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遠距離物語

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4年間の遠距離恋愛を終えた、私と恋人のこと
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#東京

ねてもさめても

ねてもさめても

夏が深まって、と書こうとしたけれど、果たして夏は深まるものなのだろうか。秋は深まるという表現を使うけれども、他の季節は「深まる」とは言わない気がする。

でも仮にそう言ってもいいなら、今現在夏は確実に深まっているし、それどころか盛りから少しずつ衰退していっているような気がする。

お盆が近いからだろうか。

私は昔から、胸のどこかで、お盆こそが夏の終わりの始まりを告げるものだと思っている。だっても

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お姫さまじゃなくても

お姫さまじゃなくても

物心ついてからずっと不思議に思っていたけど、いつもいつもお姫さまが王子さまの訪れを待たなくてはならないのはなぜだろう。

もし王子さまが来なかったら、お姫さまは待ち損じゃないのか。

いつ現れるかも分からないような知らない相手を待ち続けるだなんて、ある意味とても無謀なことなのに、なぜいつだって、お姫さまは甘んじてそれを受け入れるのだろうか。それがお姫さまがお姫さまたる所以なのだろうか。

ならば私

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さびしさをよろこびに溶かして

さびしさをよろこびに溶かして

3月末、恋人のいる東京へ行ってきた。

彼が東京の大学へ進学し、私は地元に残って勉強をするようになってから、もう4度目の春になる。

私たちが遠距離恋愛をここまで続けてこられたのはごくごくあたりまえのような気もするし、一方では奇跡のように特別で、驚くべきことのようにも思えるから不思議だ。

今回東京へ行くことになったのは、彼の下の妹さんが、

「春休みに東京に遊びに行くんですけど、(青葉)さんも一

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