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5.14~5.16 CIRCLE ’20→’21 東京→福岡 実況中継

福岡は海の中道海浜公園にて例年5月に開催されている野外フェス。ゆったりめなフェスなので今年は開催あり得るかも、、?と思いかけたけれども現場開催は中止。しかし今年はオンラインイベントとしてCIRCLEらしいラインナップを届けてくれた。各日とも、オープニングには博多ふ頭からフェリーで会場まで辿り着くルートの主観映像を放映してくれたおかげですっかり気分は会場にいる気分。エンディングも帰り道を示してくれたり、徹底してる。

5.14(前夜祭)
CIRCLE初登場のニューカマーで幕開けたこの日。TENDREは大所帯を率いて生中継にて演奏。心地よく小躍りできるグルーヴに、冷しゃぶを作る工程もすごくスムーズにいった。「HOPE」は言葉にならない声が切実に刻まれた名曲だ。yonawoは福岡のライブハウス・秘密での収録映像での参加。フロム福岡バンドの急先鋒、ガツガツしたところはないけれど確実に耳に印象をこびりつかせるけだるく甘い歌声が絶品。「天神」、街の空気を帯びた名曲。


LEO今井は岡村夏彦(Gt)、シゲクニ(Ba)、白根賢一(Dr)という編成によるバンドセット。ハードロックに奇妙なリフレイン、唸るようなシャウトを掛け合わせたオリジナルすぎるサウンドは爆音で浴びたくなる。ちゃんとダンスミュージックなのも面白い。前野健太の「ファックミー」のカバーや「河童の歌」など、しっかり聴かせる曲も強かった。あと、カメラワークが妖しくて素晴らしい。アクトごとに演出がちゃんと切り替わっているのが良かった。


CIRCLEではお馴染みのLITTLE CREATURESが貫禄を体現したかのような、飄々とそれでいてずっしりとした演奏を聴かせた後に、前夜祭のトリとして登場したのは堀込泰行。オーガニックな手触りの演奏と、爽やかなメロディで沁み渡るようにエンド。しかしまぁ今更ながら「エイリアンズ」はとんでもない名曲だった。どうやらKIRINJIのライブでは封印気味なようなので、この曲を生で聴くには堀込さんのライブに行くしかないと!知見を得た。


5.15(DAY1)
サニーデイ・サービス
はツアー東京公演の翌日という脂の乗り切った状態で2日目のオープニングを飾る。「春の風」「コンビニのコーヒー」「セツナ」という、ツアーセトリの中でももっとも乱暴かつハードコアな流れを初っ端に持ってくる構成からもその気合はたっぷりと伝わった。燃え尽きる30分。


CIRCLE初登場となる羊文学、個人的には現場でこのセトリやられたらもう昇天してたかもしんない。健やかな「ラッキー」と、深淵なる「mother」を並べる序盤、名ギターソロが轟く「砂漠のきみへ」と神秘的な「人間だった」が心地よく中盤を彩り、序曲のような「花びら」を携えて鮮やかに飛翔していく「あいまいでいいよ」の爽快感!野外の昼のステージが見えまくった。



手嶌葵から二階堂和美という実にジブリがいっぱいな流れもこのフェスならではのムード。手嶌さんはライブハウス秘密での映像で、さながらショーのような雰囲気。厳かな楽曲が印象深かったけど、ジャジーなカバー曲もばっちり決まっててこのウィスパーボイスの汎用性ってとんでもないな、と。二階堂さんはドラマー松下マサナオ(Yasei Collective)との2ピースという骨太な編成。二胡のような発声とか、もはや歌唱を超越した新表現ばかりだった。


ハンバート ハンバートT字路sといったデュオたちも印象的だった。家での話が普通にMCになっちゃうハンバート夫妻な空気感、憧れるなぁと思いつつ、突然の電気グルーヴ「N.O」のカバーや歌い手としての誇りを刻む「虎」など、エッジーな面も全開だった。T字路sは昨年末のフジロックオンラインでのゴンドラ歌唱が印象的だったけど、こうやって正面きってのオンステージはカッコ良くて痺れてしまった。生で聴いてぶっ飛ばされたいな。


スチャダラパーは今回のCIRCLEで唯一のヒップホップアクトながら、このフェスのムードをしっかり掴んだ緩やかとタイトを行き来する良い塩梅だった。Kan Sanoはトリオ編成ながら、自由に演奏楽器をスイッチングしていく曲芸のようなパフォーマンスだった。そんな表現巧者揃いの1日目を締めくくるのは、やのとあがつま(矢野顕子&上妻宏光)。あっちゃんのピアノと上妻さんの三味線および民族楽器の数々が織り成す、ハイパー民謡とも呼ぶべき楽曲たちには耳を奪われた。かごしまおはら節のテクノアレンジ、イケすぎ。



5.16(DAY2)
最終日は、こちらも常連のクラムボンからスタート。「タイムライン」でじわじわと始まり「はなればなれ」で一気に解き放たれるあの瞬間ったら!「シカゴ」前のセッションもバキバキだった。そしてミトさんはオンラインでも本当に、良い具合のアジテーションでこちらを盛り上げてくれるなぁ、と。「波よせて」は絶対に福岡で鳴るべき曲なので、絶対にまた聴きたい。


Predawnは福岡在住アクトゆえ、こちらも秘密からの演奏。スムーズなさえずりのような歌唱と裏腹のたどたどしすぎるMCには失笑しかなかったけど、海の中道にペンギンを観に行ったり福岡暮らしを満喫している様子で良かった。日本語の曲もどんどん馴染んできてる感じ。また、そのゆったりしたムードをキセル+エマーソン北村がさらに引き延ばし、良い夕暮れを作り出していた。4年前にCIRCLEで聴いた「くちなしの丘」、思い出しちゃったな。


初登場で、去年のラインナップでひときわ輝いて見えた吉澤嘉代子は弓木英梨乃が奏でるアコースティックギターの伴奏を携えたシンプルな編成。この編成だと彼女のソングライティングの幅広さを直に思い知って参ってしまう。「鬼」と「えらばれし子供たちの密話」、同じ人が書いてるんすか、っていう。弓木さんもバカテクを容赦なく浴びせてて、歌と相乗効果でトリップしかける時間だった。絶対に海風を浴びながら聴きたいので、また是非。


なぎら健壱×高田漣という今年屈指の謎アクトは、なんと高田渡氏の歌を歌い継いでいくユニットであった。今なお色褪せない市井のフォークソングにうっとりしながら聴いた。なぎらさん、美声すぎ。ceroは「Summer Soul」や「Orphans」を封じ、最新曲「Fdf」のダンスグルーヴを基軸とした踊り狂える選曲ばかりを投下してた。1曲目の「Yellow Megus」やラストで演奏した新曲を貫いてた太いシンセサイザーの音は今後のモードを示唆してるか?


終盤。向井秀徳アコースティック&エレクトリックはどんなイベントでも完全に異常空間Zに変えてしまうどえらい刺激物だな、と。彼を毎年様々な編成で呼んでる時点で、CIRCLEの異端性が伺える。サカナクション「忘れられないの」のカバーはキレキレ、あと「OMOIDE IN MY HEAD」ってあんなメロディだったんですね!アコエレじゃないと分からない曲の輪郭がある。そして大トリはORIGINAL LOVE。田島貴男がひとりでやっちゃうのは何度も観た事あったけどちゃんとオリラブを観るのは初めて。ずっとスモーキーな匂いの漂う、夜の時間にぴったりのビッグバンドだった。祭りの後、な気分。


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