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「ズルい奴ほどよく吠える」14(終)

■14 織部印刷工場
 
ダダダダダダダダダダダダ!
井上が文春を読んでいる。
織部、鍋を持ってくる。
 
井上  「よお」
織部  「先輩」
井上  「久しぶりだな」
織部  「よく俺の前にツラ出せませたね」
井上  「なんだよ連れねえなあ」
織部  「俺を裏切ったじゃないですか」
井上  「でも上手く行っただろ?お前料理なんてできるのかよ」
織部  「作るしかないじゃないですか」
井上  「・・・」
織部  「先輩・・・あんたわざと聞かせたでしょ」
井上  「何を?」
織部  「木田との会話ですよ」
井上  「だったら?」
織部  「食えない人だなあ。どうして言ってくれなかったんですか」
井上  「説明したってお前、理解できないだろ?」
織部  「中卒だからですか」
井上  「お前、バカだからな」
織部  「証拠がなければ作ればいい」
井上  「そういうこと」
織部  「バカなりに頭使いましたよ」
井上  「おかげで事件は解決、記事もバカ売れだ」
織部  「いいとこ取りじゃないですか」
井上  「俺、大卒だから」
織部  「先輩、金もらったでしょう?」
井上  「ああ」
織部  「幾らですか?」
井上  「一千万」
織部  「クソ野郎ですね」
井上  「そうか?」
織部  「奢ってくださいよ」
井上  「分かってるよ」
織部  「鍋、食います?」
井上  「ああ」
織部  「一千万です」
井上  「高えなあ」
織部  「そうすか」
井上  「どうすんだよ」
織部  「何がですか?」
井上  「俺に言わせるのか?」
織部  「・・・待ってますよ」
井上  「は?」
織部  「待ってます」
井上  「ふーん。お前すげえな」
織部  「約束したんですよ・・・マーくんと」
井上  「・・・そっか」
織部  「夢の中ですけど」
井上  「お前やっぱりバカだなー」
織部  「中卒なんで」
井上  「じゃあ俺行くわ」
織部  「ありがとうございました」
 
去る井上。
 
織部  「・・・」
 

 そこに現れる、今日子、明日香、そして政春。
楽しそうに鍋を食べはじめる4人。
織部も楽しそうに鍋を食べながら・・・嗚咽していく。

                        おわり。             

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