奇怪な物語を超えるもの : ラム / 羊
「奇怪な」という表現があてはまる映画だ。『ラム・羊』はNetflixで放送されているアイスランドの映画。まるで北欧の暗く冷たいおとぎばなしのような、ダークな展開が繰り広げられていく。
舞台はどこまでも壮大な自然の中。羊たちと共にひっそりと暮らしをたてる羊飼い夫婦の姿から始まる。けれどその映像の運び方と不穏な空気を彷彿とさせるBGMから、何か尋常ではない異変が起きていくことがわかる。
産まれるはずのない“何か”をあやす妻とそれを見つめる夫。羊舎の羊たちの動揺する様子が不気味にクローズアップされ、映画は静かに、静かに、進んでいく。
映画ファンから絶大な支持を集める気鋭の制作スタジオ「A24」が、第74回カンヌ国際映画祭での世界初公開に先立ち、北米配給権を獲得したのがこの作品だ。カンヌでは観客を騒然とさせ、早くもその衝撃的な設定が日本のSNS上でも話題となり、同映画祭ある視点部門「Prize of Originality」を受賞した。
米国「ハリウッド・リポーター」誌は「刺激的で独創的」と表し、英国「スクリーン・デイリー」誌は「ノオミ・ラパス史上最高の演技」と評するなど批評家からも高い評価を受けている。
このノオミ・ラパスは先の記事でも紹介した大物女優。映画『トリップ』はNetflixのお薦めの映画だ。
北欧の映画は、何か根本的なところでアメリカ映画と違っている。厳しい気候が人間のサイケにも深い影響を与えるということだろうか。深くて重くて、どこにも救いがないようなそんな空気の中で物語が淡々と進んでいくようだ。
カフカのストーリーのように超現象的な物語が好きな人にはおすすめだ。
ぜひ見逃さないでいてほしい。
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