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苦しい時こそ原点回帰。サッカー日本女子代表がパリ五輪切符。選手の要望と監督のイメージが一致。システム変更で最終予選を突破

苦しい時には原点へ戻る。これが成功への足掛かりとなるのだろう。サッカー日本女子代表がパリ五輪切符をつかんだ。最終予選の北朝鮮戦。第1戦で機能しなかったシステムを、昨夏のワールドカップ(W杯)時のものに戻したのが奏功した。勢いの付いた日本がホームでの第2戦を制して、2大会連続の五輪出場を決めた。苦しい時ほど原点回帰が必要なのだ。

五輪最終予選の北朝鮮戦はホームアンドアウェー方式。第1戦でアウェーゲームは北朝鮮で戦うはずだった。しかし直前になり第1戦は中立地のサウジアラビアで行われることになった。移動距離が遠くなり、中東の地の暑さもあって、第1戦は0-0のドローだった。

直前の会場変更、気候の暑さ。このほかにも日本にとって力を発揮できなかった理由があったのでは?選手たちも監督もそれぞれが振り返っていた。

それぞれの思いが合致したのがシステム変更だった。第1戦の4-3-3から、3-6-1へ。これは昨夏のW杯で8強入りした時と同じもの。選手たちの提案と監督のイメージがマッチした。

ここで重要なのは選手と監督の思いが一つになったことだろう。チームの方向性がそろっていれば、持っている力以上のものが発揮できる。

それが第2戦のホームゲームで好結果となった。28日に東京・国立競技場で行われた最終決戦。2万777人が見守る中で、日本のパフォーマンスが攻守で最大限に発揮された。

前半26分。相手陣で得たフリーキック。ゴール前での混戦。こぼれ球を、DF高橋はな選手が押し込んで先制点を挙げた。

そして前半終了間際。GK山下杏也加選手がビッグプレーを見せた。相手選手がかかとで蹴ったシュートがゴールへとコロコロと転がっていく。ボールはライン上。それを山下選手は横っ飛びでかきだして難を逃れた。まさにスーパーセーブと言えるだろう。

後半32分には右サイドで好機を作った日本。DF清水梨紗選手の上げたクロスに、MF藤野あおば選手がドンピシャのタイミングでヘディングシュート。貴重な追加点をゲットした。「頭での得点は初めてかも」と振り返る大きなゴールとなった。

北朝鮮の反撃を1点に抑えて、日本が2試合通算2-1で振り切り、パリ五輪の出場権を手にした。

苦しい時には原点回帰。しかも選手と監督の思いが一致すれば、相乗効果を生む。山下選手のスーパーセーブも、藤野選手の頭でのゴールも、自らの信じた方向へ突き進んだからこそ、ビッグプレーとなったはずだ。

苦しい時の原点回帰。それは後戻りでは決してない。「ホップ・ステップ・ジャンプ」でいう大きな飛躍の前の踏み込みなのかもしれない。

原点回帰でつかんだ五輪切符。日本の女子サッカーがパリの地でさらなる飛躍を見せてくれるだろう。原点回帰の先にはどんな道筋が見えるのか。日本女子サッカーのさらなる快進撃に注目したい。

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