若者は大舞台に飢えている。日本ハム・万波選手が特大アーチ。西武・隅田投手は7回無失点。侍ジャパンが宿敵韓国を撃破。アジアプロ野球チャンピオンシップ

若者は大舞台での活躍を夢見ている。そんなチャンスに飢えていると言ってもいい。ヤング侍ジャパンの選手たちが躍動した。アジアプロ野球チャンピオンシップ。日本ハムの万波中世選手(23)が特大ホームランを放てば、西武の隅田知一郎投手(24)は7回無失点。宿敵韓国を下して決勝進出を決めた。ヤングヒーローはさらなる成長を遂げた。

17日に東京ドームで行われた1次リーグの韓国戦。侍ジャパンは三回に1点を先制した。ただ無死満塁から併殺打の間に挙げたもの。相手に大きな衝撃を与えるような得点を奪いたい。

そこで四回に先頭で打席に立った万波選手が見せた。カウント1-0からの2球目。相手左腕の146キロストレートをドンピシャのタイミングで振り抜くと、打球はセンターバックスクリーンへの特大アーチとなった。相手に与えたインパクトは最高だ。

「我ながらいい1本だった」と振り返る万波選手。「140点満点です」と自画自賛するのも無理はない。プロ入り後初ともいえる大舞台での一発だったのだから。

推定飛距離129mの大アーチに、井端弘和監督も「なかなかあそこまで飛ばせる選手はいない」と手放しで喜んだ。

投げては先発の隅田投手が無双のピッチング。24歳左腕は三回までパーフェクトに抑え込むと、7回無失点に封じた。77球を投げて、7奪三振。許したヒットは3本、与えた死球も一つだけと安定感が漂っていた。

2人の活躍で侍ジャパンは宿敵韓国を2-1で撃破し、決勝進出を決めた。国際レベルのニューヒーロー2人が誕生した試合ともなった。

この大会は原則24歳以下または入団3年目以内の選手に限定されている。若手主体の国際大会だ。

万波選手と隅田投手。2人に共通するのは、プロ入り後、大舞台に出場したことがないこと。高校生時代は甲子園に出場したキャリアがあるが、プロ入り後は大舞台に立つチャンスに恵まれなかった。

2人とも大舞台に立つチャンスに飢えていた。万波選手は2018年にドラフト4位で指名されたプロ入り5年目。着々と成長しながら、チームは2019年以降5年連続Bクラス止まり。日本シリーズはおろか、Aクラス入りしたチームが競うクライマックスシリーズ(CS)進出もなかった。万波選手はヒリヒリする短期決戦の舞台に立ったことがなかった。

同様に隅田投手も2021年にドラフト1位で指名されて西武に入団したが、大舞台の経験がない。2022年に西武はリーグ3位でCSに進出したが、メンバーに隅田投手の名はなかった。そして今季は5位に沈んでチームはポストシーズンに進めなかった。

万波選手は今季25本塁打と大当たり。1本差で初のタイトルを逃したものの、チームの大砲として貢献した。74打点もリーグ5位だ。一方の隅田投手も2年目の今季に9勝を挙げ、ルーキーシーズンの1勝から飛躍的な成長を遂げた。

2人にとって、さらなる成長につながるのは大舞台での経験だ。そしてヤング侍ジャパンの一員としてチャンスを与えられた。

宿敵韓国相手に堂々たる活躍を見せて、決勝進出の立役者となった。大舞台でのチャンスに飢えていた若者が覚醒した。

野球ファンに衝撃を与えた2人。若者の成長は目覚ましいのだ。

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