経営理念を考える2 理念がない人が経営理念を考えても、、、

先日お客様から面白い質問を受けました。松下幸之助氏のような有名な経営者や、社会的評価の高い大企業の経営理念を読んでもなかなか難しい。どうしたら良いのかと。

この方はとても勉強熱心な経営者で、よく「仕事のプロだけでなく経営のプロにならなきゃいけない」と仰います。
この方は経営理念を作るお手伝いをさせて頂いて以来、ずっと会社経営のお手伝いをさせて頂いています。
以前のnote「経営理念を考える」でも記しましたが、この会社は経営理念が出来上がる前に、社内の問題が解決しはじめました。

「経営理念の作り方」というセミナーがあると聞いた事があります。内容はまちまちで、中には「こういう言葉を使いましょう」といったような、安易なコピーライティング講座のようなものもあるとか。
断言しますが、こうしたセミナーは絶対に役に立たないと思っています。この理由は、僕のnoteをお読み頂いている方には、説明する必要はないでしょう。

僕は多くの経営者の方にお会いする機会があります。実務では主に中小・零細企業の経営者の方に、研究や学会などでは、大企業の経営者の方とお会いします。
企業規模が判断基準にはなりませんが、特に僕がお会いするような場では、特に大企業の経営者の方は、やはり責任意識と覚悟に差があるように感じます。

今僕は、とある経営者の集まりで、アドバイザー会員として参加しています。この会に、企業規模で言えば中小企業ではありますが、一般的なイメージでは比較的大きな会社の社長さんをお誘いし、会員になって頂きました。この方は少し変わった経歴で、銀行マンから派遣経営者を経て現在の立場に立たれた方ですが、折に触れ辛辣な意見を述べられ、僕も勉強させて頂いています。
そのご意見を伺うと、やはり覚悟と責任意識の違いをまざまざと見せつけられるのです。

正しくプロフェッショナル経営者です。

話を戻して、僕は松下幸之助氏は経営の神様だとは思っていません。僕は松下幸之助氏は、商人であり、信念の人であったと思います。

僕はお客様にこう答えました。

そもそも何かを成した人は、経営理念の前に、その人自身が、崇高な理念を持っていて、その理念に従った言動が、自然と身についているのではないでしょうか。その‘想い’を、社員やステイクホルダーという名の‘助けてくれる人’や‘賛同者’に、指針として言葉にしたに過ぎないと。
だから彼らは、決して経営理念を「作る」ために語った言葉ではなく、常に心がけている「志」を語ったに過ぎないと。

このような時点から見ると、有名なスティーブ・ジョブズ氏の演説も同じものでしょう。
そう言えば、Appleは経営理念がない企業としても有名です。ジョブズ氏の言動やApple製品が全てを物語るからです。
そしてこれ等は、ケネディ氏やキング牧師、マンデラ氏の名演説に通ずるものだと考えます。

つまり名経営者の理念は、「志」そのものなのです。

このように考えれば、「経営理念の作り方」というのは、陳腐極まりないものです。

ですから最初の質問に対して、僕は「志」を重ねて下さい、とお答えしました。
自分の「志」を実現するための組織が企業であり、その指針が経営理念だからです。
つまりそもそも志や理念のない人が経営理念を作ろうとしても、白々しい空論になってしまうのです。
そんな言葉は誰の心にも響きませんし、誰の心にも届く訳がないのです。

これは何も経営者に限ったことではありません。
僕は自分が担当する講義やクラスの中で、自分が学んでいることや、将来やりたいことを通じて何を達成したいのか、最終的に何を成し遂げたいかということを問いかけるようにしています。
若い学生さんにとっては、とても難しい質問です。しかし僕自信の考え方や、偉人の優れた行い、産み出されたものについて、どのような気持ちで取り組んだかを考えてもらうことで、自然に学生さん自信も「何のために」ということを考えるようになります。しかしそうしたことを少しでも真剣に考える学生さんは、往々にしてより良い成果を修めたり、希望を叶えたりしています。

まずは自分自身が何を成したいのか、志を持って取り組むことが最も大切なのです。

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