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名詞の不可算・可算(単数・複数)④-3:助数詞&単位3(数え方)

副題:可算不可算の理想と現実(英文法の理想と現実)

名詞の不可算・可算(単数・複数)[UC(SP)]の深掘り版9

今回も、不可算・可算(単数・複数)個別項目の深掘り助数詞&単位の続きです。理系的な思考も必要になりますが、助数詞&単位の理解には必須なので、頑張ってついてきてください。

これまでの「④助数詞&単位」記事の検証内容復習
❶ 助数詞(原則、数える)と単位(原則、はかる)の違い
 モノの数え方を科学英語の視点を加えて整理:数えるはかるの違い
❷ 主語と動詞の単複一致問題(be動詞現在形は単数isか複数areか?)
 数の一致を改めて考察する必要があるのが英語(学習者にとって難易度Up)
 単複変化する可算名詞は、本当に全て数えている?
 学術英語や学校英語の一部でも指摘されている問題
 英語では全ての具象物・抽象概念数えられる数えられないの2つに分類、それで本当に整理は十分??
 ※一部には学校英語や学術英語では扱われない視点も含まれていますが、「実用科学英語」と命名した意図が伝わるような内容になっていれば幸いです。

今回の検証内容(1項目だけのように見えますが、このレベルになると内容が豊富すぎて学校英語の知識ではとてもカバーできないので、引用量が多め)
❶ これまでの学術英語や学校英語における「助数詞&単位」の取り扱い
★英文法解説(改訂三版)
[江川 泰一郎(著)]
  ①「§3. 物質名詞:(1) 数量の表し方:個数・容器・量目」
 ※「量目」は「単位」の一部ですが、範囲が狭すぎ
  ②「§11. 数に関する語法上の注意:(3) 単数に扱われる数量の複数表現:まとまって1つの単位と見なされる。」
 ※要は、複数形でも動詞は単数呼応:「距離・時間・金額」は学校英語でもほぼ定説
★表現のための実践ロイヤル英文法[綿貫 陽,マーク・ピーターセン(著)]
「第14章 名詞:第1節 名詞の種類」
  ①「160B 物質名詞の量の表し方:物質名詞の量を具体的に示す場合には〈a piece of~〉のような単位を示す語句をその前につける。複数のときは、〈two pieces of ~〉のようにpieceを複数形にして、物質名詞のほうはそのままにする。」
  ②「160B 物質名詞の量の表し方:形・容器・単位」
「第22章 一致:第1節 主語と動詞の一致」
  ③「255B 常に複数形の名詞と動詞:形が常に複数形の名詞には、単数で受けるものと、複数で受けるものとがある。」
  ④「257C 〈a ~ of A〉型の句が主語の場合:容器や単位」
  ⑤「257D 時間・距離・金額などを表す複数語句と動詞:「時間」・「距離」・「金額」などを、1つのまとまった単位として意識するときには、単数動詞で受けるのがふつうである。」
★総合英語Evergreen/Forest[墺 タカユキ(編集)/石黒 昭博(監修)]
「第18章 名詞」
Part 2 理解する:2 名詞の用法:2 集合名詞の用法:PLUS97:注意すべき集合名詞:furnitureの意味と用法(1つ、2つと数を表す必要があるときは、a piece of furnitureやtwo pieces of furnitureなどとする)
Part 2 理解する:2 名詞の用法:3 物質名詞の用法:PLUS98:形・容器・単位などを使った物質名詞の数え方(複数あることを表す場合は、単位の基準になっている名詞を複数形にする)
Part 2 理解する:4 名詞の複数形:3 複数形の意味と用法:
金額・距離・時間のまとまり:単数扱い(金額・距離・時間などの表現は、複数形であっても1つのまとまりとみなされ、単数扱いされる場合がある。)
「第21章 形容詞」
Part 2 理解する:4 数詞:3 数詞を使った表現:④ 数詞+複数名詞(期間や距離、金額などを〈数詞+複数名詞〉で表し、それをひとまとまりのものとして考える時には単数扱いとなる。)

 ※英語版の助数詞の分類は「形・容器・単位」が定番説明
 ※「距離・時間・金額」が主語の場合には複数形でも動詞が単数呼応、が定番説明
 ※私が根っからの理系人間だからなのでしょうが、「みなす」・「意識する」・「考える」など、細かい部分で非常に感覚的な(≒非科学的な)説明、というのが正直な感想。

