まさ せいこう

富士山の麓で創作の森を彷徨うカエル(筆者)。小説・エッセイ・写真などの創作活動をしてい…

まさ せいこう

富士山の麓で創作の森を彷徨うカエル(筆者)。小説・エッセイ・写真などの創作活動をしています。Kindleで6冊の「超ショート・ショート」を出版していますが、更に活動の場を広げ、創作活動をされている方々と繋がりたいと願っています。

最近の記事

秘密警察を宣伝してみる

求人難である 優秀な人材が全く集まらない 今、我が国の秘密警察は存亡の危機に直面している その理由は 組織が一般には知られていないからだ 知られていても ブラックというイメージが強すぎるのだ 至急対策を立てなければ この事態は国家存亡の危機に繋がる この際 タブーを犯しても 組織を広く宣伝しよう 我が国の秘密警察は ホワイトで働きやすい組織だと 子育て支援も充実し 残業もない 楽しい組織 よし 強くこのことを大統領に進言するのだ 国家存亡の危機を脱するために 我々はホワイ

    • 半笑いのポッキーゲーム

      我が家の愛犬ポッキー 九歳雄のチワワだ 妻と娘にはいつも愛想よく振る舞う 喜んでキスもする しかし この俺には懐かない 男同士だからか 俺だって愛らしいポッキーとキスがしたい だが彼が俺に興味を示すのは 何かを食べている時だけ ある日 チョコ菓子ポッキーをつまみに 酒を飲んでいたら 彼は菓子に興味を示し寄ってきて よこせとワンと吠えた ポッキーを口にし ポッキーに顔を近づけたら ポッキーはポッキーを食べようと顔を寄せてきた その時 妻が怒鳴った ポッキーにチョコはダ

      • 「金持ち教習所」x「壁待ち強襲女」

        金持ちのお坊ちゃま達が資産形成を学ぶサークルがある 有名な投資家たちが指導し高い評判を得ている もちろんお坊ちゃま達親の評判である 庶民からは 金持ち教習所 と妬まれている 多額の資金を惜しげもなく投入し 勝率5割越で十分と考えれば 誰だって儲けることができる 金は金を生み 金のあるところに金は集まるものなのだ しかし庶民には 一回の負けが致命傷 とても真似なんかできない 悔しい 金は欲しい 金持ちのお坊ちゃま達から 巻き上げてやりたい 私は決めた 通路の壁に張り付

        • 改造人間・ほんの一部すいか

          我が組織史上最強の人造人間が誕生した これで世界征服も時間の問題だ 見るがよい 緑色の巨大な体 そして不気味な黒いギザギザの縞模様 人間どもを 恐怖のどん底に突き落とす恐ろしい姿だ こいつは どんな環境下でも順応し 根や蔦を広く強く張るので 他の生物どもを寄せ付けない それに 口から恐ろしい破壊力を持つ黒い種を発射する そう 植物のスイカの強靭な性格をそのまま取り込んだ怪物なのだ これで 我々を散々苦しめてきた あのバイクに乗ったスーパーヒーローもお終いだ 戦闘員の諸

        秘密警察を宣伝してみる

          スナイパーの意外な使い方

          これが怪我の功名なのか 私が出来損ないのスナイパーを送り込んでしまったために 人類は思わぬ方向に・・・ 行ってきまーす 能天気な奴だ しっかり任務を果たせるだろうか 無理だろう しかし地球の人口は増え続け 我々スナイパーの数は明らかに足りない あんな出来損ないでも 任務につけないと ターゲットの男性発見 心臓めがけて矢を放て しまった 別の女性に当たっちゃった 次はあの女性 また外れた 今度は男性に 気を取り直して次 ヤバッ 今度は依頼主に それ見たことか あいつ

          スナイパーの意外な使い方

          生き写しバトル

          体はもうボロボロだ 四人目の俺のスピンキックを何とかかわし 顔を蹴り上げて勝負あり だがすぐに、後ろから俺の後頭部めがけて 強烈なエルボーを叩きこむやつがいた 五人目の俺だった これで俺もおしまいか ゆっくりと意識が戻る どうやらここは現実世界 メタバースの世界から自分の部屋に無事生還 いったい誰だ、俺の生き写しを沢山作って送り込んだやつは まあ、セキュリティ対策を怠った俺の責任でもあるが 生き写しの俺が、オリジナルの俺を襲ってくるなんて 俺の理想空間が、突然デンジャラス

          生き写しバトル

          海人・塩人・I 魚人

          さあ、念願のプロジェクトがスタートします 眼下に見える赤茶けた地球 あの場所は 遠い昔、青く豊かなみずをたたえた 青く輝く、命に満ちあふれた惑星でした そして、私たちの祖先は豊かな水  そう、海に囲まれた美しい島で 魚を取って暮らしていました そこで漁を営む人たちは 「海人」 と呼ばれていとのです しかし、我々人間の愚かな行為により 地球上の環境は破壊され 緑は消え 海も消え 塩分だけが残り あのような赤茶けた姿に変わってしまいました それでも私たちの祖先

