JAPAN EXPO in Parisの出会い(フランス恋物語㊼)
RER-B
7月5日の土曜日の午後。
私と親友のミヅキちゃん(※和風美人)は、ノールヴィルパント展示会場で開催されるJAPAN EXPOに参加するため、パリ北駅からRERのB線に乗っていた。
電車の中で周りに日本人がいなさそうなのを確認すると、私たちは小さめの声で6月のお互いの恋愛経験を報告し合っていた。
「6月のスペイン旅行で2回も出会いがあったなんてすごいね!!
しかも、福士蒼汰似のイケメンと、超紳士なフランス人ガイドなんて、羨ましすぎる!!
レイコちゃん、『6月は恋愛はお休み』とか言いながら、なんだかんだで色々あるじゃん。」
私の話を聞いたミヅキちゃんは、興奮気味に言った。
「どっちもたまたまだし、それっきりで、今は相変わらずフリーだよ。
そういうミヅキちゃんこそどうなの?」
ミヅキちゃんはあっけらかんとした顔で言う。
「Fête(宅飲みパーティー)でいい雰囲気になったフランス人にお持ち帰りされたけど、テクがイマイチでそれっきり。その後また連絡来たけど断わった。」
・・・さすが肉食系女子、言うことが違う。
今日私たちがJAPAN EXPOに行く理由は、「日本の漫画・アニメ・ゲームがフランスで大人気なのは知っているけど、その熱狂ぶりをナマで見てみたかったから」・・・というもの。
そして、あわよくば新たな出会いもあればいいな~、なんて考えていた。
私たちはその”JAPAN”からやってきた大和撫子(※自称)なのだから、少しくらいその恩恵に預かったっていいだろう。
サブカル好きフランス人か・・・。
私は、トゥールにいる時付き合っていた、聖闘士星矢好きのラファエルを少し思い出していた。
JAPAN EXPO in Paris
日本でいう幕張メッセのような会場で、JAPAN EXPOは行われていた。
【JAPAN EXPO】(ジャパン・エキスポ)
JTS Groupの主催により、2000年からフランス・パリやマルセイユ、アメリカ・サンマテオなどにて開催している日本文化の総合博覧会である。
漫画・アニメ・ゲーム・音楽などの大衆文化や書道・武道・茶道・折り紙などの伝統文化を含む日本の文化をテーマとしている。
同人誌ブースやコスプレイベントもあるものの、実際は企業中心の展示でフランスの各漫画出版社、DVDやグッズ販売会社、大手漫画喫茶、ゲームメーカー、ビジュアル系などの日本の音楽CDの輸入会社などが出展しており、漫画家のサイン会なども催されている。
・・・とにかくコスプレの人たちがすごい。
日本のアニメにしろゲームにしろ、白人をモデルにしているものが多いので、フランス人がやるコスプレはモデルの粋に達しており、全く違和感がなかった。
ファイナルファンタジーのコスプレをしている人が、まんまそのキャラという完成度の高さで、たくさんの人から写真を頼まれ被写体になっていた。
「フランス人のコスプレレベル、超高いよね~。」
私たちはそのクオリティに、ただただ感心するのみだった。
会場内に入ってみると、漫画やアニメ、ゲームなどのサブカル系ブース以外にも、日本文化紹介コーナーとして囲碁将棋、武道・書道などを体験するところもあった。
和製のカバンやお茶を、フランス人が買っていく様は興味深い。
「なんだ~。サブカル系だけかと思ったら、ちゃんと昔からの日本文化も紹介されてるんだね。」
「この方たちは、日本にとって大事なお得意様だね。ありがたいね。」
私たちは、日本人として率直な感想を漏らした。
また、”見る”・”買う”だけでなく、タコ焼き、牛丼、弁当、おにぎりなど、”食”の部門でも日本文化を伝えるフードコートが用意されているのには驚いた。
しかし、みんなB級グルメにも関わらず、日本ではありえないくらい高い。
それでも、日本の味が恋しくなってしまった私たちは買ってしまったのだが・・・。
Super Mario Brothers
フードコートでたこ焼きを食べていると、クオリティの高いコスプレ集団が目に入った。
それは、スーパーマリオに出てくるキャラクターの集まりで、マリオ、ルイージ、キノピオ、ピーチ姫・・・もはや人ではないヨッシーもいる。
「すごいね、あの人たち、無駄に完成度高いよね。」
私が声を上げると、それに気付いたミヅキちゃんも驚いていた。
「あれはすごい。ヨッシーなんてよく作ったよね。
さすがにノコノコがないのは、甲羅を作るのが大変で断念したのかな。」
相変わらずミヅキちゃんの発想は面白い。
「確かに、甲羅は難しそうだよね。
マリオグループの人たちレベル高いから、後で写真撮らせてもらおうよ。」
「いいね~。頼んでみよう。」
サブカルにそんなに詳しくない私たちは、懐かしいマリオの集団に親近感を覚えていた。
Photos
会場を出たところに彼らはいたので、声をかけてみた。
「Puis-je vous prendre en photo ? 」
(あなたたちの写真を撮らせてもらっていいですか?)
