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あるNPOの組織論。第3章「"余白をつくる"ことで生まれるもの」

「あるNPOの組織論」連載始めます。これは、青春基地に集う6人の学生たちが、自分たちの組織について、4時間ぶっとおしで語った時間の議事録です。

そもそもこの連載を始めようと思ったきっかけは、「なんか私たちのチームのあり方って、面白い。」という感覚を、みんなが共有していたことからでした。それぞれが学生団体やインターンなどで、ほかの組織に所属した経験はあるけれど、“ここ(青春基地)は、なにかが違う”のです。でも、その“なにか”がちゃんと言語化できなくて。だったら、大学生たちが、本音で自分たちのチームのことを語る会を一度してみよう、と。そうしたら、自分たちのチームについて、なにかわかってくるかもしれない、と。

これまで、それぞれの青春基地との出会いやバックグラウンド、実際に現場でどのような学びを届けているのか、ということについてお話してきました。本章では、青春基地とは私たちにとって、そして社会にとってどんなものであり、どうありたい・どうあるべきなのかということについてじっくりと考えていきます。

青春基地学生チームとは
大学、学部、学年を越えた学生たちが集う15人ほどのチーム。現在青春基地が取り組んでいる渋谷区・長野県の公立高校にプロジェクト型学習を届ける活動の主力として、カリキュラム計画・教材作成等の授業運営を行うほか、毎週高校を訪れ、クラスでのファシリテーターやメンターとしての役割を担っている。

登場する6人の学生たち(左上から時計回り)

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<登場する6人の学生たち(左上から時計回り)>
かっつん:最近青春基地に入ってきた。ごりごりの体育会系で、厳しい教授のゼミでしごかれ中。風邪をひいてから声変わりして、最近声が低くなっちゃった。
ゆうか:3年前から青春基地にいる古株メンバー。笑い上戸で腹筋が割れてしまい、実は6パック。(※本人は4パックを主張)愛犬エルマーの話が8割。9月からイギリスの大学院へ進学。
みきてぃ:数ヶ月前からジョインして、いつもやたら綺麗にノートをとっている。韓国語がペラペラ。9月から地域起こし協力隊として、高知県へ向かう。
まいまい:青春基地にきたのは1年前。週2でライブに足を運ぶサブカル系女子。高校時代は、パーカッションに打ち込んでいた部活系女子だったらしい。
だいこん:2年前にますみに誘われたことから、青春基地に参入。高校時代はガリ勉。あだ名は大根のくせに、じゃがいもが好きで、報連相(ほうれんそう)が苦手。
ますみ:高校受験後に青春基地と出会い、学生メンバーのドンとして君臨。カレーにはまり3食カレーを食べている。いまだ自転車に乗れないが、乗馬が趣味。

あるNPOの組織論。
第3章「"余白をつくる"ことで生まれるもの」

Q:学びづくりに携わる日々をふりかえって、あらためて自分にとっての青春基地とは?

かっつん:この6月に入って、すでに関わっているみんなを見ていて思ったのが、大学生たちも、高校生と一緒にいまも青春し続けてるんだ!っていうことでした。しかれたレールに歩んでいたんだなとか、高校生の時にこんな学びをしたかったっていうことを原動力に、学びを変えていきたいと思っている人が集まっているように思います。そんな姿を見て、私自身も当時やりたいことを見つけることをしたかったからこそ参加しました。

だいこん:ぼくも、かっつんが今言ってくれたことが教育に関わり始めたきっかけ。でも青春基地って何かと言われて答えられないなぁ、青春基地って青春基地でしかないよ…(困り果てるだいこん)外からみたらブラックボックスで、闇鍋みたいなものなんだよね。楽しいよ、1回来てみてとしか言えない(笑)

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まい:私は青春基地に入りたてのころ、自分がチームに対して貢献できてないなって感じてしまったんだよね。「これをやって!」みたいな明確なタスクを与えられるわけではないから、どう動けばいいのかわからなくて。でもだんだん、「それなら、どう貢献していけるのかな?」と考えられるようになって、自分から動くことで楽しめる場所なんだって気づいた。だから、青春基地は「こうしよう!こうしたい!」と考えたことを実現できる場所だと思うし、それを実現していくことでチームに対して貢献できているんだと信じられる場所だと思う。

Q:じゃあ社会にとって、青春基地という組織のユニークさってどこにあるんだろう?

