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この女(ひと)に賭けろ!競馬の世界。デビュー4年目の永島まなみ騎手が重賞初勝利。女性ジョッキー3人目。大逃げの作戦ピタリ。どの分野でも女性が活躍できる時代に

かつて総合職の女性銀行員を描いた漫画が静かなブームを呼んでいた。タイトルは「この女(ひと)に賭けろ」。1990年代の作品だ。現代なら、この女(ひと)に賭けたくなる。競馬の永島まなみ騎手だ。デビュー4年目の21歳。年々勝ち星を増やし、今年ついに重賞レースを制した。大逃げの作戦がピタリとはまった。

漫画の描かれた1990年代は銀行合併が進んだ時期。主人公は男性中心の社会だった銀行で、マイペースの性格ながら銀行の問題をきっちり解決していく「キャリアウーマン」として描かれた。2019年には真木よう子さん主演でドラマ化もされた。

この漫画が描かれたころ、競馬場に訪れる若い女性は「オヤジギャル」と言われていた。あれから約30年が経ち、競馬を取り巻く環境も大きく変わった。

女性ジョッキーが活躍の場を広げられるようになり、デビュー4年目の永島騎手が重賞レースを制した。JRA(日本中央競馬会)の重賞レースで、日本人女性騎手が勝ったのは、永島騎手で3人目だ。

16日に京都競馬場で行われたメインレースのマーメイドステークス(GⅢ)。ハンデキャップ競走で斤量は50キロから56.5キロまでの6.5キロの差がある。永島騎手は最軽量ハンデ50キロのアリスヴェリテに騎乗した。16頭立てで単勝4番人気。

ゲートが開くと、アリスヴェリテは好ダッシュ。永島騎手が先頭に導いていく。2番手以降を引き離して大逃げの展開に持ち込んだ。

2000mのレースで、中間点の通過タイムは58秒3。ハイペースだ。このままアリスヴェリテはもつのか。

最後の直線に入った。後続がスパートを駆けて追い詰めようとする。それでもアリスヴェリテはばてない。永島騎手の鞭が入ると、もうひと伸び。影をも踏ませぬ大逃げが奏功。トップでゴールインした。1分57秒2の勝ちタイム。2着に2馬身差を付けての快勝だった。

ゴール後、永島騎手はアリスヴェリテのくびをポンポンと叩いて、激走をねぎらった。

前日の競馬中継番組のインタビューでは「日本から出たことないのに、日本語をしゃべるのが下手くそで」とおっとりした口調で受け答えをしていた。話しぶりからはマイペースな雰囲気が漂ってくる。

しかし馬に乗れば、きっちりと結果を出す。ルーキーイヤーに7勝だったが、翌年は21勝。そして昨年は50勝をマークした。そして今年ついに重賞レースを制した。

昨年は新潟などローカルの競馬場で騎乗の経験を重ねていったのが、勝利という結果となったのだろう。そして、関係者の評価も高まって大きなレースを任されるようになったのだ。

普段はマイペースでも、やるべき時はきっちり決める。永島騎手を見ていると、「この女に賭けろ」の主人公に重なるのだ。

永島騎手がこれからも活躍する姿が楽しみだ。そして、その先にGⅠレースを制する日が来てほしい。成長著しい21歳、永島まなみ騎手。この女に賭けろ!

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