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珈琲の大霊師

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シャベルの1次創作、珈琲の大霊師のまとめマガジン。 なろうにも投稿してますが、こちらでもまとめています。
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#コーヒー

珈琲の大霊師171

珈琲の大霊師171

 ドバードの南門周辺には、厩付きの宿が集中していた。門を潜った途端に、老若男女の呼び込みが馬車に殺到し、今夜の宿が決まっているかを尋ねてきた為、とりあえずジョージは一番人の良さそうな老人の宿に世話になることにした。

 ジョージの見る目が確かだったのか、老人は手馴れた仕草で馬を操り、古いが温かみのある内装の宿へと一行を案内したのだった。

「それにしても、今回の旅は馬車があって楽ちんですね」

 

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珈琲の大霊師170

珈琲の大霊師170

 がらりがらりと終わりの無い回転を繰り返していた車輪が次第に緩くなり、2頭の白い馬が足を止めると、頑強な門に立つ軽装の衛兵がこちらに近づいてきた。

「用向きは?」

「食料の補給と、宿泊ってとこかな。1泊、あるいは2泊だ」

 自分より若いな……と、相手を値踏みしながらジョージは応えた。

「荷は?」

「ガキ2人に、枯れてる女が一人だ。荷って程のもんは無いな。ま、さっと検めてくれ」

「……い

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珈琲の大霊師169

珈琲の大霊師169

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第23章

     空回る知識

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 幌馬車はアディア連邦の主要街道を北に向かって進んでいた。

「この辺りは、アディア連邦でも数少ない内陸の都市、陸の入り口ドバートの領域ですね。アディア連邦は、海辺の都市が主要になっていて、その沿岸地帯を覆うように宿場町や、砦があるんですよ。その連なった砦の中心が、ドバートで