「Oui, bien sûr!!」
(ええ、喜んで!!)
彼らはとても気さくで、「良かったら一緒に撮る?」と言って、私たちと一緒の写真も撮ってくれた。
「ところで、君たちはもう帰るの?」
代表のように、マリオが尋ねた。
「そうだね。あと30分くらいで帰ろうと思っているけど。」
「じゃ、僕たち今から着替えるから、これからお茶しない?
日本人の友達が欲しいんだ。」
このグループの中にはピーチ姫もいるし、女性の存在に安心した私たちは、快くOKした。
「じゃ、30分後にここで集合しましょう。」
そう言って、私たちはマリオの集団と会う約束をした。
Marc et Louis
会場最寄駅のParc des Expositions駅近くのカフェで、着替えを終えた元・マリオブラザーズの人たちとお茶をすることになった。
初めは全員集合していたのだが、そのうちポツポツと帰ってゆき、最終的にはマリオ役のMarc(マルク)と、ルイージ役のLouis(ルイ)のみが残った。
彼らは25歳で、「ゲーム会社で働いている」と言っていた。
コスプレをしていた時は付け髭をして年齢不詳だったが、普段着に戻ると年相応に見える。
「偶然かもしれないけど、二人ともマリオとルイージに名前が似てない?」
冗談っぽく言うと、彼らは「もともとスーパーマリオは好きだったけど、本名に似ているところに縁を感じてこのキャラクターを選んだ」と、キャラ選びの真相を話した。
2人とも気さくなイケメン好青年で、4人で話す時間は楽しかった。(相変わらずフランス語に悪戦苦闘していたが)
・・・ところで、この2人はナンパ目的だったのか、たまたまこういう編成になったのか、一体どっちなんだろう?
そんなことを考えていると、マルクが「タバコを吸ってくる。」と席を立った。
すると、ミヅキちゃんも「私も。」と言って、一緒に出て行った。
あれ、ミヅキちゃんタバコやめたって行ってなかったっけ?
・・・あの二人、なんか怪しい。
すると、ルイが私にこっそり教えてくれた。
「どうやら、マルクがミヅキを気に入ったみたいなんだ。
トイレで着替えている時に、『なんとかあの娘と連絡先を交換したい』と言っていた。」
やっぱりナンパか~と納得しながらも、ルイに尋ねた。
「そうなんだ。・・・で、あなたは?」
私のこと気に入ってくれたの?
しかし、彼の回答は期待外れのものだった。
「僕の彼女は、ピーチ姫だよ。
マルクに一緒にいるよう頼まれて、僕は残っているんだ。」
なんだ・・・そういうことか。
自分が選ばれていないことに少しがっかりしながらも、ミヅキちゃんの新しい恋に私はエールを送った。
後日談
帰りのRER内の車内でミヅキちゃんは、「マルクと一緒に外に出たらその場で意気投合しちゃって、熱烈なキスを交わした。」と私に告白してきた。
「結局タバコじゃなくて、マルクの唇をずっと吸ってたの☆」などと冗談を言えるところは、さすが肉食系女子だ。
「これからどうするの? 付き合うの?」
気になる点をまず確認した。
「マルクは『私に一目惚れした』って言ってたし、また会うんじゃない?
続けるかどうかは、体の相性とかもあるけど、キスした感じだと大丈夫そうな気がする。」
・・・気持ちがいいくらい、肉食系女子の模範的回答だ。
彼女を見ていると、「私もこれくらいに振り切れたら楽なのにな~」と思うことがある。
その後、ミヅキちゃんとマルクは本格的に付き合いだした。
「フランス語を話そうとしたら英語が邪魔をする」と言っていたミヅキちゃんだったが、「彼と付き合い出して、フランス語が向上してきた」と嬉しい報告をしてくれた。
私が5月に経験した”ナンパからの出会い”は最悪だったが、二人を見ていると、「ナンパで始まる恋愛もあるんだなぁ」と思った。
「6月は恋愛はお休み」と言っていた私だが、周りの友達にどんどん彼氏ができてくると、やっぱり寂しくなって、新しい恋をしたくなる。
「7月に入ったし、そろそろ恋愛にも前向きに取り組もうかな」
これから夏本番を迎えるパリは、新しい出会いを私にも運んでくる・・・。
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