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台湾食日記:スーの魅力

四月に初めての海外ひとり旅で三週間、台湾へ。すばらしくひりひりした感動に満ちた時間だった。ひとりじゃない海外と、ひとりの海外は、なにもかもがちがう。まるで別世界。こんなに孤独で、自由で、なにもなくて、生きている心地がしたのは初めてかもしれない。そんな台湾生活での食のことをまとめていきたい。


台湾は外食文化。一日三食、ほぼみんな外で食べる。旅先では台所のある宿をえらんで自炊しながら暮らすわたしにとって、外食ばかりでろくに台所も使えない宿でだいじょうぶか?と思ったけれど杞憂だった。台湾ではベジタリアンのことを「素食」といいしっかり文化として根付いているので、この素食のおかげで特に困ることなく充実した三週間を過ごすことができた。

街中に「素」とかかげた看板がある。やったあ。読み方は日本語と同じ「ス」、もしくは「スー」。

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素食のバイキングになんどもお世話になった

これは、台湾でよくある自助饗というセルフサービススタイルの素食。お店によるけれど、こういった野菜のおかずだけだと50〜70元くらい(200円前後〜300円以下)でライスもついてくる。店内でも、テイクアウトももちろんOK。

このお店はスープ付き。取り分け用のお皿の上にビニール袋が被せてあるんだけれど、取りはずして盛り付けるのかと思いきや敷いたままおかずをのせていくそう。衛生上らしい。ちょっと学校給食みたいでわくわくもした。

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おなかいっぱいになる
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自助饗の店内のようす。料理と湿気と人々の熱気でごった返している
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どれにしようかな

味付けは全体的に少々脂っこいのが気になりはしたものの、それでも素食のお店が一般化されていることにだいぶ救われた。もちろん豚や牛など使ったいわゆる台湾料理という感じのものも沢山あるけれど、素食もちゃんと浸透していてバラエティがある所がいい。ひとり旅だったので自助饗スタイルにはとてもお世話になった。おなかが空いたら近くのお店に入って待たずにすぐ食べられるのも魅力。

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豊富なおかずの種類も魅力

こちらはホストとポルトガルから来ていた二人組とともに訪れた、山間の町。みたこともない野菜が沢山売られている。

その場で切ってくれる

台湾といえば市場。いつ行っても賑やかで、みんないい顔している。わたしが知らない昭和の日本もこんな雰囲気だったのかなあ。

訪れたのは四月だったけれど、真夏みたいに暑かった

ひとりでごはんを食べるのはさみしいときもあるけれど、すごく生きているんだって感じがした。じぶんがただじぶんのために、ごはんを食べる。おなかがすく体にすこしでも明日を生きる力を蓄えるために。そのシンプルなことに、旅先ではふだんの何十倍もの説得力があった。

ひとり
台南にて

台湾滞在中にお世話になった友人の友人のみちこさんが、めいっぱいのおもてなしをしてくださった。おいしい客家料理のお店の味、みちこさんのやさしさ、初めてのひとり旅の身にぐんぐん沁みました。

野菜中心のメニューをえらんでくださった
どれもこれも、おいしかったなあ

台湾では、小麦アレルギーのわたしにとって米粉麺のバリエーションが多いこともとてもありがたかった。台湾が誇る数々の米粉麺をご紹介してみる。(素食もあれば、そうでないものも)まずは台北で食べた米粉麺から。細麺で、上に乗っているのはいわゆる大豆ミート。これ素朴で美味しかったなあ。

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かなりほそい米粉麺
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左の上に乗っているのも、大豆ミート。こちらは太麺

こちらもよく食べた、ビーフン。炒米粉、と書いて「チャオミーフェン」。具がもやしだけのシンプルなものや、野菜たっぷりのも。量が少ないものはさくっと食べられちゃうので、おやつがわりにしたこともあったな。

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少々あぶらっぽいけれども
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屋台も魅力

台北につづいて訪れた台南でも、さまざまなグルテンフリー麺と出会った。まずは名物のイカの米粉ヌードル!なぜかセロリが効いている。胡椒もほどよい感じにかかっていて、さらに出汁が絶妙。麺はモチモチで短め。これはまた食べたい。

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イカの米粉麺

ほかに、台湾名物「意麺」(イーメン)というものが台南にある。チキンラーメンを作った安藤百福さんは台南近辺の出身で、この意麺がのちのチキンラーメンの元になったと言われているとか。が、意麺は小麦でできておりわたしは食べられなかったので、代わりに春雨に変えてもらったり。キムチ味。

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フーフーしながら食べるのが好き

まだまだある台南名物麺「河粉」。こちらは米粉。食べ応えある太さで好きでした。

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太めでパッタイみたいな感じ

麺でもうひとつ、台東で食べた麺。台東名物のこれ。

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ニラたっぷり

太麺で鰹出汁が効いていた。ニラと混ぜてザクザク食べる感じ。そんなに量が多くないので、おやつ感覚でつるっと食べられちゃう。おいしかった。

さいごにわたしが恋してしまった台東の「素便冨」。これがおいしかった。毎日買って食べたなあ。「便冨」は弁当のこと。菜食の弁当です。読み方は「スーベントウ」。

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素便冨

駅で売られているんだけれど、300円しないくらいでボリューム満点。今まで口にしてきた台湾フードの中でもそこまで脂っこくなく、野菜の一品一品どれもが丁寧にしっかり素材の味がして、油疲れ&旅疲れのわたしのからだにやさしく沁み渡ってくれた。人気商品で午前中にはなくなっちゃうので、次の日の朝ごはんの分まで買ったりしていた。ほんとうにこのおべんとうに身も心も満たしてもらったなあ。

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大きな大豆ミートをぱくり

台湾ではレストランや屋台で北京語が分からなくても、「素」とひとこといえば伝わり、どれが自分にとって食べられるかが分かって助かった。日本食ともそこまで大きな違いがあるわけじゃないから、からだもそんなに疲れなかったような気がする。次回は台湾スイーツ編を書きます。


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