復習問題1(これで3回目、一部追加):可算・不可算の定番説明「数えられる・数えられない」二分類について
① 日本語で液体や距離・時間・お金は数える?数えない?英語ではどう?(理系的な視点で考察)
② 「数えられるもの」と「数えられないもの」は何がどう違う?(上に同じ)
③ 「数える」と「はかる」の違いを思いつく限り列挙【頭の体操】:学術英語や学校英語の一部でも指摘されている問題
(再度、可算・不可算が一筋縄ではいかない理由が少しでも伝われば幸いです)
 ※学校英語や学術英語の定説は一度捨てたほうが身のためかも(理論としては素晴らしくても、実際には例外が多数)

復習問題2:"two cups of water"表現について("two glasses of water"との違いが重要)
① この表現が成立する状況はアリかナシか?(定番説明「cupとglassの使い分け」をご存知の方も多いかも)
② 仮に"two cups of water"が主語の場合、be動詞現在形は単数isか複数areか?(定番説明とは違う視点も必要)
③ 日常生活で液体は数えられるか否か?宇宙空間では?【考える問題】(定番説明「容器」以外に何か思いつく?)

復習問題3
① 日本語「ワンカップ大関」の中の「ワンカップ」はどんな意味?(「ワンカップ」と「ワンコップ」は違うか同じか?)英語で「ワンカップ」と言えば?("a cup of XX"と"one cup of XX"は違うか同じか?)
② 日本でカップは何ml? アメリカでは?(追加問題)
 ※英語"cup"も日本語「カップ」も、液体の量を表す単位として利用可能

問題1:人や物に関する以下の質問、それぞれ文法的にアリかナシか?アリの中で本当に数えるモノはどれか?
How many is it?
How many are they?
How much is it?
How much are they?
How many people is in this room?
How many people are in this room?
How old are you?
How long are you?
How long does it take?
How high are you?
How tall are you?
How heavy are you?
How heavy is it?
How much do you weigh?
What is your weight?
 ※ 「数える」と「はかる」の違いが基本

問題2:以下の英語名詞リストについて(「単位」とは何かを考察)
acre, barrel, bottle, cup, day, degree[温度], dollar, foot, gallon, glass[杯], gram, hour, inch, liter, loaf, meter, mile, minute, month, ounce, percent, piece, pint, pound, second, sheet, slice, spoonful, week, yard, year, yen
(a)科学的な単位(b)非科学的な単位(日用品やヒトの体が基準)、(c)それ以外、の3つに分類(大まかな法則性が分かればいいので、全てを調べる必要はありません:分かりにくいものでも語源を調べれば何となく理解できるはず)
② 今から英文法のルールを変えられるとしたら、単位を表す英語名詞(日本語では「助数詞・単位」という名称で名詞とは別分類)は、(a)不可算(b)可算で単複変化(c)可算で単複同形、のどれが理想?【頭の体操】
 ※再掲示:これを機に、このリストの英単語と日本語「助数詞」との類似点と相違点についても考察しておきましょう。英語を学ぶことで日本語の理解も深まる、が理想です。

いわゆる学校英語や学術英語で整理しきれていない部分を考えてもらうための教材、面白いと思っていただけると幸いです(閲覧して面白いと思った方は、コメントしていただけると、教材や答え合わせを今後公開する励みになります)。
 ※いくつもの記事に分けて段階的に説明を進めてきましたが、「実用科学英語」という名前にふさわしい解説になっていれば幸いです。

 ※上の英文法書の引用(いずれも超有名)を見れば分かってもらえると思いますが、通常この問題は様々な文法項目に分割されて説明されており、それが全体像の理解を難しくする原因になってもいます(ある意味、英文法の超複合問題なので仕方ない面はありますが)。名詞自体の分類整理、数え方としての複雑さ等々、全部を俯瞰して理解するのは簡単ではありません(「数詞+可算名詞の単複変化」だけで英語の数え方の説明を済ませられればどんなに楽か)。学校英語や学術英語のような権威に頼るのではなく、しっかりと自分の頭で考えて整理してみましょう。

授業ではちゃんと解説しますが、一般公開はここまで。あちこちにヒントを散りばめてあるので、非受講生の方は辞書を引いたり自分で調べたりして考察してみてください。

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