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踊る星を産むには、自分の中にカオスがなければならない

ニーチェの言葉「踊る星を産むには、自分の中にカオスがなければならない」は「混沌を内に秘めた人こそ躍動する創造的な何かを生み出すことができる」と解釈できるだろうと思う。

39歳から41歳にかけて「ツアラトゥストラはかく語りき」全4部を執筆した。これはニーチェの思想の集大成とも呼べる内容で、物語形式に書かれた文章の中にニーチェの思想がちりばめられている。

45歳の時に転倒したことをきっかけに精神を病み発狂し、その後肺炎により55年の生涯を閉じた。

ニーチェは自分の目を通じて現実世界を見ることがいかに大切かを思想の中心においた。人生に迷うような時、まずは自分の心に耳を傾けられなければ、その先に続く幸せや喜びは手に入らないと説いた。

そして自分を不遇だと思って生きている人には、恨みや嫉妬や妬みの感情に負けるなと言い、それを乗り越えてどう生きれば良いかという考えを示した。

それは人生において自分の価値観を理解し、その創り上げた自分の価値観に従っていくことこそ重要であるという考え方だ。そして自分の生きる価値を自分自身で作り出して生きるのだ、と創造的な人生を歩むことを人々に呼びかけたのである。

混沌を内に秘めた人こそ躍動する星を生み出すことができる。

二ーチェは不遇な人生であったが自身は最後まで人生を肯定していた。「苦しみの中にも輝く瞬間がある。少しでもその輝きがあればそれはもう永遠である。全人生が肯定される」と。

ニーチェはさらに有名な教え「私たちが芸術をもっているのは、私たちが真理で台なしにならないためである」を後世に残している。

真理には善も悪もなく、世界は狂気と逸脱の陶酔でしかない。人間の恐怖と苦しみは、神からあらかじめ与えられたものではなく、ただ私たちの存在そのものが悲劇なのである。それがニーチェにとっての真理だ。

こうした真理と直接向き合ったら、私たちは生きてゆけない。けれども幸いなことに私たちには芸術がある。ギリシャ演劇はこの真理を私たちが耐えられる形にして見せてくれる。

ニーチェは「鉄槌の哲学」を主張した。ここには二つの意味が込められていて、一つには偶像を壊す鉄槌、そしてもう一つは、消化器科の医師が使う小槌のことだ。

医者は患者の腹部や胸部を小槌で叩き、内部の音(不安など、どんな本能が作用しているのか)を聞くことで、中の状態を「診て」病状を判断する。

小槌で叩けば、人の頭が、古い考えや生の否定によって、どれほど病んでいるかもわかるというのが、ニーチェの言いたいことではなかったか。

そして最後に、ニーチェの「永劫回帰」は充実した人生を生きるための方法として多く研究されている。

日常の中で何かをしている、何かを感じているその瞬間が、「永遠に繰り返されてもいいくらい」愛しいものであるならば、それを脳裏に焼き付けていく。

そうすると少しずつ永遠に繰り返す価値のある大切な時間だけが残っていくことになる。

それはSNSやくだらないニュースに埋もれた毎日から、あなたの心や感受性を掬い上げてくれる。そして自分の中にあるカオスが、やがて踊る星へと変わっていくのだ。





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