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ヤクルト・中村選手がWBC後の不振脱出へ貴重なサヨナラ打。延長十一回、4時間10分の死闘を制す。チームは首位タイに浮上

悩める「世界一の捕手」と言えるだろう。ヤクルトの中村悠平選手(32)のことだ。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では決勝のマスクをかぶるなど3大会ぶりの王座奪還に貢献した。ただヤクルトに戻ってからは打棒が振るわずにいた。反転攻勢へ20日の試合で劇的なサヨナラ打を放ち、再スタートへ大きな一歩となった。さあ、ここからだ。

先月行われたWBC決勝が忘れられない。前回王者アメリカとの頂上決戦。侍ジャパンは7人の投手リレー。中村捕手は巧みなリードでピッチャーの持ち味を引き出し、相手の強力打線を2点に抑えて、日本の王座奪還に貢献した。

九回の守備。2死走者なし。世界一へあと一つ。マウンドには大谷翔平投手。打席にはマイク・トラウト選手。「スーパースター対決」が実現した。相撲で言えば「千秋楽の結びの一番」。このマッチアップに、中村捕手は勝負球として外角スライダーを大谷投手に求めた。そして最後は空振り三振。「チャンピオンピッチ」を演出した。見事なリードだった。

WBCでは打っても打率4割2分9厘と大当たりだった。下位の打順でこれだけ打てば、相手チームには脅威に思われたに違いない。

本拠東京への悠々の凱旋。今季のリーグ戦でもヤクルトのリーグ3連覇に向けて大活躍が見込まれるはずだった。しかし、出場12試合で打率は1割2分8厘。ジェットコースターの急降下のように、打率が落ちていった。

20日の本拠神宮球場であった中日戦。先発メンバーに中村選手の名前はなかった。初回からベンチ裏で素振りをして、出場に備えた。

試合は九回を終えて、2-2のまま延長戦に突入。ヤクルトは九回の攻撃で先発の古賀優大捕手に代打が送られたため、十回の守備から中村選手がマスクをかぶった。

この回から登板した6番手の大西広樹投手をリードし、相手打線を十一回までいずれも三者凡退に抑えた。

そして十一回裏。中村選手に打席が回ってきた。1死二塁と一打サヨナラのチャンス。カウント1-1からの3球目。ストレートを中前へ弾き返すと、4時間超の試合に幕を下ろすサヨナラ安打となった。

守備からリズムをつかんだヤクルト。それは中村選手にも言えただろう。巧みなリードでリズムをつかみ、自らの打撃に生かした。

これでヤクルトは首位タイに浮上。大きな大きな1勝だ。試合終了時には午後10時を回っていた。4時間10分の死闘の末、サヨナラ劇で勝利をつかんだのは弾みがつく。

それは中村選手も同様だ。センター返しによる劇的な一打は不振脱出へ大きな足掛かりとなったはずだ。

WBCでは攻守で活躍した。「世界一」の捕手には所属チームに戻っても、ワールドクラスのバッティングを見せてほしい。

不振脱出へきっかけをつかんだサヨナラ打。中村選手よ、これからも打って、打って、打ちまくってほしい!

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