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「これがオレたちの生きる道」。もがき苦しんだキャプテン山田選手の号砲。ヤクルトが流れをつかみ2勝目。日本S

キャプテンの一振りが、ヤクルトに流れをもたらした。もがき苦しんでいた山田哲人選手の号砲。ついにお目覚めの一発となり快勝につながった。この日本シリーズでチームはホームランで勝利をつかみ、敗北から逃れてきた。この日のアーチもそうだった。「これがオレたちの生きる道」。そう言わんばかりのホームランだった。

野球の試合から見えるものは、勝ち負けだけではない。選手やチームの生きざまであったりもする。このシリーズで、ヤクルトは神宮で行われた2試合を通じて、4本のホームランを放った。ここ一番のホームラン。それが彼らの美学にさえ思えた。そして大阪に舞台を移しても、その生きざまは変わらなかった。

神宮よりも広い京セラ大阪ドーム。つなぐ野球のオリックスの方が、ホームでもあり優位に思えた。

しかし、そんなの関係ない。ヤクルトはホームランの美学を、第3戦でも見せつけた。打ったのは、このシリーズで不振にあえいでいたキャプテン山田選手だった。

神宮での空振りの場面は痛々しく思えるほどだった。相手投手の落ちる変化球に体勢を崩して、空転。そして、右ひざを地面についてしまう。この空振りは、見ようによっては、コントのようにすら思えた。

2戦までで9打数無安打。キャプテンが流れを止めていた。主軸の3番打者がこれでは、つなぐ野球などできようはずがない。悩めるキャプテンに、高津臣吾監督の取った決断は、打順を1番に上げることだった。

その作戦が的中!五回表、2死一、二塁の場面で、山田選手は2球目の147キロストレートをとらえる。打球はレフトへ。両翼100mあるレフトスタンドギリギリに飛び込んだ。

ついに眠れるキャプテンのお目覚めだ。前の打席で、このシリーズ初ヒットとなる内野安打を放っていたが、このチームにとって、必要なのは苦しい時のホームランなのだ。チームの美学を、キャプテンのバットで書き加えた。キャプテンの一振りが号砲となって、この試合7点奪う快勝につながった。

負けたオリックスも、最後に意地を見せた。九回1死から3連続安打で1点を返した。先に得点を奪ったのがオリックスだったら、試合展開はガラリと変わっていただろう。

短期決戦の日本シリーズ。何がきっかけで、流れが変わるか分からない。この日は不振にあえいでいたヤクルトのキャプテンの一発だった。

最後の反撃を見る限り、オリックスにも、まだまだチャンスはある。たった1点。されど1点。最終回の反撃をプラスのイメージにできれば、まだまだ十分に戦える。

ホームランのヤクルトなのか、つなぐオリックスなのか。第4戦のプレーボールが待ちきれない。

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