【機械化職人】職人技を機械化するとき、人類は進歩するのか


#KENMAYA です。

今日は『機械化職人』についてお話したいと思います。まず、『機械化職人』という言葉はわたしの造語です。Googleで検索してもヒットしません。『機械化職人』は軍事用語である「機械化歩兵」から着想を得て名付けました。

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「機械化歩兵」は、第二次世界大戦時から構想された兵科です。分かりやすく言えば、戦力の要である戦車の走行性能などが向上したため、歩兵の足では追いつけなくなってきました。そこで機動力が重視されるようになり、歩兵が装甲車両などに乗り込み、戦地に迅速に展開するために考案されたものが「機械化歩兵」です。
現代では歩兵科そのものが「機械化歩兵」であることが普通であり、機関銃やロケット砲などを備えた戦闘性能と兵員輸送を兼ねた装甲車両の配備が一般的です。さらに近年ではGPSやインターネットの通信装備を標準装備に含むようになってきているため、もはや「機械化」ではなく「電脳化」といってもいいでしょう。


さて、話を元に戻します。IoTの進歩やロボティクスの進歩によって、製造業にも大きな変革のときが来ています。箱詰めやピッキングといった単純作業はロボットに徐々に置き換わってきていますし、人の手でなければ作れなかった複雑な機械部品も3DプリンターやNC旋盤、マシニングセンタなどの発展と共に、低コストかつ高品質なものが作れるようになってきています。

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将来的にはAIによって制御された完全無人の工場システムが稼働するところもあるでしょう。既にほとんど無人化された工場も数多く出てきています。


・ 職人の抱える4つのジレンマ


しかし現実には、今もまだ熟練した職人による技術が必要とされている分野は数多く残っています。なぜでしょう。

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まず1つ目に、熟練した職人の技術は、長年培ってきた『経験と勘』に依る処が大きく、うまく言語化できなかったり数値化できない。という問題点があります。ここで勘違いして欲しくないのは、決して『経験と勘』を否定するつもりはありません。わたし自身、『ビジネスは思いつきやひらめき、日常のふとした気付き、から始まる』説の提唱者ですし、投資に限って言えば、わたし自身の直感を非常に大切にしています。

二つ目に、人件費が機械化のコストよりも下の場合です。IT土方などと揶揄されることもあるほど、日本は人材にかけるコストが先進国の中でも低水準です。これは単純に賃金が低い、ということだけではなく、教育や環境整備、効率化などにお金を使わない、ということです。
ここでよく用いられる言葉が、「やりがい」であったり、「気合」であったり、「根性」といった、『精神論』です。先程わたしは『経験と勘』は否定しないと書きましたが、この『精神論』は明確に否定します。
日本の美徳ともされがちな『精神論』はビジネスの中においては確実に生産性を下げます。特に成長著しい企業や組織ではこの『精神論』は滅多に出てきません。なぜならば、『精神論』を唱えている暇があるくらいであれば、賃金を上げ、労働環境を整備して生産性を上げさせる方が、より確実に成果が出てくるからです。
つまり、『精神論』が出てくる企業や組織は成長が止まっていることの裏返しであり、抜本的に中身を改革するチームを編成するか、成長させるための大胆な改革を断行できる外部の人間を招聘するか、マネージャークラスや経営陣の意識改革が必要です。

三つ目に、社外秘、門外不出、一子相伝といった技術の秘匿性です。しかし、こういった技術の秘匿性も3D造形技術や複製といった技術の進歩により、優位性が失われつつあります。模造はいくらでもできてしまう時代なのです。

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最後に、職人自身のプライド的な問題です。長年携わってきた業務にプライドを持つことは当然のことですが、現状のままでいいのであればそもそもこんな記事を目にしていないはずです。何かを変えなければいけないと思っているのであれば、まずはそのプライドという障壁を外さなければ始まりません。


・ 『機械化職人』の提案


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さて、そこでタイトルにもある『機械化職人』のモデルを提案します。

『機械化職人』のコンセプトは、「機械化歩兵」同様に機動力を重視し、様々な職人のモデルを機械化、自動化することを目的とする職人集団です。
(※ 例:データサイエンティスト×機械工学技師×IoT×言語化のプロ)

『機械化職人』はまずモデルとなる職人技の選別を行います。
作業員レベルの部分と、職人技の『経験と勘』頼りの部分です。
作業員レベルの部分は自動化、機械化によって対応し、『経験と勘』はケースバイケースであることが多いことから、「標準化」を最優先に行います。(※ここでコストパフォーマンスや慣例を掘り出すとキリがないので、あくまで「標準化」を優先します。)
「標準化」できた部分からマニュアル、作業手順書等の作成を行い、そして最終的な『経験と勘』だけを残した状態にまで持っていきます。

実際、マニュアルが体系化すると『経験と勘』はマニュアルから外れた例外的事象への対処法やコストパフォーマンス向上のための施策であったりすることがほとんどです。

『やってみなければ分からない』を現場からなくすことが『機械化職人』の仕事です。データを収集し、分析して、集積し、体系立てたマニュアルを作ることで、蓄積された膨大なデータから『やる前にできるかどうか分かる』、もしくは『やるために必要な技術、設備が分かる』ようになります。そして、この体系化されたマニュアルを基に、職人ははじめて人を指導する側に回れます。
職人の多くが「人に教えるより自分がやった方が早いし、うまいから」という理由で技術承継を躊躇し、断念しています。

職人の『経験と勘』が失われる前に叡智として確立させていかなければ、あらゆる産業界にとって大きなロスに繋がりかねません。将来的にそれに気付いたとしてももう手遅れなのです。


・最後に


わたしは「モノづくり」こそが国家の礎であると信じています。
必ずしもそれが全てではありませんが、いくら買い手と売り手がたくさんいても、作れる人がいなければ残念ながら市場は成り立たないのです。
ですから人類が退化しないためにも技術継承はしなくてはなりません。

今後製造業を志す若者はどんどん減り、少子高齢化の波は否応なしに直撃するでしょう。この記事を読んでくださった方で、自分の技術を『機械化職人』に任せてみたい、という方がいらっしゃいましたら、産業、業種を問わず是非ご連絡ください。

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