しました。
「絵が得意なら最高じゃないですか。みんな大抵、フランスだけで心が折れそうになるから…。フランスの次はドイツ、イタリア。とりあえず、この3国の地図を描いて2週間ぐらいで覚えましょう。」
絵が苦手な人はちょっと大変かもしれませんが、文字だけで覚えるのとはどんな違いがあるのでしょうか。
「たとえばフランスだと、白のリースリングというブドウ品種は北、ニシムラさんが毎日飲んでいる赤のピノ・ノワールも北のほうが産地です。これらは寒い地方での栽培に適した品種だということですね。地図を描くことでそれがわかると、南半球のニュージーランドでその品種は、寒い南のほうが産地だなと、次第に想像できるようになります」
「だいたい、北の寒い地方は白のブドウ品種、南の暖かい地方は赤のブドウ品種が多いイメージなんですが、ブルゴーニュ地方は逆なんですよ。北が赤で南が白。それは土壌の性質が関わっているんですね。どんどん知っていくと、そういう面白さにも気づけます」
気候、土壌、日照、地形…。
こうした、ブドウ畑を取り巻く自然環境を「テロワール」と言うそうです。
「国を覚えたら地方、地方覚えたら次は村の名前、村の名前覚えたら畑の名前。と、どんどん範囲が小さくなりますし面倒ですが、とりあえずは国と地方、その地方のブドウ品種を覚えて下さいね!」とのこと…
覚えることの膨大さにメガマワールですが、せっかくなら楽しんで勉強しようと思います!!
早速ボルドー地方の地図も描いてみました。
現在、ボルドー赤ワイン6本セットをお取扱い中。ボルドーの中でもどの地域かな?と想像しながら飲むのも楽しそうです。
「つながり」から推測する
「僕はもともと歴史マニアなんです。だからワインの勉強をするときも、こうだからこうなったんじゃないかとか、地理的なつながり、歴史的なつながりから推測していくのが楽しくて」
と髙橋さん。
「地理的なことで言うと、ブルゴーニュ地方は傾斜地が多いんですね。通常、高い斜面で育ったブドウは、太陽が当たって糖度が高くなります。しかもブルゴーニュの土壌は水はけもいいので、ワインの味わいには凝縮感が生まれます。でも、ワインの当たり年なのに水っぽい味がする…となったら、このブドウは山の傾斜が低い、水はけの悪い畑で育ったんじゃないかな、とか」
「歴史的なことで言うと、ボルドー地方はかつてイギリスの植民地だったので、出来のいいワインをイギリスまで献上しに行っていたんですよ。だから移動の間も劣化しにくいように、タンニンが多い渋めのワインを作っていました。タンニンが多いブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローになるんですが、カベルネは熟すのが遅くて、天候の被害に遭うリスクが大きい。逆に、メルローは早熟でリスクが小さい。保険として、両方を栽培することになったのだろうと」
推理小説みたい…!
暗記に終わらず、身につけた知識がつながってストーリーが見えてくる面白さがあるんですね。
早くそこまで辿り着きたい。
「こういった“つながり”がわかれば、本番の試験でも粘れます。僕はシニアソムリエ試験で最後に出題された、ブランデーの銘柄と産地がわからなかったんですよ。でも料理が思い浮かんで、これにはリンゴのタルトタタンが合いそうだな、と。リンゴといえばノルマンディー、ノルマンディーといえばカルバトス!銘柄はカルバトス、産地はノルマンディーと書いて正解でした。あれは震えましたね、嬉しかったなぁ」
カタカナばっかりで半分くらいしか理解できませんでしたが、とにかく凄いことだけは分かります!
