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自分が通った高校を再び訪れて感じた、複雑な気持ちと過去

久々に母校を訪れた。見覚えのある制服を着た高校生たちの楽しげな声が聴こえた。

……ちくり、と胸が痛んだ。


その辺りはなかなか景観の良い場所で、しかも土の地面があるのでジョギングに向いている。近所の人たちがよく走っているようなところだ。観光客はめったに来ないので、程よい静けさがある。

(少し話が逸れるけど、フラットで同じ景色が続いているように見えるところにも、道を一本逸れるだけで意外と違う景色があったりする。

むかしばなしの時代の人が、山の中の特徴的な地形や岩の場所に名前を付けたみたいに探してみると面白いかもしれない。「○○岩」とか「●●谷」など。)


距離的にはそんなに遠くないけど、母校にいまさら用があるわけでもない。それでも訪れた理由は、置き忘れた何かを拾い集めるため?

いやたぶん違う。もっと哀愁があって曖昧な気持ちだった。自分でも自分が何を求めているのかよくわからなかった。


不安定な高校時代を振り返る

私の高校時代はどういうものだったのだろうか。街で道行く高校生とすれ違う度、当時の自分もこんな風に見えていたのかな、と振り返る。


まず思い出したのは、激しく不安定だったということ。吹けば飛びそうな寄る辺のない気持ちで過ごしていた。死にたいと思わない日はほとんどなかった。

周りに友人がいても、強い孤独を感じないことはなかった。
むしろ周りに誰かがいればいるほど、孤独を強く感じた。


たぶん頭は悪かった。何一つとして自分の頭で考えて判断することはできなかったし、現実に翻弄されてばかりだった。下らない噂や無意味な情報に踊らされていた。

ただ、ペーパーテストで点数を取る能力だけはそれなりにあった。現実から逃げるように勉強に取り組んでいた。

その先に未来があるのかないのかはわからないが、諸々の問題を先送りにすることはできる。さらに、こうしておけば誰も文句は言わないし、何なら「優秀」な人間としてすら扱われる。


しかしテストの点数の優劣と頭が良いということは、はっきり異なっていた。

この種の勉強とは頭を働かせて考えている(何かを新たに生み出したり、適切な変更を加えるための一段階)のではなく、教科書や参考書に書かれている内容を頭の中にただ移動させている。

それはちょうどコンピューターのコピーアンドペーストのように、どこまでも無機質な作業だった。世界は広がるどころか、むしろ閉じていった。


総じて、「良い高校生」を演じていた。そこに自分はいなかった。

だが逸脱して生きていく力もなければ、気力も行動力もなかった。ただ無力感と孤独だけが私を支配していた。


いつかどうにかなるかもしれない」という、パンドラの箱の底にこびりついているような希望だけが、私を急き立てた。その曖昧な希望がいつも繰り返し問題を先送りにさせた。後に破綻することになる。


校舎の前に到着

こんな風に過去を振り返りながら歩いていると(お前いっつも自分の過去振り返ってんな、って思われてそうだなとこれを書いていて思ったけど)、校舎が見えてきた。その建物の佇まいは、「何か変わらないもの」の存在を思わせた。

さらに、生徒の一人がスポーツでこういう素晴らしい実績を残した、と宣伝する大きな白い帯がかかっていた。

それは遠い異国のニュースのように感じられた。頭の中に、ニュースキャスターが知らない外国の言葉で興奮気味にしゃべっている映像が浮かんだ。


……ともかく、まずは走ろうと思った。冒頭でも書いた通り、ここにはジョギングに適したコースがある。

簡単な準備を終えて、すぐに走り出した。

まるで過去をなぞるように。


走る。

高校生の頃に体育の授業でも走ったコースを。

走る。

複雑な気持ちを抱えながら、何度も往復した通学路を。



……後編へと続く。

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