デジタル巌流島
佐々木小次郎は苛ついていた
宮本武蔵はまだ来ない
ここ巌流島で決闘の約束をしたのに
無情にも過ぎ去る時間
すると、沖の方から小舟が近づいてくる
武蔵だ
「遅いぞ武蔵君」
小次郎はそう叫ぶと刀を抜いて切りかかった
「ちょっと待った小次郎君、それレーザーソード、反則じゃん」
「うるさい武蔵君、こんなに待たせておいて」
問答無用でレーザーソードを振る小次郎
「冷静に小次郎君、アナログ時代の決闘を体験しようぜって提案したのは君なんだぜ」
そう言いながら武蔵も腰の大小の日本の刀を抜いて応戦する
「武蔵君、確かにそう言ったが、せっかく借りることができた巌流島仮想空間レンタル料金のことも考えろ」
小次郎もレーザーソードを激しく振り回す
「僕は小次郎君のために、しっかり歴史を調べてアナログ時代の決闘シーンを忠実に再現しようとしているのに」
「うるさい武蔵君、もう残り時間が少ないんだ」
その時
「終了です」
のアナウンス
仮想空間の巌流島は消え去った
決闘も終了した
文字数 409
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