          海人・塩人・I 魚人

          塩人

          何もかも面倒くさくなった 人と接するのも嫌になった 仕事のストレスが溜まりすぎたのかもしれない お前、最近不愛想になったな と周囲から言われる そんなに不愛想で塩対応になっちまうと 「塩人」 なんて呼ばれるぜ とからかわれる 今はそれもウザくてたまらない ここは潰れてしまう前にリフレッシュする必要がある 一人のんびりと、誰にも煩わされることなく 海沿いのひなびた集落に 「塩人」 という民宿を見つけた 今の俺にピッタリじゃないか 多分、客をほっといてくれるんだろうな

          デジタル丸流縞

          丸を丁寧に描いて 繋げて 川の流れのような縞模様を描いていくのですね きれいで正確な丸が 沢山集まって美しい流れになり 素晴らしい縞模様を作りだしていく これが伝統工芸の丸流縞なのですね もうこれは職人技というより アートですよ 人が習得するのに 何十年もかかる 古き良きアナログ時代の技ですね いただいたご相談は 後継者問題ですね 弟子が来ない 育たない 伝統技法が途絶えてしまう こんなに素晴らしい伝統工芸が あなたの代で終わってしまうのは 日本文化の大きな損失です

          デジタル丸流縞

          デジタル巌流島

          佐々木小次郎は苛ついていた 宮本武蔵はまだ来ない ここ巌流島で決闘の約束をしたのに 無情にも過ぎ去る時間 すると、沖の方から小舟が近づいてくる 武蔵だ 「遅いぞ武蔵君」 小次郎はそう叫ぶと刀を抜いて切りかかった 「ちょっと待った小次郎君、それレーザーソード、反則じゃん」 「うるさい武蔵君、こんなに待たせておいて」 問答無用でレーザーソードを振る小次郎 「冷静に小次郎君、アナログ時代の決闘を体験しようぜって提案したのは君なんだぜ」 そう言いながら武蔵も腰の大小の日本

          デジタル巌流島

          顔・自動(地道)・販売機(販売鬼)

          ガタン、ゴロゴロ 「オカイアゲ、アリガトウゴザイマス」 自販機から鬼の顔が転がり出た 今日はこれで五つ目だ 最近鬼の顔、よく売れる 鬼の俺が自販機で売っているのは 鬼の顔 買いに来る人間たちは勘違いしているが 鬼のマスクではなくて顔、鬼の顔だ この顔に付け替えると、人間は皆鬼になるのさ さて、買ってくれたお客の回収に向かうとするか 鬼の世界も求人難でね なり手が激減さ そこで俺の発案で 鬼の顔を自動販売機で それこそ地道に売ることにしたのさ この案、他の鬼たちは全く

          顔・自動(地道)・販売機(販売鬼)

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          ファインダー越しの不思議世界 No.1

          ファインダー越しの不思議世界 No.1

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          メガネ 朝帰り

          朝が来た。 老人がベッドから頭を上げ、枕もとのメガネを探すが見当たらない。 「また朝帰りか」 バタバタ 「ごめんなさい」 メガネが駆け込んできた。 「慌てるでない、お前が壊れたら、わしは仕事ができなくなる」 そう言い、老人はメガネを手に取った。 「さあ、仕事じゃ」 バタバタ 翌朝、またメガネがあわてて老人の部屋に飛び込んできた。 「ごめんなさい、遅くなりました」 この日、老人は既に起きてメガネを待っていた。 「もうよい、私は引退することに決めた。老眼で地上がよく見えな

          メガネ 朝帰り

          日本語本翻訳システムが欲しい

          日曜日の朝、僕はD官山のスタバでコーヒーを飲みながら創作ノートのページに文字を埋めていた。 ペンで文字を書くなんて、現代社会においては古めかしいスタイルであるが、僕にはこれがあっている。 考えていることを上手にまとめられる気がするのだ。 このようにしてノートに向かい、ペンを走らせてもう何年たつのだろうか。 それこそ学生時代から小説めいた作品を書き上げてはSNS上で発表している。 これで収入が得られれば理想なのだが、そう現実は甘くない。 だが、こうやって僕の手で文字を生み出し、

          日本語本翻訳システムが欲しい

          「空の写真を撮る人は心が病んでいる」なんて、嘘に決まっている!

          ネットで空の写真を調べていた すると気になる記事が目に飛び込んだ 空の写真を撮る人は心が病んでいる はぁ? 空を見上げて写真を撮る人は、健全な心を持っているんだよ そう反論したくなった 太古の昔から、人間は空を見上げながら生活してきたのは紛れもない事実だ 僕たちは自然とのつながりを持ち その中で喜びや感動を見出してきた 空を見上げるということは 僕たち人間の いや地上に住む生き物たちの本能の一部なのだ そしてさらに 現代社会においては 人間らしさを取り戻すことにつ

          「空の写真を撮る人は心が病んでいる」なんて、嘘に決まっている!

          ショートショート 「かぐやガール(姫)」

          大丈夫だってば ちゃんと月に帰る方法は覚えていますって! ただ、帰りたくないんだって 何度も言ってるじゃん! 月の住むウサギさんたちが、今晩もまたうるさく連絡してくるんだよ 「かぐや姫、月に帰ってくる時が来たよ」 もう、ウザイったらありゃしない 確かにさ、先祖代々かぐや姫は 一定期間だけ地球で生活することが認められている でも、その期間は短すぎるんだよ それにさ、私たちの世話をしてくれた人間たちのことも考えなくちゃダメだってば お婆様のかぐや姫のこと、思い出してごらんよ

          ショートショート 「かぐやガール(姫)」