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珈琲の大霊師168

珈琲の大霊師168

 1週間で準備を終えたジョージだったが、問題となるのは旅に同行する者の選定だった。

 水宮の一室では、ジョージ、モカナ、リフレール、ユルの4人が

「ジョージさんとモカナちゃんは確定として、さすがに2人だけでは心配ですね……。ジョージさん、武力では頼りになりませんし」

「悪いな。まぁ、前回は途中までリフレールに任せっきりだったからなぁ」

「ジョージさんがついていれば、そもそも争いになる事は少

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珈琲の大霊師167

珈琲の大霊師167

 ―――話は数日前に遡る

 シオリの助言によって、次の目標を見つけたジョージは夜、水宮にてリフレールとルナに出立を伝えた。

 相談ではなく、出立である。反応は火を見るより明らかだったが、次の目標に向かって邁進しようとする今のジョージには少し思慮が足りていなかったようだった。

「明日行く!?いきなり何の話だい!!相談も無しにどっか行こうって?あんたの中で、あたしは何だってんの!!」

「ジョー

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珈琲の大霊師162

珈琲の大霊師162

 目を覚ましたら、二人の人間が、店の椅子に座って本を読んでいた。

 それに、嗅ぎ慣れない不思議な香りが満ちていた。何だろう、夏の果実のようで、………あたまが煮えてて言葉が出てこない。

 そんな、あたしの思考を読んだかのように、ベールを被った女性が立ち上がった。

「大丈夫ですか?」

 そう言って顔を覗きこんできたのは、天使だった。

「あたし、やっぱり死んだんだ」

 こんな綺麗な人が現実の

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珈琲の大霊師161

珈琲の大霊師161

 食料、衣類等異文化の接点が繁栄をもたらす場所は混雑していたものの、書物を扱う市場には人はまばらであった。

「ふぅ、やっと落ち着けそうだな」

「ふふ、私は楽しかったですよ?」

「まあ楽しいのは確かなんだが、目的忘れそうになったからな。お前も暇じゃ無いんだから、毎日ここに付き合うってのは無理だろ?」

「うっ……、はい、そうですね」

「モカナの故郷を早く探してやりてえんだ。…ま、珈琲の本場っ

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珈琲の大霊師160

珈琲の大霊師160

「共通点ってのは、ある日突然どっかから来て、戻る記憶が無いって事だな。それと、世界的に革命を起こしそうな物を明確に意識して現れている」

「そうなんす。それで、これと同じような伝承が無いか調べようと思ったんすけど、そういうのって本に載ってるじゃないですか。俺、文字苦手なんすよ……」

「あぁ~。だから言っただろ?いつか困る日が来るってよ?」

「うっ、申し訳無いっす」

 コーディーが部下になった

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珈琲の大霊師159

珈琲の大霊師159

 ―――水宮―――
 
 
「あー…………………やっぱ、珈琲はお前のが一番美味えわ。ほんと、落ち着くぜ」

 湯気の立つカップを傾け、珈琲をじっくりと味わいながらジョージは全身を弛緩させていた。
 
 小さな丸テーブルの向かいには、もう一つのカップがあり、そのカップを両手で包むモカナの小さな手があった。
 
「えへへ。ジョージさんの珈琲も、美味しいですよ?」

 寝ているモカナの部屋にズカズカと入

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珈琲の大霊師158

珈琲の大霊師158

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第22章

     旅立ちの予感

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 ジョージが、リフレールやルナとよろしくやっている間、モカナは下町の厨房に缶詰になっていた。

 コーディーの動きが早かったのだ。朝起きると、びしっと紳士服を着こんだコーディーが迎えに来ていて、真剣な目で「姐さん、迎えに来やした」とか言うので断れなかったのだ。

「姐さん。

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珈琲の大霊師157

珈琲の大霊師157

 その頃、その外では、手を繋いだツァーリとサウロの前に何人かの衛兵が白目を剥いて転がっていた。

「始まったな。入り口を静かに閉めて、結界を張るぞ」

「わかってる~」

 二人は音を起てずにドアを閉めると、精霊の力を重ねて結界を張った。

「これで、内側からでなければここは開かない。水と火の力を重ねた結界だ。この街にいる火精霊はお前だけだからな。誰にも開けられないだろう」

「うん。あたしとサウ

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珈琲の大霊師156

珈琲の大霊師156

 ドアの向こう。

「ツァーリ」

「なにぃー?」

 ボッと、炎を巻いてツァーリが現れる。その手の先にはサウロもいた。

「サウロから手を離すんじゃないさ?あたいから精気を送ってる間は、サウロも契約の外にいられるさ。もし手を離すと、契約に従ってサウロはリフレールに呼ばれるさ」

「分かった。離さなくていいってワケー」

 何故か嬉しそうに、ツァーリはサウロの手を握り直した。

「後は頼んださ。あ

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珈琲の大霊師155

珈琲の大霊師155

「……で、あんたいつまでそうしてるつもりさ?」

 うんざりとした表情で、ルビーはリフレールに尋ねた。

 水宮の通常の客間。ルビーに宛がわれたその部屋で、リフレールはベッドに座って膝を抱えていた。

「……どうしたら良いのか、分かるまでです」

「……はぁ。あたいも人の事言えたもんじゃないさ?王族だし。でも、あんた程王族に染まってる奴も少ないさね。これが、格下相手だったらあんたの遣り方でも靡いた

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珈琲の大霊師154

珈琲の大霊師154

「流石兄貴だ!これなら、世界の王だって夢じゃねえや!!俺は一生ついてきますぜ!てめえら!カフェ2号店は俺達が作るぞ。マルクだけで5軒はいける。モカナ姐さん、俺に珈琲を教えてくれ!」

 コーディーは、男達の中で最も商才のある男である。珈琲がもたらす巨額の利益に早くも気付いたようだった。

「は、ははい!あの、でも、ねえさんっていうのは、あの」

 顔を真っ赤にするモカナを、真剣な目でコーディーは見

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