みきてぃ:学校では、やれって言われることをただただこなすことが多くて、自分で考えたことに自信を持つことって教えられなかったし、大学でもそんな機会はあまりなかったと思うんだけど。でも、青春基地が関わっている生徒たちや先生って「正解のない問いに全力で挑戦しているな」と変化を感じることが多くて。それは、私たちと一緒に正解かどうかにとらわれず、ビジョンに向かって考え続けているからだと思ってる。答えのないものを考え続けるってことがいまだ社会に浸透していない中で、社会を巻き込んでいけるような一歩前を進む団体でありたいと思っているよ。

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まい:うん、青春基地は考えるってことを大事にしているよね。高校生たちって考えることができないんじゃなくて、本当は考えていることがあるけどなかなか言い出せない雰囲気がある。大学でも、学生は自分から発言しないけど、指されるといいこと言ったりするじゃない?
発言したらダメかな、みたいなそういうことを気にせず言える場を青春基地ではつくっているよね。それを社会でも広げていきたいなって思う。

ますみ:実は以前、学生チームがうまくいかないときもあって。わこさん(代表)がそのとき言ったことが、「2つだけ忘れないでほしい。何があっても考え続けること。この場だけでもいいから思考し続けることが価値。もう1つは、基地のメンバーとして誇りを失わないでほしい。」だったのね。だから、考え続けること、思考し学び続けることがこの組織の価値だと思う。そして自分たち自身が思考して成長していくことが組織自体を前進させるとも思うな。

Q:青春基地ならではのマインドセットって?

ゆうか:さっきだいこんが「青春基地は青春基地でしかない」って言ってたけど、青春基地ではこういうマインドセットで臨んでいるとかある?

だいこん:余白を持つ、ということかな。いままでは大学やバイト、インターンとかいろんなことを詰め込んで、毎回のミーティングも時間を区切りながら、切羽詰まってやっていて。ただ、そういう忙しくて余裕がないときって、思考停止状態になっちゃうんだよね。ここにきて無理をしないようになって、余白を持つことができるようになったことで、はじめて「もっとこうしたい!これがやってみたい!」って考えられるようになったなって感じている。むしろ余白をあえてつくっていく感じがあるよね。

ゆうか:確かに。私は余白がないときすごく規範的だったんだよね。ルールがあるから、とか、親の考えがこうだからこうしなきゃ、みたいな。でもそういう余白を青春基地で持つ中で、あー本当は私は自分で決めてこなかったんだなって気づいて。親や社会的規範はこうだけど、自分はこう思う、みたいな、自分のwillに自覚的になれた気がする。

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ますみ:たしかに!ゆうかと2年間一緒に活動してきたけれど、はじめの頃よりもゆうか自身の感性が出てきた感じがするな。親の影響も自分の一部として受け入れつつも、「親とは違う価値観も自分は持っている」って自覚できていることって、自分の直観や感性を信じられるようになった、っていうことなのかなって思ったよ。

だいこん:あ、その意味で青春基地では、直感や感性が研ぎ澄まされていく感じがするな。直観で「いい!」と思ったことを、そのまま受け入れてくれる場所ってあまりないし、そこが守られているところが個人的に好きだな。 みんなが、言葉になっていないその下にあるものを尊重してくれるんだよね。

-編集後記-
 この章では私たちにとって、そして社会にとっての「青春基地とはなにか」ということについてじっくりと考えていきました。これを一言で表すのはかなり難しかったですが、あらためて考えてみれば一言で表現できないところが青春基地らしさの一つであり、良さなのではないかと思います。それぞれの青春基地との向き合い方があり、青春基地として届けたいものがあり、それらが重なることによって青春基地が成り立っている、適度な"余白"があることにより、新たな考えが生まれ、お互いを受け入れられる環境が整えられている、そんなことを感じました。
 次回はいよいよ最終章です。この先、青春基地からの卒業を控え、それぞれ異なる道に進むことになる学生たちの考える、彼ら自身の将来像についてを中心にお伝えしていきます。それぞれバックグラウンドも異なれば進路も全く異なる彼らは、やはり青春基地での活動と自分の将来とのつながりに対しても、全く異なる考えや想いを持っていました。

<最後にお知らせ>
NPO法人青春基地では現在、学生インターンと社会人プロボノメンバーを募集しています。11月9日に説明会を開催。詳細はこちらまで!ぜひ記事がおもしろな〜と感じた方は遊びにいらしてください。

■日時:
 11月9日(土)17:00~19:00(開場16:30)
■参加費:無料
■対象:大学1・2年生(※3・4年生、社会人も可)
■持ち物:特になし
■場所:青春基地事務所(渋谷区千駄ヶ谷5-33-3 新宿ネオンビル)※新宿駅ミライナタワー改札より徒歩3分、新宿三丁目駅E7出口より徒歩4分

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文責:安田侑加

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<あるNPOの組織論・連載シリーズ>
第1章「みんながフラットなチームのあり方」
第2章「学生チームが思う、学びの再定義とは」
第3章「"余白をつくる"ことで生まれるもの」
第4章「青春基地」

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