男性不妊と中医学
こんにちは、誠心堂薬局恵比寿店店長の西野です。
本日は、『男性不妊と中医学』をテーマに実際の症例も交えてご紹介させていただきます。
腎陽虚タイプ
<主な症状>
・冷え性・・・特に下半身の冷えが特徴です。
・足腰の無力感や場合によっては腰痛が生じます。
・耳鳴り・・・腎虚の耳鳴りは低い耳鳴りが多いです。ストレス性の耳鳴りは高音であることが多いです。
・脱毛や白髪・・・髪の毛は中医学でいう腎の『華』とよばれます。
・舌の色は淡白、舌の苔は白い。舌が胖大(むくみ)や歯痕(歯型)がみられるケースも多い。
<主な原因>
高齢(年齢の8の倍数で腎は消耗していきます。)中年の早老早衰、慢性病や過労、睡眠不足による消耗などが挙げられます。
胃腸から元気が作られるため、胃腸が冷えて弱くなり、後天的に起こるケースや先天的に身体が弱い方もいらっしゃいます。
<中医学的な解釈>
身体を温める腎の陽気が弱く、腎精(生命活動に必要なエッセンス)が消耗していると考えます。
陽が消耗している(=虚している。)ため、陽虚と呼ばれます。
<主な漢方薬>
腎陽を補う助陽薬を用います。有名なものだと牛車腎気丸、八味地黄丸などの六味地黄丸の派生薬を用います。
六味地黄丸は、熟地黄、山茱萸、山薬の『三補』、茯苓、牡丹皮、沢瀉の『三瀉』のバランスの良い構成です。
八味地黄丸は、そこに身体を温めて陽気を補う、炮附子、桂皮(シナモン)を加えます。
牛車腎気丸は更に、血流を改善し、下肢に生薬成分を引っ張る(引経薬)の牛膝、水分代謝を改善する車前子を加えてより、下焦(下半身)に薬効を引っ張る働きがあります。
また、腰痛や足腰の冷えが強い場合は、続断や杜仲などの助陽薬を追加で用います。
杜仲・・・杜仲の樹皮を乾燥し砕いたものです。筋骨を強め、腰痛の要薬。インポテンツや頻尿などにも用います。
続断・・・甘温で、血流を改善し、補いつつも滞らない『行中有止』の性質があります。腰痛や遺精などに用います。
いずれも補腎、妊娠中の安胎(流産予防)にも用いますが、互いの効力が似ており、組み合わせて用いることで効能を強化できる相乗効果が期待できます。
以上の植物性の生薬に加え、動物性の生薬の海馬、鹿茸なども大変有効で、実際のご相談での改善例もご紹介致します。
現在無事ご妊娠された方のご主人様で、初回来店2022年2月6日で、ご年齢は40歳。下痢しやすく、便通は1日2回。冷えを感じやすいのがお悩みでした。その他自覚症状ないですが、脈拍数62/分を中医学的な平脈(=75/1分)より遅く、冷えている状態が確認できます。
実際の精液検査では、初回が運動率30%台、再検査で運動率約15%と運動率が低い状況が確認されたため、漢方薬服用を開始しました。
服用経過として3ヶ月間継続服用の結果精液検査で40%(前進運動率38%)4月16日の精液検査で52.65%(前進運動率50%)と
初回の検査と比較して24~36ポイント改善がみられた。
(参考)総運動率の基準値は40%以上、前進運動率の基準値は32%以上
その後の継続服用により、6月21日の採卵時の検査では、運動率は77.5%まで回復され、初めての体外受精+移植でご妊娠されました。
飲酒量をへらすなどの生活習慣の改善などとも合わせた結果ですが、補腎の有効性が示唆される結果となりました😊
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