そこまで知識がつくと、ワインを飲むのがもっと楽しくなるんだろうなぁ…。
そしてもうひとつ、髙橋さんからのアドバイスとして
「外国産ワインの話ばかり例に挙げましたが、日本の国産ワインについても出題されると思いますよ」
とのこと。
「日本のワインも、各ワイナリーの努力によってレベルが上がっています。中でも山梨県は、国内のワイン生産量で第1位。甲州ワインは味わいも飛び抜けていて、今はフランスワインに負けないほどの美味しさです」
そうでした。
忘れちゃいけない国産ワイン。
ニシムラは甲州ワインも飲み慣れていないので、さっそく買わなくては。
◆ワインソムリエの醍醐味とは
「お酒が飲めないソムリエ」誕生秘話
前回記事でもお伝えしたように髙橋さんは、生来ほとんどお酒が飲めないとのこと。
テイスティングする程度には飲めるようになったものの、今でも決して得意ではないそうです。
それなのになぜソムリエを目指されたのか、一通り試験へのアドバイスをいただいたところで聞いてみました。
「就職して1年目はホテル内のコーヒーショップで働いていたんですけど、ずっとワインセラーにこもってゴソゴソやっている先輩がいて。何してるんだろう?と思っていたら、その人がソムリエでした。けっこう、おっちょこちょいな先輩だったから、僕にもできるかも?って」
「あと偶然、小中高と一緒だった幼なじみが同期入社だったんです。彼はホテル関係の専門学校を出ているから、何でも知っていて…。これは敵わないぞ、別の新しいジャンルで勝負したいと思いました。当時、ソムリエはまだ少なかったんです。だから社内でも注目されるし、制服もソムリエだけが違っていてカッコいい。簡単に言うとモテたい!きっかけはそれですよ、はっはっは」
結果、上位資格のシニアワインソムリエまで昇りつめたのですから、モテ欲おそるべし…。
ちなみに、実際にモテましたか!?との質問には「いや全然」と苦笑いでした。
でもでも、髙橋さんの美技に惚れ込んだ女が確かに一人いることは、ここでそっとお伝えしておきたいです…!!
ワインはコミュニケーションツール
髙橋さんにとって、ワインは「お客様とのコミュニケーションツール」。
できる限りお客様のご要望にお応えして話が弾むよう、仕入れには力を入れているそうで、「ワイン業者様とのネットワークには自信があります」とおっしゃっていました。
たとえば、フランスのシャンパン「ヴーヴ・クリコ」は今、とても仕入れが難しくなっていますが、髙橋さんはネットワークを駆使して常に一定数を確保。
ヴーヴ・クリコの世界観をテーマにした宿泊プランも用意されているそうです!
そして髙橋さんにとって何より最高なのが、知識豊富なソムリエ仲間とワインを楽しむことなのだとか。
「もう少し温度を上げてみようとか、冷やしたほうが際立つんじゃないか、とか。もっと美味しくなる方法を一緒に考えるんですよ。空気に触れさせるために、デキャンタにザーッと移して戻したりね。そうやって、お互いにウンチクを披露しながら飲むのが本当に楽しいんです」
少年少女のようにワイワイするソムリエの皆さんの姿が浮かんできました。
尽きないワインの魅力と、飽くなき探究心…。
すごい世界に片足を踏み入れてしまったような気もしますが、ここまで来たらニシムラも腹をくくってワインの沼にハマります。
髙橋さん、本当にありがとうございました!!
◆吉報を持ってまた来たい「ロテルド比叡」
レクチャーが終わってホテルを後にする時間には、とっぷり日が暮れていました。
到着したとき、標高600mからの絶景を目にして遠くへ来たことを実感しましたが、思いきって髙橋さんにお会いして本当によかったです。
お話をうかがったスイートルームもとても快適で、「このまま泊まりたい…」とさえ思いました。
取材時はシーズンオフで休館中でしたが、3/20から宿泊予約の受付が始まっていますので、皆さんも訪れてみてはいかがでしょうか。
比叡山へのお詣りにもぴったりの「ロテルド比叡」。
比叡山頂一帯は、1,000本以上の桜が咲き誇るお花見の名所でもあります。
シャープのECサイトで販売しているワインも、春に合わせて一新。
定番のボルドーワインも、新たな銘柄で6本セットご用意。
ぜひチェックしてみてくださいね。
それではまた!!
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