マガジンのカバー画像

剪画作品紹介

99
剪画作品をご紹介します。
運営しているクリエイター

#papercutting

王冠

王冠

岡田 桂子 作 254×120mm
“Crowns” by Keiko Okada

 古来から多くの財宝は金で作られてきました。王冠、宝剣、宝箱…。権力を手にした者は、黄金で装飾物や身の周りの実用品を作って、飾ったり活用したりします。そんな中から岡田さんは王冠と宝剣を描きました。
 それぞれを金の和紙で切り出した後、赤や青い宝石を散りばめます。そしてその後に様々な背景の紙の上に配置してみたので

もっとみる
黄金の傷跡

黄金の傷跡

カルチノワ ミロスラヴァ 作 212×330mm
“Golden Scar of a Healed Wound” by Miroslava Karchinova

 最近金継ぎに注目が集まっていますが、この技術は日本国内だけではなく、海外でも広く知られているようです。欠けた陶器を漆と金によって修復し、その傷までを美しいものとして愛でる美意識は日本独特のものかも知れません。
 この金継ぎを描いたの

もっとみる
黄金の卵

黄金の卵

吉川 結夢 作 240×175mm
“Golden Eggs” by Yuu Yoahikawa

 もう1つ、鳥を描いた作品をご紹介。…と言っても鳥が金色なのではなく、ガチョウが生む金色の卵を描いた作品です。イソップの物語で毎日金の卵を産むガチョウを、もっと多くの金を得ようと殺してしまう…というお話をご存知の方も多いでしょう。吉川さんはそのガチョウと金の卵を軽快なタッチで描いています。
 さら

もっとみる
豊穣の孔雀

豊穣の孔雀

ヴラホワ イヴァイラ 作 286×202mm
“Peacock of Abundance” by Ivayla Vlahova

 「金色」をテーマにした作品展では魚だけではなく鳥の作品も出展されました。そのうちの1点がこの「豊穣の孔雀」です。孔雀の羽は光沢があって金色を帯びて見えますし、その美しさと威厳ある姿から豊穣、豊かさを象徴するものでもあるのでしょう。
 その孔雀を写実的ではなく、独特の

もっとみる
アイコンタクト

アイコンタクト

まるぽ 作 150×210mm
“Eye Contact” by Marupo

 魚を真正面から眺めることはあまりないかもしれませんが…真正面からこちらを見つめる瞳。バッチリと目が合ってしまいます。
 魚の種類がわからなかったのでまるぽさんに聞いてみたら、「コンゴウフク」だとのこと。コンゴウフグは目とおしりのところに1対の棘があり、これらが「金剛杵」に似ていることからこの名前が付いたそうです

もっとみる
ともだち

ともだち

トドロワ プロレチナ 288×202mm
“Friends” by Proletina Todorova

 鯱鉾は体の一部だけが魚ですが、金色の魚…と言えば、やはり鯉を思い出す方が多いでしょう。高価な錦鯉は、いやま世界中で人気が高く、日本にもたくさんの業者が買い付けに来ているそうです。この作品もブルガリアの作家さんによって制作されました。
 黒い紙を切り抜いて下から赤や金色の紙を入れて彩色して

もっとみる
温泉

温泉

梅崎 ゆう 作 242×272mm
“Onsen” by Yuu Umezaki

 前回ご紹介した作品と同じように同心円を描いて温泉を表現しているのが、この作品です。宮本さんが青い線を残して円を描いたのと反対に、梅崎さんは生成りの和紙をくり抜き、下に来い茶色の和紙を敷くことによって、円形を描き出しています。さらに青いパステルでぼかしを入れ、水面らしさを演出。写真ではわかりにくいのですが、左上に

もっとみる
別府温泉坊主地獄

別府温泉坊主地獄

宮本 真理 作 210×297mm
“Beppu Onsen's Bozu Jigoku (Monk's Hell)” bt Mari Miyamoto

 別府には様々な地獄と呼ばれる奇景があります。血の池地獄、海地獄、かまど地獄…そしてこの坊主地獄。灰色の重そうな泥水がボコボコと持ち上がる様子が、坊主頭のように見えるのでしょう。私が行ったのは鬼石坊主地獄の方ですが、現地には天然坊主地獄とい

もっとみる
いい湯だな

いい湯だな

神田 いずみ 作 180×230mm
“What a Nice Bath!” by Izumi Kanda

 この作品展は兵庫県の新温泉町を始めとして鳥取の公民館で巡回展を開催する予定です。そのため、日野さんは歯科の温泉と新温泉町の足湯の作品を制作してくれましたが、神田さんか描いてくれたのは、鳥取砂丘で温泉に入っている動物たちの作品です。
 明るいオレンジ色の砂丘、その上空を滑走するパラグライ

もっとみる
湯けむり

湯けむり

高橋 隆 作 200×260mm
“Yukemuri - Hot Spring Steam” by Takashi Takahashi

 高橋さんはここ数年、和紙の作品の他に葉っぱを切り抜いた作品も作っています。この作品もその1枚。いつもは小さな人物や動物たちを配して絵柄を作っていますが、今回は入浴する女性の後ろ姿を描きました。水面の揺れや天井から落ちる雫が、温泉の雰囲気を演出。表現がシンプ

もっとみる
温泉に入るニホンザル 2

温泉に入るニホンザル 2

六郷 もと 作 275×420mm
“Snow Monkeys Enjoying Hot Spring II’ by Moto Rokugo

 温泉に入る動物…と言えば、もちろん長野の地獄谷野猿公苑のお猿さんたち。私は行ったことがないのですが、日本を訪れる外国人にも人気が高い観光地になっているとのこと。実際に猿たちが温泉に入るのは寒い時期だけなのだそうですが、温泉に気持ちよさそうに入る姿を見て

もっとみる
旅先にて

旅先にて

外山 豊子 作 210×297mm
“At the Holiday Destination” by Toyoko Toyama

 「ひとり旅しています」と絵の右上に文字が入っています。ひとりでゆったりと足を温泉に浸している女性は、浴衣を着てくつろいでいる様子。日々忙しく過ごしている女性にとって憧れるシーンではないでしょうか?
 茶系の輪郭線を使い、ムラ染めの和紙をうまく組み合わせてシックな色

もっとみる
大地からの癒しの届け物(鳥取・鹿野温泉)

大地からの癒しの届け物(鳥取・鹿野温泉)

日野 晴美 作 210×297mm
“The Gift of Healing from Mother Earth (Shikano Hot Spring, Tottori)” by Harumi Hino

 今回のテーマ「温泉」は作家さんたちにとってなかなか難しかったらしく、DMを作るべき時期にまだ作品が1つも搬入されていませんでした。日野さんに相談したところ、急ぎで鳥取の温泉を小さいサイズで

もっとみる
桜回想

桜回想

小野寺 マヤノ 作 305×432mm
“Sakura Reminiscence” by Mayano Onodera

 先週で終わった「桜 –我が心のふるさと–」展に出展していた作品で、今日あたり鳥取の若桜に到着した頃だと思います。
 桜には「春の訪れ」という明るい印象と「散りゆく花」という寂しげな印象があります。今回の作品展でも、桜の作品はそれぞれどちらかの印象で描かれていました。私が描い

もっとみる