効率とは。それを図ると人間性を亡くすのか


今でも時々思い出してゾッとすることがある。

仕事のスタイルは千差万別。

私はいくつかの会社を経験したが、会社によって文化が全く違うし、A社で良しとされていることがB社ではNGなことなんてことはザラ。こうも法律も文化も言語も違うものかと、転職の度に驚いたものである。

私の場合は新卒で就いた仕事がホテルだったのだけど、これがその後の一般企業にて働いた時にこんなにカルチャーショックを与えるとは思わなかった。
ホテルを去ってからもう7年経つけれど、いまでもどうも一般企業の文化に慣れることが出来ない。

文化の違い、それは「人の発言を聞く姿勢の違い」に尽きる。

私は人が話している時は目を見て聞く、というのが普通だと思っていた。
人の発言にはきちんと相槌を打つことが普通だと思っていた。
しかし、一般企業は違うのだ。
会議で人が発言していようが何だろうが、自分に関係ない話のときは(場合によっては関係ある話のときでも)顔すら見ない。
片耳を傾けつつ、手元では自分の仕事をするのである。

初めてホテルから一般企業に移った時のその光景は今でも忘れない。

そして最もセンセーショナルだったのは、ある会社でのこと。
その日は7人くらいで大事な会議をしていた。
同僚が皆に向けて発言していたのだが、その時全員のパソコンがピコンと鳴った。
なんとその場に居た上司が、その場に居た全員にメールを送ったのである。
しかも内容は会議に全然関係ない、勤怠関係の業務連絡。

『え????????』

一瞬時が止まったように感じたのは私だけだっただろうか。
『今、貴方の部下が、大事な話をしているんですけど。ってか主に貴方に向けて発言しているんですけど。なのにどうして今、私たちに向かってこんなメールを送ってきているの?』

仮にその同僚の発言がその上司にとって聞く価値がないような薄い発言だったとしても、だ。
ありえないなと思った。

その日以来、その上司に対する私の目線が変わってしまった。というか、その上司の仕事の仕方を醸成したその会社の文化が嫌いになった。

効率を重んじると、どうしても隙間時間を沢山見つける癖がつく。仕事は優先順位をつけて行うものだし、必要ないものは捨てないとやっていけない。
それでも、人として大切なことは忘れてはいけない。
効率的になることと、人間性を亡くすことは、イコールではないはずだ。

ああ、なんだか「思い出しイライラ」してしまった。これから仕事をするとき、絶対にこのことを忘れないようにしたいと思う。

自戒を込めて。

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