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オンラインライブを観た2021①(1.11SAKANAMON/1.11スカート)

1.11 SAKANAMON 配信ライブ「GoTo SAKANAMON THE WORLD」(アーカイブ1.15まで)

まずイベント名が素晴らしいですよ、世相と自分たちの楽曲をくっつけるセンス。SAKANAMON、数度目のオンラインライブは昨年の傑作アルバム『LANDER』のツアーが中止になったことに端を発したもの。ライブをやりたいから宇宙に行きます、という割と攻めたコンセプトで宇宙船を操縦する藤森元生(Vo/Gt)と搭乗員の森野光晴(Ba)と木村浩太(Dr.)が繰り広げる宇宙コントも交えながら進む映像作品。とにかくVJの演出がクール。所謂スクリーンじゃなくて、インフレータブルバルーンのようなスタジオの壁に映す形でかなり立体的な作り。グラフィックも凝ってるし、バンドのちょっとヘンテコな佇まいに幾何学模様の投影が意外にもぴったり合う。特にタイトル曲とも言える「SAKANAMON THE WORLD」は曲調的にもすごくしっくりきた。

今まで作ってきた幻の生物シリーズを一気に宇宙に君臨させる「UMA」以降のブロックや、「WOULD LIKE HENJIN?」ではラップトップによるセットも披露し、実験的な面もしっかりとプレゼン。また途中から照明装置も床や背後などに移動し、曲ごとに見える映像をしっかりと切り替えていく拘りもある。正直、そこまで予算があるバンドには思えないのだがこうやって工夫をもって斬新なショットを作り出している様にクリエイティビティを感じまくり。「CORE」「LIKES」といったザ・ギターロックな曲にも異質な印象がついていくのも素晴らしい。最後は「HOME」で地球に帰り着き、「TOWER」で大団円。こういう時に持ち寄れるアイデア数の多いバンドは、強いぞ。

<setlist>
1.FINE MAN ART
2.SAKANAMON THE WORLD
3.UMA
4.鬼
5.丘シカ地下イカ坂
6.架空の色彩
7.WOULD LIKE HENJIN?
8.エロス
9.少年Dの精神構造
10.矢文
11.CORE
12.LIKES
13.HOME
14.TOWER


1.11 スカート10周年記念ニューアルバム『アナザー・ストーリー』発売記念配信ライブ

アルバム『アナザー・ストーリー』のタワレコ購入者特典。実現場でのインストアライブはどうしても渋谷タワレコでしか開催されないので 
こうやって全国に等しく届けられる特典はありがたいな、と思う。ライブ内容は1時間以上に及ぶ澤部渡の弾き語りライブ。過去の曲を録音し直したアルバムのレコ発ということで、現状の世界においてはスカートがこれまで歌ってきた“今じゃない場所や今じゃない時間への憧れ”の見方が変わる心配について澤部さんは話していたが、今だからこそスカートの優しく切ない日々の記録が胸を打つ部分もあるように思う。それこそ澤部さんの望んだ受け取り方ではないと思うが、そういう気持ちに運んでくれる音楽があることで正気を保てる瞬間もある。

澤部さんの地元にある給水塔が取り壊されることを機に作られた「月の器」が見たこともないその給水塔にある彼の思い出を想起させてくれるように、スカートの曲に刻まれた記憶の風景は具体的じゃなくとも強い喚起力を持つ。「さよなら!さよなら!」では春先の自宅弾き語りで澤部さんがなくなった本屋を想い涙していたことを思い出す。「自分の歌が正しい意味で希望になってしまったのはなんともむずがゆい」と語る彼がこれからどんな風景を引き連れて曲を作っていくのだろう、と思った。最後に演奏された「遠い春」に乗った祈りが、どうにか届く世界があって欲しいと思う。あ、「また逢う日まで」のカバーも最高だったな!歌い継がれるべき名曲を、歌って欲しい人に歌ってくれた感。いつもより太い声で歌う澤部さんも最高。

<setlist>
1.ストーリー
2.セブンスター
3.おばけのピアノ
4.月の器
5.魔女
6.さよなら!さよなら!
7.ともす灯 やどす灯
8.花をもって
9.すみか
-encore-
10.どうしてこんなに晴れているのに
11.また逢う日まで(尾崎紀世彦)
12.遠い春

※8月に公開されていたスタジオライブが再公開とのこと!緊急事態宣言下ではこういう再配信もあるかもなぁ。素晴らしいライブだったんでぜひ。バンドセットスカートの魅力満点。

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