美貌のつくりかた
相貌心理学によると、人間の内面性は、その外見の顔に必ずあらわれるというが本当だろうか。相貌心理学では、たとえば目尻の下がった顔はおだやかさを、歪んだ口は精神のアンバランスを、そして顎の突き出た横顔は野心を表すなどがその例らしい。
美貌を支えるのは個々の造作よりもバランスであると思う。人の顔で言えば目鼻や口、一つひとつの造形の美しさよりも、それぞれの大きさと距離感が創り上げるバランスに人は美貌を見出す。
額の広さと、鼻の下の短さ。目の幅と鼻の鼻孔の幅のバランス。均整の取れた、あるいは均整の少しアンバランスな美しさというものに人は心なしか惹かれるのではないだろうか。
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それにしてもトップアスリートと呼ばれる人たちは、一様にいい顔をしている。顔貌だけではなく、自らの内なる希求を実現していくその過程で、意志的な光が目に宿り、揺るぎない信念のようなものが口元を引き締める。
「垢抜ける」という言葉があるが、まさに表面の垢がつるりと抜けたような晴々しい、爽やかな表情がそこには見られる。
それとは反対に、仕事や事業で世間的な成功をおさめていても、その満面の笑顔に時折垣間見える卑しさのある人がある。
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よく見ると顔は正直だ。
相貌心理学なんか知らなくても、顔にはその人の、日頃考えていることが現れるのは間違いない。
トュルーマン・カポーティーは「どうしたらそんなに美しく写真に撮られるのか」とたずねられたとき、「美しいことを考えればいいだけさ」と答えたそうだけれど、そこには確かに真実があるような気がする。
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