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ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑱~ フィールドでのとある一日

■ 七夕の雪

とにかく、北極圏の天候は変わりやすい。
ロマンティックアークティック!だから。

晴れ間も広がって、穏やかだなぁと思っていたのに、翌日からはずっと強風が吹き荒れる、ということもよくある。

案の定、七夕前後は、吹雪!

そんな日は、ずーっと、小屋で待機である。

4:30 起床。荒れ模様のため、就寝
7:30 ジャルカ(暑い)。ストーブが暑くて起床。荒れ模様のため、就寝
11:30 起床
12:00 昼飯。コンビーフとご飯を一緒に炊いたような飯。
   トマトソースをかけて、ピクルスと一緒に食べる。うまし
14:30 壊れていたソーラーチャージャーを分解し、配線を直す。
   ロシア人たちとだべる
17:30 晩飯。ウハ(魚のスープ。多分チョウザメ)。
   生のニンニクをかじりながら食す。うまし
18:30 寝る。が、眠くなくて寝れない。
22:50 外が晴れてくる!
23:00 何飯かわからん飯。豆、玉ねぎ、ピクルスをまぜたサラダ。
   ロシア人「ビタミン~!」とご機嫌。うまし。
23:26 寝る

こんな感じ。

それでも、残りの日が少なくなってくると、ちょっとでも天候が回復したら、外に出ずにはいられない。

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こんな中でも鳥たちはたくましく生きている。

子連れのサルハマシギ。(子供は見えないけど)

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アカエリヒレアシシギ

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なんかついばむクビワカモメ

チャイカのヒナ、頑張れー

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マガンも孵化。コクガンの巣よりも断然羽毛が少ない。

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みんな寒くても、腰が痛いとか文句言わずに頑張っている。ほんと、生き物って素晴らしい!!

■ 五七五七七

なぜだか、この時のマイブームは和歌。

ここで見たこと、感じたことを「五七五七七」の短い文章にすることで、思い出が凝縮され、歌を思い出すと、情景も思い浮かぶ。

気がする。

ということで、ことあるごとに一句詠んでいた。
今回は、そんな和歌を少し紹介。

カザルカの 生まれ故郷に たどり着き 明るき夜に 重ねる旅路

日本を出発して、2週間、ようやくレナデルタに着いたわけですが、こんな大変な旅をコクガン(ロシア語名:カザルカ)は自力でしているのだと、改めて、すごいなと感じた。

シュトルムで 夏はまだ来ぬ レナデルタ 腰をいわして 杖つくツンドラ

言わずもがなですね。シュトルムは嵐のこと。

レナデルタ 吹き荒れる風 身に染みて 飛び散る雫 エンジェルフォール

以前にも書きました。あまりの強風に御小水が地面に着く前に全て飛んで行く様子ですね。

ツンドラの 嵐の後の 静けさに 深くしみいる 我が那智の滝

ひとつ前の和歌の返歌です。穏やかな時は風もなく、ただ淡々と水?は流れます。

カザルカに 導かれては 北の果て 夏遠かりし 七夕の雪

北極圏の夏は厳しいですね。

北の果て 白き夜に 輝けど 織姫遠き 七夕の雪

七夕の雪シリーズ。独身男子2人でしたから。

シベリアの 永久凍土を 踏みしめて 短き春に 重ねる青春

病んでませんよ。

こんな趣向もたまにはありです。

つづく

【過去記事】
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ①~ はじまり編
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ②~ 資金集め編
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ③~ 準備編
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ④~ 出発編
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑤~ ヤクーツク編
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑥~ ヤクーツク編その2
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑦~ チクシ編
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑧~ チクシ生活事情
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑨~ いよいよチクシ出発
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑩~ レナデルタ潜入
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑪~ METEO散策
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑫~ 調査拠点到着
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑬~ 北極圏の洗礼
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑭~ シギチ天国
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑮~ コクガンコロニー上陸①
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑯~ コクガンコロニー上陸②
ミニ連載:雁の道を越えて ~ロシア北極圏探訪記 ⑰~ 続・ニェルパーハ島探検!


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